日本全国の獅子舞

顔が平たい獅子舞の謎に迫る、佐賀県獅子舞巡り。唐津くんち、丹生神社、琴路神社を1日で。

2024年11月3日、佐賀県唐津市の唐津くんち、嬉野市塩田町宮ノ元地区 丹生神社の塩田獅子舞、鹿島市琴路神社の獅子舞を訪問した。一日中レンタカーを乗り回して、実際に解き明かされた獅子舞の物語を振り返ろう。 夜行バスはハプニングの宝庫 前日は民俗芸能…

日本の大動脈、隠された農民芸術「箕」の秘密を解き明かす旅、新潟県佐渡島 たかみ獅子に訪問

2024年10月16日、新潟県佐渡島の新町(しんまち)まつりで登場する「たかみ獅子」を訪問した。この獅子舞は農機具の箕を3枚かさねてつくる独特なもので昔は日本全国に広がっていたが今では数例しかないとも言われる貴重なものだ。その獅子舞を拝見したいと思い…

毛むくじゃらの獅子舞 大塩天満宮 兵庫県

全身が毛むくじゃらの獅子舞が本州にも存在する。沖縄以外にもこんな動物的で原始的な獅子舞がいるのか、とYoutubeを見ながら驚いた。兵庫県の毛獅子はここ数年、訪れたいけど訪れられなかった獅子舞のひとつだ。兵庫県一帯で受け継がれるこの舞いの迫力を現…

日本最大級!3年に1度現れる!静岡県掛川市 仁藤の大獅子

2024年10月14日、静岡県掛川市で行われた掛川大祭(かけがわおおまつり)を訪れた。この祭りには非常に思い入れがあり、絶対に訪れたいと思っていた。なぜなら、「日本で最も大きな獅子舞」とも言われる獅子舞が演舞されるからである。 ここで中日新聞の2024年…

天に近づき大豊作へと祈る、愛知県豊明市「大脇梯子獅子」

2024年10月13日、念願の梯子(はしご)獅子を見ることができた。梯子獅子とは、祭礼の際に大型の櫓を組み、そこに向かう梯子をかけて、梯子を登って天に届かんとする獅子舞の形態のひとつであり、愛知県、千葉県、和歌山県など太平洋沿岸部で数多く受け継が…

雨乞いの呪術、全国の芸能とのつながり。愛知県東浦町「藤江のだんつく獅子舞」

西日本にいる一人立ちの獅子舞。それだけでも珍しいが、何か獅子舞の真相を抉り出すような原始的な獣のような獅子舞のビジュアルに直感的に惹かれた。そこで2024年10月13日、僕は愛知県東浦町藤江神社のだんつく獅子舞(八ツ頭舞楽)を訪れた。以前拝見したTwi…

歴史ある格式高い夫婦舞い、福岡・大分八幡宮の獅子舞から探る、獅子舞のルーツとは?

2024年9月29日、福岡県飯塚市の大分(だいぶ)八幡宮で毎年行われる仲秋の大祭を訪れた。この地には、非常に歴史ある獅子舞が伝わるという。福岡の獅子舞といえば7月の祓い獅子の印象があったが、福岡市の周辺にも貴重な獅子舞が伝わっているようだ。今回は…

三匹獅子舞の主役はササラ、死と聖の境界に立つ穢れなき者。そのルーツとは何か?

三匹獅子舞には雌獅子隠しの演目が多くの団体の共通演目として存在する。雌1頭を雄2頭が取り合うという構図で、雌1頭は花笠4つによって囲まれておりそれを探し出すことを競うような演目である。これは関東の三匹獅子舞はもちろん、東北地方のしし踊りにも数…

獅子舞と聖武天皇、そして八幡信仰。獅子舞大伝播の謎を解く。

獅子舞がなぜ全国に広がっていったのか。今では47都道府県に伝えられているわけだが、その最初の起爆剤のひとつが、八幡信仰だった可能性がある。これはどういうことなのか。東大寺大仏殿開眼供養が行われた752年。この年に、日本全国から参列に駆けつけた人…

棒術と獅子舞の関係性とは?全国に通じる新しい気づき、福島県いわき市の獅子舞を訪問

福島県いわき市。獅子舞の保存や継承に力を入れている自治体のひとつだ。最近まではこの地が獅子舞が盛んな地であることを全然知らなかったものの、2024年9月7日から8日の日程で、東京音楽大学のプログラムに同行させていただき、その実態を知ることになった…

