古民家についてマンガで表現してみた。

まずは定義から。

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古民家の定義って人それぞれ捉え方があるので、違っていいはずだ。古民家を定義付けるというのは仕事上の区分けにすぎないが、僕は仕事をしていて区分けをする必要性に迫られていないので、かっちりした定義を設けていない。古くて木造であると主観的に捉えられれば、それは古民家なんだと個人的には考えている。

 

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古い=愛されてきたと考えれば、古民家というのは世の中の家の中でも最高級に愛されてきた物件といえる。なんにでも言える事だが、「愛されてきた」には必ず理由がある。古民家に関していえば、その土地の自然の産物を使って作る事で、より環境に適応して、生態系に配慮した持続可能な家づくりを行ってきた。その土地ならではの形態の家が生まれ、農村、漁村、城下町など、それぞれの暮らしにあった使いやすい家の形が生まれた。気候や風土によって、気温や、風の強さなどを考慮した家づくりが行われた。こういった人々の営みに合った合理的な造りが、古民家が長く使われてきた根拠である。現在では、それに代わって、多くの西欧建築が輸入されてきた中で、日本らしさを再確認したり、発信したり、一風変わったオシャレ感というまた違った文脈で、残され、愛されている側面がある。個人的には、古民家という概念そのものが、西欧建築の輸入とともに浮かび上がってきたものなのではないかと考えている。

 

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古民家というのは、ひとつのツールだ。

僕がやりたいことは、「人々が自己実現に向けて、楽しく生きられる場を創りたい。」ということ。楽しく生きるには、「人の日常」の中に「場」を作ることで、環境を整えることができ、自己実現が出来るという考え方である。つまり、古民家の専門家になりたいのではなく、古民家の特性を生かして、場づくりを行いたいのだ。古民家には、個室という概念が薄いので開放的な空間設計ができたり、木を基調としているので気分が安らいだり、日本らしさ故にインバウンドとの相性が良かったり、などという特徴がある。このような特徴を十分に生かした場づくりを企画していきたい。

 

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仕事のスタンスは、古民家を保全するだけでなく、その先に、面白くワクワクするものを創り出していくということ。古民家に関わる人は伝統を守るという考え方の人が多いけど、自分は、残すものは残す一方でよりクリエイティブであることを大事にしていきたいと考えている。伝統にとらわれることは無関心を誘うことでもあると考えていて、伝統的なものにこそクリエイティブの精神で挑みたいとへそまがりにも考えてしまう。

 

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古民家は土地ごとに、個性的な顔を見せる存在で、それが街の面白さ、ひいては街並みの面白さとなっていけばすごくいい形になると考えている。今後も地域発展や、まちづくりという文脈でも古民家を捉えていきたい。

 

古民家で場づくりを企画する先に、どのような展開があるかは想像出来ない。一歩一歩懸命に着実に進んでいくだけだ。人口減少という、日本の歴史の中でもまれに見る出来事に遭遇している今、空き家や高齢化などの社会問題が続出して、知恵や文化が減る時代である。しかし、世界的な枠で考えれば、人口減少はしていない。そういう大きな流れの中で、自分の立ち位置を把握して、ニーズに答え、世の中にとって価値ある人間になっていきたい。少なくともこれから手がける物件を点ではなく面で捉えて活用したいし、ビックプロジェクトにしていきたい。まだまだ考えるべきことはたくさんある。