日本全国の獅子舞

日本全国でも珍しい?お湯を撒く!箱根・湯立獅子舞を見てきた

箱根仙石原に伝わる湯立獅子舞は、日本全国でも珍しい湯立の形式を持つ獅子舞だ。先日、国選択無形民俗文化財にも指定された。この神事の珍しさに着目しながら、先日取材させていただいたときの様子を振り返りたい。 湯立獅子舞の由来 箱根仙石原諏訪神社境…

7年に1度の大祭!獅子舞が大集結!飯田お練りまつりの盛り上がりの秘訣とは?

7年に1度というのは諏訪大社の例大祭との関わりがある。その希少性から祭りの盛り上がりは半端なく、コロナ禍であるにも関わらず、大勢の来客が見られた。基本的には目玉となるのが、獅子舞の練り歩きと門付けである。 実際に現地で獅子舞を見てきた。その様…

飯田はシシの霊地か!?獅子塚を巡りその信仰について考えた

飯田周辺にはなぜか「獅子塚」と名のつく古墳が多い。今回は伊那八幡駅から下車して、水佐代獅子塚古墳、羽場獅子塚古墳、御射山獅子塚古墳の3箇所を巡ってみた。これらは典型的な豪族のお墓のような気もするのだが、なぜ、「獅子塚」なのだろうか。日本全国…

縦横無尽に駆け回る!会津の彼岸獅子を追ってきた

福島県会津若松市で行われる春を祝う獅子舞である「彼岸獅子」なるものを拝見してきた。 春のお彼岸と言えば先祖供養の意味があり、雪解けと生命の息吹、喜びを感じる季節であることは確かだ。 ただ、なぜこのお彼岸の七日間を中心として、この地域に獅子舞…

氷見市の獅子舞はなぜ盛ん?神社の数が影響?氷見獅子舞ミュージアムに行ってきた

氷見市はカンブリに代表される漁業、美味しいお米が食べられる場所などとして発展してきた。なぜこの地が日本全国でも有数の獅子舞の数を誇るようになったのか?その地域的な背景に迫って行きたい。そのような思いもあって、ひみ獅子舞ミュージアムに行って…

獅子舞講座を開催!2段構えでファンづくり、富山県・三ヶ錦町の獅子舞

富山県射水市の三ヶ獅子舞では、獅子舞の講座を開催されているという。なぜ獅子舞の練習に加えて獅子舞講座なるものが必要だったのか?開催することで地域にとってどのような良い事があるのか?三ヶ獅子舞保存会の宮川さんと宮司の宮城さんにお話を伺った。 …

富山県でとくに古い行道獅子!?小川寺の獅子舞を取材、その歴史的系譜を振り返る

◎日本における行道獅子の始まり 612年に百済の味摩之が伝えた伎楽が、無言で滑稽味を帯びた仮面劇として持ち込まれ、その一部に師子児が先導する形で、行道の獅子というものが存在していた。東大寺大仏殿の開眼式などで披露され、地方の大寺院にも伝えられた…

北海道十勝で開拓とアイヌについて考えた

2022年2月25~26日の日程で北海道の浦幌町と帯広市に滞在した。開拓民がどのような新しい文化をこれらの土地にもたらし、その土地に古くから根付いていたアイヌ文化とはどのような摩擦がおこったのかについて知りたくなった。これらについて考えることは、北…

花祭と獅子舞の共通点とは?愛知県奥三河にて考えた

花祭は太陽神の信仰に基づく死と再生の祭りだ。やはり、山伏の香りがする。実際にこの地には白山修験、熊野修験、伊勢の御師などが訪れ、その芸能を伝えてきたというルーツがある。このことを知ってふと思ったのが、白山修験は謎が深いものの、少なくとも熊…

富山県はやはり獅子舞が盛んだった!射水市で獅子舞工房を訪れ、100周年の例大祭を取材

富山県射水市の久宗獅子舞工房の久宗さんに誘われ、富山県射水市に行ってきた。11月2日は工房に訪問してから3日は戸破加茂社の例大祭を取材させていただき、そこで披露された高穂町の獅子舞も拝見してきた。 11月2日 久宗獅子舞工房で最も驚いたことは、獅子…

