獅子舞をとある特定のコミュニティに生息させる試み。獅子の歯ブラシは地域を対象とするのに対して、この獅子舞の作り方はもっぱらコミュニティを対象とする。
3/3 しょくやぼ農園(神奈川県横須賀市)
ひな祭りの日に神奈川県横須賀市のしょくやぼ農園にて「わわわ祭」開催!獅子舞研究家として、ゲストで呼んでいただいた。獅子舞×土壁職人のコラボで、和文化、これからの暮らしを考えるイベントになった。当日は家族連れを中心に20名ほどの方にお越しいただいた。
まずは午前中に体験WS。土壁は日本の伝統建築に使われており、自然素材としての泥や藁を混ぜて作られる。これを職人さんに教わりながら、竹小舞に塗って土壁を作った。個人的には泥の色の多様性にめちゃくちゃ驚いた。
また、土地によって泥の色が違うようで、それを泥絵の具としてダンボールの獅子頭や白い布の胴体に塗って、模様を描いたり手形をつけた。みんなで獅子舞を作る達成感とそれに入って舞い歩く楽しさを共有できた。
最後にトークセッションが行われ、土壁職人の親方と僕と会場の皆さんで、住まい方について考えた。日本の伝統的な古民家って、免震構造で地震が来たらそれに沿うように揺れるのだとか。その時に土壁も同時に剥がれることを想定しながら、塗るのだそうで。土地とともに住まうことを意識した。
また、獅子舞が舞いやすい家って、伝統的な古民家の開放性にあるのではないかと!囲炉裏があってそれを囲む、ある種のパブリックな場が生まれたり、襖を取っ払うと広い空間ができたり、縁側を通じて地域とつながる感覚。これこそ、地域の信頼感を醸成する交流インフラのようなものなのではと思う。
さて、僕はこのように獅子の歯ブラシのアート活動としての獅子舞づくりだけでなく、地域ではなくもっと焦点を絞った空間やコミュニティを対象とした獅子舞作りもしている。ぜひ獅子舞コラボできそうな方はまたお声がけいただきたい。
▼わわわ祭詳細
SYOKU-YABO農園
https://www.instagram.com/syokuyabo/?hl=ja
3/10 横浜国立大学IUI(神奈川県横浜市)
横浜国立大学で獅子舞を通して都市を考えるWS「獅子舞で都市と接続せよ」を開催した。参加者は横国をテーマに、キャンパスを歩いて素材を集め、獅子舞を実際に作って舞った。
今回は総勢11名で、大学生を中心にご参加いただいた。獅子の歯ブラシとは異なり、1週間で作っているものを半日で作り切るというハードさ。フットワーク軽くリサーチから制作、演舞までを行った。このプロセスで、獅子舞の思い通りにならない原初体験のようなものを得たのが面白かった。皆がやりたいことをやり始めて、偶然何かができていく。獅子頭は建築学生が使っていた模型を使い、そして獅子頭の開閉構造は傘の上下運動によって起こる、まさにカラクリ獅子舞とも言うべき仕組みのイノベーションが起こった獅子舞となった。
舞い方の探究には時間が足りず、獅子舞制作がメインとなった。これは半日ではなく1日のワークショップだったなと思った。それでも最もコンパクトな形を目指した。大学で獅子舞を生息させるという試みもなかなか斬新だったと思うが、春休み期間なのであまり人が歩いていなかった。それゆえ目撃されることもなく進んでいくどこか空砲を打つような感覚があった。本来的には賑わいを作り出す獅子舞は日中に行われることが多く、一方で儀式性を帯びた獅子舞は夜にやることも多い。今回は賑わいを作り出す獅子舞なのに、夜の帰宅時間帯に行ったもんだから、今回のような時間感覚の逆転現象が違和感をつくりだされたのだろう。
▼詳細
https://ygsc-studio.ynu.ac.jp/news.html