農山村を未来につなぐには?獅子舞と生業との関わりを考える。石川県津幡町河合谷の獅子舞

小矢部から471号線をぐんぐん山の中に入っていく。ところどころ台風で崩れている箇所がある。ここで本当に合っているのか。不安になるくらい山深い。一部通り抜けできない道路もある。たどり着いたのは、ひとつの神社。場所間違ってるのでは?なんて思いなが…

震災復興へ!羽咋獅子舞フェスティバル出展、能登獅子の特徴を掴む

2024年8月31日、石川県羽咋市に新設の「LAKUNA羽咋」で開催された羽咋獅子舞フェスティバルに獅子舞グッズを出店。それとともに出演した12団体の獅子舞を撮影した。初見の印象は総じて高い鉦の音と、テンポ感の良い足のリズムだった。これが能登獅子の特徴の…

なぜ伝統は途絶えるのか?埼玉県秩父市 三峯神社の獅子舞 ラスト演舞から考えた

池袋から西武線に乗り換えて進んでいく。徐々に山を縫うような風景の中。電車は秩父盆地へとたどり着く。ここには独自の文化圏があると思った。西武秩父駅から降りて大雨の中、バスを待つ。売店で買ったお酒の香りのする饅頭を頬張る。餅、饅頭、味噌。どれ…

【2024年8月】石川県加賀市 獅子舞取材 お盆明けの獅子舞ラッシュ、小さく細かく広く根付く獅子舞文化

静岡から移動して、次の朝に石川県加賀市にたどり着いた。旅する延長上で加賀市を訪れて感じるのは、特に獅子舞文化が小さく細かく広く根付いており、それが地域性であり面白さのように思う。この地域では3日間、2024年8月16〜18日の日程で滞在した。加賀市…

鹿ん舞は地域のアイドルか、素朴な原始信仰か。山に囲まれた静岡の町で、唯一無二の演舞を拝見した

静岡の山深きところ、川根本町にて受け継がれる舞いに関心があった。それは一目見てキュートで原始的、ともいうべきか。現代に適合するようなアイドル感がありながら、原始舞踏の本質さえも突きつけてくるような素晴らしい舞いと想像する。このような舞いは…

青森県八戸市・鮫神楽は民衆に開かれた神楽!治外法権的な土地性が産みだしたハイブリッド獅子舞

2024年8月14日、黒石市上十川獅子踊りを見てから速攻で50分歩き続けて、黒石駅前からバスに乗った。そして新青森駅に到着。バスのおじさんが「千円札しか両替できないよ」とのことだったが、小銭があまりなくしかもお札は5千円という旅中あるあるの現象が発…

熊と鹿の獅子舞、深山分け入る姿は実は〇〇だった!青森県の獅子舞の全体像を描く

2024年8月13日、僕は18きっぷを手に、東北の列車を乗り回していた。そして、その途中に台風に出会ってしまった。1日目は盛岡を目指したかったが、東北本線が仙台以降使えないということになり、仙山線から奥羽本線経由で秋田を目指す。結局鶴岡止まりで次の…

山形県黒獅子を訪ねる旅。全国と繋がる蛇獅子の系譜、その土地らしさの形成

2024年8月4日、山形県黒獅子取材。 僕は深夜0時半に山形県米沢市にたどり着いた。宿はあえてとらなかったので、ネットカフェに向かう。快活クラブが最近は良いと思っている。ドリンク飲み放題だし、どうせこういう時は4〜5時間くらいしか寝ないのに、宿に泊…

外山鹿踊を見て土地を想像して、大パレードの意義を考える。岩手県北上みちのく芸能まつりにて

2024年8月3日、夕方に新幹線に乗って、岩手県北上市にたどり着いた。北上・みちのく芸能まつりに出演する外山鹿踊の演舞を拝見するためである。なかなか見られる機会はないから是非きてくださいとのこと。今回はお披露目のための重要なイベントのようだ。 思…

籾殻を踏みしめる意外な理由とは?栃木県宇都宮市、天下一関白神獅子舞の風土性に迫る

2024年8月3日栃木県宇都宮市の天下一関白神獅子舞を訪問した。栃木県から福島県にかけて広がる関白流の獅子舞の始まりと伝わり、県の無形民俗文化財とあって宇都宮市ホームページ等で広報も力を入れているようだ。写真を見て素晴らしい獅子舞であるという直…