文化伝播に必要な要素とは?山代大田楽を見て、獅子舞の始まりを思い浮かべた

石川県加賀市山代温泉で行われた山代大田楽を見てきた。2021年10月30~31日のそれぞれ20時から21時の日程で実施され、久しぶりに人が集まるお祭りの活気を感じられた。また、10月31日には14時から山代大田楽のトップ・わざおぎ塾長の上出さんにもお話を伺うこ…

寝獅子の源流とは?石川県小松市串町で獅子の舞い方を調査

10月25日 10:00~13:00 よこえ酒店の横江博昭さんにお話を伺った。先日、片山津温泉で獅子舞の取材をしたときに、能登半島の田鶴浜から来た建具職人である山口半次郎が明治時代に獅子舞を伝えたことを知った。そして、その獅子舞が周辺の柴山町、新保町、高塚…

石川県小松市の祭りの特徴は?曳山や演劇の文化に触れる

10月20日 16:00~ こまつ曳山交流館みよっさ 予定がぽっかり空いたので、思いつきで石川県小松市の曳山交流館みよっさに訪れ、曳山の展示を見た。とにかく大きいと思った。絹織物を中心とした町民文化の繁栄がうかがえる。中心となるお旅まつりの始まりは江戸…

人形に感情を託す!?人形浄瑠璃の獅子舞の奥深さ~ 石川県白山市「尾口のでくまわしと徳米座」

10月17日 10:00~ 石川県白山市「尾口のでくまわしと徳米座」 石川県白山市松任ふるさと館にて、人形浄瑠璃のイベントが開催された。人形浄瑠璃の研究家・マーティン・ホルマンさんのトークショーののち、3団体の人形浄瑠璃の演舞を実施。白山市内の伝統的な…

獅子舞の魅力を子供に伝えるには?獅子頭制作ワークショップ in 七尾市

獅子舞の魅力を子供たちに伝えるべく、獅子頭のワークショップが石川県七尾市・のと里海里山ミュージアムにて開催された。現地に伺ったので、感じたことについてここで振り返っておきたい。講師は、富山県射水市の久宗獅子舞工房さんだ。受講料は1700円で、…

能登半島の獅子舞の由来とは?獅子ペディアに会うため、中能登町に行ってきた

能登半島、中能登町に「獅子ペディア」と呼ばれる人がいる。その名も、諏訪雄士さん。自らが所属する小竹獅子舞保存会が継承する獅子舞の展示と舞いの披露を行うとのことで、10月9日、実際に現地に伺ってきた。今回、会場となったのは、地域の交流拠点でもあ…

「半世紀」獅子舞の蚊帳を作り続けてきた、おっちゃん。能登半島での暮らしとは?

先日、石川県加賀市黒崎町で獅子舞を取材した際、青年団OBのかつやさんに「この頑固なおじさんには、絶対に会うべきだ」と激しくおすすめされ、その場で即電話をして、アポ取りをさせていただいた方がいる。その名も玉作さん(愛称 玉ちゃん)、今年で66歳に…

【富山県】加賀獅子のルーツを探る旅〜射水市曳山祭り取材・井波獅子頭取材

2021年10月1日 今日は石川県加賀市の獅子頭のルーツを探るべく、富山県南砺市井波を訪れた。今までの調査で分かったこととして、石川県加賀市の獅子頭のうち約3分の1は、井波で作られていると思われる。石川県でも獅子頭工房があるものの、なぜ井波に製作を…

イオンモール土浦で展示された獅子頭の話

2021年9月10~15日の日程で、茨城県土浦市のイオンモール土浦にて、祭りの小道具の展示が行われた。この展示はおそらく獅子舞の未来を考える上でとても重要な取り組みになるように思うのでここに書き記しておく。 家電店前に獅子頭?圧巻の獅子たち イオンモ…

