【2021年9~11月】石川県加賀市 片山津町 獅子頭制作ワークショップ

11月14日(日)

14:00~16:00 獅子頭制作ワークショップ @片山津公民館

片山津町で獅子頭ワークショップが開催された。片山津町では今年、青壮年部が継承してきた獅子舞をどのように次の世代に受け継いでいくかということについて、何度も話し合いが重ねられてきた。今までは青壮年部が獅子舞を実施していたが、人手不足という現状がある。そのような経緯もあり、子供達が実際に獅子舞をしたいと思ってもらえるような機会を作る必要があるのだ。将来的には来年以降、子供でも獅子舞の担い手が出てくれたらという想いでの開催であった。子供が獅子頭を作って楽しんでもらうとともに、自分の町の獅子舞に触れるような機会ができたらということでイベントが開催された。

 

スケジュールは大まかに以下のような流れで行われ、約2時間のイベントだった。

①片山津町の獅子舞の3種類の舞い方を披露

②獅子舞の舞い方や云われの解説

獅子頭の制作

④作った獅子頭とともに記念撮影!

⑤獅子舞の棒振りや蚊帳の中、太鼓の体験

⑥お土産としてお菓子の詰め合わせの配布

 

今回のイベントを運営したのは片山津町の青壮年部の方々と、獅子舞チームメンバーで片山津町の山口美幸さんだ。僕は獅子頭の制作サポートや写真の撮影などで関わらせていただき、先日竹の浦館の「カガコレ」というイベントで実施した獅子頭ワークショップの経験を生かせる場となった。青壮年部の家族を中心として、親子合わせて20組ほどが参加してくださり、とても盛り上がった。

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まず、青壮年部の皆さんが獅子舞を3演目(シーシャ・フン・ケン)を披露し、実際にどのように舞うのか?を解説付きで教えてくれた。僕の方からは、片山津の獅子舞の歴史を軽くお話ししたところ、なるほど!と自分たちのルーツにとても関心を持ってくださった。そこから、獅子頭づくりの説明、制作という流れで行われた。獅子頭づくりはすでに土台を用意しておいて、そこに装飾をするという形だった。子供達は、目や鼻、耳、角、歯などのパーツを想い想いの色・形で作り、どれ1つとして同じものはなかった。やはり、獅子舞が各町違うように、十人十色の獅子頭ができて、それを並べてみると壮観だった。記念撮影の後は、子供達が実際に獅子舞の棒振りを回したり、蚊帳の中に入ったり、太鼓を叩いてみたりと様々な体験ができ、とても楽しそうだった。最後に詰め合わせのお菓子の配布が行われて終了となった。

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実際に獅子頭づくりのサポートをやってみて、とても喜んでもらえて良かった。やはり、獅子頭作りをしていると、農民が竹籠やら藤箕などを使いそこに紙で目や鼻などを描いて作ったように身の回りのものをかき集めてブリコラージュで仕上げるという原点をよく思い浮かべる。獅子頭づくりは今でこそ、職人に発注して立派な木彫りと漆塗りで仕上げて作るという形になっているが、江戸時代以前は今よりも格段にブリコラージュの獅子頭が多かっただろう。農民に獅子舞と獅子頭などの道具が今のような形で普及したのも、明治以降という場合が多い。そういう意味で獅子頭作りのワークショップには、未来の担い手に獅子舞を伝えている一方で、過去の原点に帰れるような魅力があると感じる。

運営サイドの下準備に関しては、土台制作の手間がとても時間がかかるので、この点を今後スムーズになるように改善していければ、様々な場所で気軽にワークショップを開催できるようになるだろう。例えば、午前からワークショップを開始して土台づくりから親子の参加者にやってもらい、お昼はみんなでお弁当を食べ、午後から獅子頭に装飾を加えるという流れであれば、子供も飽きずに最初から最後まで楽しんでくれるかもしれない。今回のワークショップを通じて、獅子舞の担い手不足の町にとって、このようなイベントが子供たちの興味を持ってもらえるきっかけづくりになるという確信を得ることができた。今後もぜひ積極的に獅子頭制作ワークショップを実施していきたいので、興味がある地域の方はぜひお声がけいただきたい。また、獅子舞を様々なテーマで取り上げて一堂に会するような展覧会を来年以降考えており、そのような場でも合わせて今回のようなワークショップを開催したら、さらに獅子舞の魅力が伝わるかもしれない。

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