【2021年9~11月】石川県加賀市 獅子舞取材 打越町(追加)

2021年11月1日

9:30~ 打越町

獅子頭の追加撮影で伺った。同時に、獅子舞保存会・実行委員長の福村克也さんにお話を伺うこともできた。獅子頭は2つあり昭和13年、昭和50年にそれぞれ制作されたものだ。古いほうがより睨みが効いていて、目が小さく、重量は軽い。古い方だけ、小松市大文字町で作られたことが分かっており、製作者は「表公山」という人物だ。新しい獅子頭は作者がわからず、修理の際は浅野太鼓に持って行ったことがある。2つの獅子頭ともに耳と角がなく、木がむき出しで漆を塗っていない獅子だ。打越町の獅子舞の起源は小松市二ツ梨町にある。打越の中野撚糸の方の先先代が習いに行った。獅子頭の中で現在いちばん古いものが昭和13年(83年前)で、そのさらに1つ前に獅子頭が存在していたとご年配の方に聞いたことがあるので、おそらく100年以上の前の話かもしれない。獅子頭はいずれも雌獅子である。

分校地区4町で棒振りがないことと、豆噛みという動作をするのは打越町のみである。棒振り系の獅子はおそらく小松市の矢田野の方面から伝わっただろう。棒振りの賑やかしのような華やかさがないが、テクニックが必要な獅子舞である。獅子5~6人、太鼓、笛という構成で行う。獅子舞の舞い方は1つしかない。立った状態からスタートする。一番低い姿勢でも中腰で、寝る場面などはない。獅子頭(1番)の後ろの人(2番)が一番辛くて、獅子頭を持つ人が蚊帳から頭を出さないように蚊帳を操作しなければならない。

お祭りは9月の第3日曜日である。過去にはかなり日にちの変動があって、祭りの日が平日休日に関わらず8月17日だった時もある。祭りの日は朝5~6時ごろから町内110軒を回り始める。現在は休みなく2班に分けて回り、片方の班が食事をしている時は片方の班が舞うというような形をとっている。ただ昔は、3時から舞い始めていたので、朝ごはんと昼ごはんで1時間ずつ休んでいた。以前は祭りの日のお昼といえば青年団の家などで食事をしていたが、最近は公民館で食べるようになった。コロナ禍でここ2年間は獅子舞を実施できておらず、蚊帳の中で密になる人数も多いというのが1つの要因かもしれない。

▼左が新しい獅子頭で右が古い獅子頭

f:id:ina-tabi:20211101143357j:plain