船の上で肩車して獅子舞!?アクロバティックな「船上継ぎ獅子」、愛媛県今治市大西町九王にて

愛媛県今治市越智郡大西町九王(くおう)。この地には、船上継ぎ獅子なる獅子舞があると聞いていた。ただでさえバランスのとりにくい船の上で、肩車をしながら獅子舞をするという。聞いただけでもハラハラするような獅子舞が存在するのだ。以前、今治市内で…

日本最古の大陸系獅子舞、その始まりとは?大阪府天王寺舞楽の獅子

古来の風格を纒う獅子は、1400年の歳月を今に伝える。2024年4月22日、大阪府大阪市四天王寺の天王寺舞楽を観た。大陸系の中で日本最古の獅子とも言われ、その始まりは聖徳太子の時代に遡る。この獅子の起源をより明確に知りたいという思いもあり、現地を訪れ…

新たなる獅子舞伝説!富山県魚津市「金山谷の獅子舞」、鉱山そして海外から舞いを導入

2024年3月17日(日)、富山県魚津市金山谷の獅子舞を訪れた。石川県に用事があり、その流れで訪れられる獅子舞を探していたところ、奇跡的に富山の東端、魚津市にて獅子舞を行う情報を得た。魚津市役所に問い合わせ、現地の人に確認してもらい、獅子舞がしっか…

東京都板橋区 諏訪神社の田遊び。千年続く素朴な神事で、獅子舞を発見!

田遊び神事の獅子舞は非常に素朴で東京の中にあってはどこか貴重で珍しい獅子舞と思った。 2024年2月13日、国指定重要無形民俗文化財、赤塚諏訪神社の田遊び神事を訪問した。この民俗芸能のことをつい最近までずっと知らなかった。都市祭礼というよりは農村…

鈴鹿・獅子神御祈祷神事から、日本の獅子舞のルーツを探す

始発の電車に乗って伊勢市駅から鈴鹿市を目指した。真っ暗の中、電車は出発する。徐々に辺りが白み始めたとき、眩しくて微細な光が窓から差し込み、そして田園地帯を地平線からまばゆい太陽の光が照らしていた。獅子神御祈祷神事。日本で最も古い獅子舞を今…

伊勢・高向の御頭神事、日本全国に通じるヤマタノオロチの系譜を考える

三重県伊勢市、宮町駅に降り立った。19時16分、辺りはもう暗い。これから祭りが行われるわけだが、あたりは静まり返っている。本当にここで合っているのだろうか、20分の徒歩ののち、高向大社につく。途中、若い人が数人歩いており、携帯を見ながら何やら話…

富山県の獅子舞研究旅、職人、獅子舞、研究者との出会い

富山県は獅子舞が盛んな地。獅子舞に関するまだまだ調べきれていないことがたくさんある。そこで、2024年1月28〜29日で、現地を訪れる機会を得た。ここで、獅子舞職人、研究者にお会いしたり、獅子舞演舞を拝見したりと大充実だった。日記的に振り返る。 英…

手作り大獅子の物語!静岡県島田市抜里にて、遠方の獅子舞との意外な共通性

楽しさを追求する精神と助け合いがある、暖かい街。そのような印象が強い、静岡県島田市抜里という地域。三人組のアーティストユニット獅子の歯ブラシの活動で、この街に滞在した。ここではもともと獅子舞はないものと思っていたが、庭木の剪定をしている地…

岩手県の宝「黒森神楽」を取材!奥深い歴史を繋ぐ舞いに迫る<2024年お正月公演>

黒森神楽は宮古市山口に鎮座する黒森神社を拠点として行われる山伏神楽である。廻り神楽とも呼ばれ、岩手県沿岸部を中心に広範囲を舞って歩く。この巡業スタイルは三重県の伊勢大神楽を連想するような獅子舞だ。国指定の重要無形民俗文化財であり、この巡業…

秋田県「本海獅子舞番楽」を取材!洗練された所作の先に、八幡信仰など全国の獅子舞のルーツを見た

本当にあの山奥の憧れの獅子舞を見られるのだろうか。2023年1月2日早朝。僕は山形県の酒田駅に立ち尽くした。昨日の能登半島地震の影響で、電車もバスも動いていない。パソコンに「羽後本荘」の文字をでかでかと書き記し、ヒッチハイクをしていたが、なかな…