茨城県土浦市「土浦祇園祭」白い獅子頭の立田町の獅子舞

2025年7月26日、茨城県石岡市での獅子頭制作にいった帰りに、少しだけ土浦市の土浦祇園祭に寄ることができた。最後の競演の時間には、4町の山車と神輿が道を賑わしていた。今回は立田町の獅子舞が気になっていたので、訪問した。立田町といえば、以前イオンモール獅子頭の展示が行われた時に、唯一、白い獅子頭だったことを強烈に覚えていて、日本全国でも非常に珍しい白い獅子頭の獅子舞を見たいと思って今回伺った。

立田町の獅子頭を拝見すると2頭である。角ありと角なしだ。角ありの方の獅子頭はLEDライトが取り付けられており、目が光っている。この獅子舞は舞いだすと、獅子頭を高く上げたり左右に揺らしたりしており、どこか茨城県石岡市の獅子舞にも近い動きのように思われたし、道の祓い清めの意識を強く感じた。

立田町の担い手に簡単にお話を伺うと、獅子頭は2〜30年前に新調との事。地域の方が獅子頭を制作されているようだ。だからこのような唯一無二の造形になるのだろう。なぜ白い獅子頭になったのか伺ってみると、「気分だったと思います(笑)とのこと。いやどこかで白い獅子を見てこれが良いってなったんですよね」とのこと。白い獅子頭は全国的にも珍しく、僕が知る限りだと石川県加賀市橋立地区くらいだ。どこの獅子頭を見たんだろう。疑問はますます膨らむばかりだ。

昔、疫病が流行した際に、牛頭天王(須佐之男命)の御神体が入った箱を川に流す風習があり、筑波町大杉から流れてきたものを漁師が拾い上げて1415年ごろの応永年間、真鍋台に祀ったことがこの地の八坂神社の起源である。どこかの機会に祇園祭が始まり、江戸時代にはすでに土浦の代表的な祭りとして、土浦祇園祭として確立したと考えられる。

参考文献
茨城県生活福祉部総合県民室『いばらきの祭りと民俗芸能』(昭和58年3月)