【岩手県北上市】鬼剣舞・鹿踊、民俗芸能を巡る旅

鬼剣舞と鹿踊、この2つの民俗芸能が行われることを知り、8月14~16日の日程で岩手県北上市と奥州市を訪れた。鬼剣舞も鹿踊も全国的にみて盛んなのは岩手県だ。この県には、本当に民俗芸能が豊富にあると改めて実感する。以下、訪れた場所ごとに学びを振り返る…

コロナ禍で考えたい、疫病を他村に送る風流の民俗史 〜柳田國男全集18より

古来、日本人は疫病に対してどのように対処してきたのか。そのような疑問を抱えながら獅子舞研究をしていて、掛け踊り由来の獅子舞についても学びたくなった。そこで、柳田國男『柳田國男全集18』(1990年、ちくま文庫)の中の「掛け踊」の内容をまとめてみ…

鳥取県の麒麟獅子舞の正体を探る

鳥取の獅子舞はなぜ麒麟の頭なのか?以前から疑問に思っていた。ちょうどコロナ禍でありながら、いくつか公演が予定されているという情報を得たので、良い機会と思い、2021年7月18日に現地を訪れてきた。鳥取県はどこか穏やかでゆったりした空気感があり、そ…

山形県酒田市·遊佐町吹浦の獅子舞を見てきた

庄内平野と言えば、日本有数の米所。昔からどこか理由もなく惹かれる場所であったが、この地で鳥海山信仰と関わりのある獅子舞が開催されることを知った。また、酒田市は獅子頭が街中に点在することでも知られている場所だ。それらへの関心が高まり、2021年7…

未来の獅子舞とは?祝祭論から読みとく

2021年6月11日、NHKテレビ「ズームバック×オチアイ」で放送されたテーマが祝祭論だった。考えてみれば、2020年以降で祭りに参加したり見たりする機会は急激に減った。これからの祭りはどうなっていくのだろうか。日本で最も数の多い民俗芸能である獅子舞の今…

埼玉県秩父市・浦山における獅子舞の役割、人口が半減しても地域の結びつきは強い!?

昨日、秩父の浦山歴史民俗資料館を訪れた。google mapなどで獅子舞の展示をしている資料館を探していたところ、見つけたのがこの施設。獅子舞の展示についてなど、その時の様子を振り返る。 浦山歴史民俗資料館とは? 浦山地域は毛附、川俣、金倉、細久保、…

耳塚の正体とは?獅子舞との関連性を紐解く

奥羽地方などに広く伝わる、獅子舞の獅子が喧嘩をして耳を取られたという話は何を意味するのだろうか? 確かに、遠野物語のゴンゲサマなどに見られるように、獅子舞は耳を取るという発想が起こりがちであると思う。柳田國男『定本柳田國男12巻』(筑摩書房 1…

渤海使は石川県に獅子舞という芸能をもたらしたのだろうか?

渤海という国は面白い。渤海国は中国史において唐の属国と見なされ、渤海使も遣唐使の一部だと考えられてきた歴史がある。さらに大きな歴史的事件が起こることなく、開国から消滅までの200年の歴史の中で比較的平和的な国家が保たれてきた。これらの理由から…

獅子頭は本物の動物の頭だった話

昨日は埋めてある豚の頭を土から掘り返して、それをモデル(半々さん)が持って、写真の先生(うつゆみこさん)が撮影をしているのを見学するワークショップに参加した。 とても刺激的だった。毎週続けていて、もう6回目とかで、まだまだやるらしい。 豚の…

置賜地方の獅子舞、百足獅子の系譜を探る

山形県の置賜地域は、明治初期の旅行家·イザベラバードが「東洋のアルカディア」や「エデンの園」と称えたほど豊かな暮らしと農村が広がっている地域だ。東北で唯一この地を称賛したのはなぜだったのか。おそらく中央政権の力が及びきらず民衆の力が強い土地…

日本最古級の獅子舞は田楽との結びつきが強かった?浅草三社祭の「びんざさら舞」を考察

柳田國男の『獅子舞考』を読んで以来、獅子舞と田楽の関わりについて気になっている。喜多村信節の『筠庭雑考(いんていざっこう)』では、田楽で舞う獅子舞について、西域亀茲国を経由して輸入したものだと述べているが、日本の獅子舞はこの田楽法師の漂白…