【2022年1月】石川県加賀市 獅子舞取材 大聖寺上福田町(追加)

2022年1月20日

13:00~ 加賀市大聖寺上福田町

17歳から青年団に所属し10年以上獅子舞に携わったご経験のある横出さん(90歳)にお話を伺った。

 

由来

昭和20年代(おそらく1949年)に、下福田町の壁屋をしていた島崎三郎さんから獅子舞を習った。これは三谷地区の日谷町や曾宇町に獅子舞を伝えた人と同一人物だ。その時、舞い方を教えるために、島崎さんはわざわざ上福田町の公民館に通ってくれた。それまで青年団の活動といえば飲み会ばかりで、何か新しく始めようということになり、獅子舞を習い始めた。それから1年も経たないうちに春祭りと秋祭りで獅子舞を披露することができた。この時、獅子頭大聖寺の中で棒振り獅子がある地域から購入した覚えがある。

 

舞い方

獅子舞を島崎さんから教わった時には、棒振りがない獅子舞だった。基本的な型があったが、指導の仕方があまり厳しくなかったからか、少しずつ舞い方が崩れていったような印象だ。それはアレンジしていこうというよりは、長いものを短くという風な意識だった。昭和58年(1983年)の時点では、シャンシャン、カンカラカン、チョウチョウ、三番叟の1号・2号という5つの舞い方が存在し、この頃にはすでに棒振りの獅子舞が新しく取り入れられていた。

 

担い手

獅子舞を始めた当初は太鼓が1人、獅子が数人という感じだったが、はっきりした人数は覚えていない。途中、棒振り獅子は青年団が実施していたが、途中から「可愛らしい子供にやってもらった方が良いだろう」という話が出てきて親に了解をもらって、子供が棒振りを務めるようになった。

 

祭りの様子

元々春日神社のお祭りがあり、その中に獅子舞が取り入れられたという形で、獅子舞が始まった。春祭りは3月21日、秋祭りは8月21日で行う。獅子舞が始まった当時のご祝儀は200~500円くらいだった。もう少しきちっとした舞い方をしていたら、500円くらいは少なくとももらえたのではないかという気持ちもあったが、獅子舞を伝えた島崎さんもお年寄りになってなかなか強気で教えられなくなってから型が崩れていった。獅子舞を始めた当初から、隣の町内(朝日町など)にも舞いに行っており、とても人気のある獅子舞を実施していた。獅子舞の日程は朝8時半から出て夕方くらいまで実施しており、神社に始まり神社に終わるという獅子舞を行なった。町内は家を全体的に回るが、町外はお店やさんや事業者関係でお世話になっているところを中心に回る。最近は祭りの時にカラオケ大会をしており、皆が興味を持って1つになれる可能性を感じている。

 

獅子舞が継続する理由

獅子舞を純粋に楽しむというよりは、町の収入源になっていたことが大きい。バブルの頃は1軒につき1万円のご祝儀が上がったので、合計で100万円くらいの金額が集まった。その中で半分は自分たちの飲み会や旅館、スキー旅行などの自分たちの楽しみに使えて、あとは町の費用として貯金するというイメージだった。獅子舞は自分たちのところで途絶えさせてはいけないという意識があったが、そこには積極的に獅子舞をやっていこうという意識はなかった。現在は、担い手不足で継続がギリギリで実施できているという状況だ。担い手の数は6~7人で最低限の人数である。ご祝儀を出している地域の家々の意識としては、神社の初穂料を払うとか地蔵盆を受け入れるなどの習慣があるから「なんで出さないかんのや」という地域の人はいない。