2022年1月25日
11:30~ 大聖寺大新道
「獅子舞が途絶えても獅子頭を拝む」
獅子舞はすでに65年前には途絶えている。しかし、獅子頭は加賀神明宮に大事に保管されており、毎年1月2日に拝むという風習がある。加賀市内で、このような風習を持つ地域を聞いたことがなかったので驚いた。舞いは途絶えても、信仰心が脈々と受け継がれているのだ。
由来
獅子舞は戦前はやっていただろうが、戦中では途絶えてしまっていた。戦後にまた復活したが、10年ぐらいで再び途絶えた。その頃は獅子舞というより町内の運動会をしていてそれが盛んで、リレーをしたり、青年団にたくさんのご馳走を食べさせてもらったりしたことを覚えている。町内のIさんが獅子舞の団長をしていて、その方が結婚したタイミングですでに獅子舞はしていなかった。昭和20年代には獅子舞をしていたが、昭和30年代には獅子舞を見た記憶はない。45年前ごろ(1970~80年あたり)、つまり現在60歳の方が中学生の頃に、Iさんに「獅子舞をせんか?しよさ!」と誘われたこともあった。この頃はベビーブームで子どもが多かった時代だったので、少なからず獅子舞の復活の兆しがあったが、結局獅子舞は実施されずに今に至る。現在獅子舞はしておらず、町内で獅子舞の経験者はほとんどいないのが現状だ。
祭りの様子
大聖寺桜まつりの日に獅子舞を実施した。獅子舞を実施していた時、担い手は少なくとも6人はいた。太鼓と獅子のみの獅子舞で、棒振りや笛はなかった。舞い方は1つだけしか見たことがないので、演目数は多くはなかったと思われる。舞いの最後に玄関の中に入って、頭を噛むという動作をする時もあった。祭りが近づくと、練習とは別に橋の上で太鼓を鳴らし、「お祭りやぞ!お祭りやぞ!」と町内の気分を高めていった。また、子供の頃、町内で獅子舞の太鼓を叩いている所に近づいたら「じゃまや」と怒られたことがあると証言する人もいた。
獅子頭を保管する
獅子舞が途絶えたのち、公民館がない町なので、「獅子頭は持ち回りにして保管しよう」という話も出てきたが、結局、昭和30年代ごろから畑醤油店がしばらく獅子頭を保管していた。その後、加賀神明宮に預けて今に至る。
獅子頭をお参りする風習
現在では、町内20軒ほどしか家がない。毎年1月2日に町内の人が集まり、加賀神明宮に保管されている獅子頭を出してその場で飾って、お参りするという風習がある。お参りの後はお札をもらってきて、町内に配る。コロナ禍では、お札が配られなかったので、区長さんがお参りに行ったかはよくわかならない。
(取材先:畑醤油店, 中村ひろ子さん 同行:山口美幸さん)