台中では好心地文創(Howdy Creative)で仕事体験をさせていただいている。
好心地文創は、デザイン会社だ。
職人が集まるローカルコミュニティの支援を行なっている。
特に、アートや工芸品に関する開発やプロモーションがメインだ。
最近では、プロモーションの一環としてツーリズムに力を入れていて、旅行者に作品を作る現場を見てもらい、体感してもらうことにも力を入れている。
Howdy Taiwan 好,的 臺灣工藝店 Howdy.tw - 臺灣土生工藝店 Howdy.tw
このデザイン会社を作ったクマさん(黃奕杰さん)とは、石川県加賀市で出会った。
日本のデザイン系のコミュニティ、美術館、ギャラリーなどを視察されていたところであった。
デザインが人と人とをつなぎ、コミュニティを形成することに取り組んでおられることに感銘を受け、台湾でお会したい旨を伝えた。
ぼくが中国語や英語を流暢に話せないため、言葉があまり通じない中で、快諾していただき、本当にありがたい。
2018年7月17日(火)
CC DESIGN WORKSHOP
台湾全国の15個の職人コミュニティを集めたデザインワークショップが開かれた。
いいカメラを持っているね!ということで、
僕はこのワークショップのカメラマンをやることになった(笑)
好心地文創は昨年は38、今年は44の職人コミュニティの視察を行なったという。
そこで、どのような工芸品が作られ、どのような過程で、誰がどのような想いを込めて作っているのかを調べた。
それを映像にまとめるとともに、情報としてまとめる作業を行なった。
それをこれから商品開発を磨いていこうという人々に対して伝え、議論し、実際に作成していくというのが今回のワークショップに至る経緯である。
<基本情報>
老若男女30人、15の職人コミュニティもの人々がこのプログラムに今回参加をした。
所属コミュニティとしては、圧倒的にNPOの人が多く、地域ごとにNPOを組織することによって、職人コミュニティを形成しているということがわかった。
日程は、7/17~19,8/6~7,8/20の全6日間行われる。
このプログラムは参加者が参加費を払う必要がなく、運営者はパブリックセクターからのお金で運営を行なっている。
こういうことに対して、政府の理解が得られるというのはとても素晴らしい。
作品を発想し、作成し、プロモーションしていくまで学べる。
これは、その地域をより良くするという文脈で語られるもので、個人の創作活動のみに留まらない点が特徴である。
<僕の視点>
実は大学生のころ、アジアの途上国の 伝統工芸品などを、大学の生協や文化祭で販売するサークルに所属していたことがある。
大学内に留まらず、より大きな活動にしていきたいと考え、
大学3年生の6月に合同会社をつくった。
そして、ネットショップの立ち上げと、大学外のイベント出店をメインとして、これらの製品を販売する販路を拡大することができた。
このとき、葛藤があったものの、
商品を「フェアトレード製品」として販売していた。
「フェアトレード」という言葉に反応して、商品を購入する人は2パターンの人が少なからずいる。
1つ目は本気で商品に魅力を感じて買ってくれる人、もう1つは支援したいからという理由で商品を買ってくれる人。
後者はとてもありがたいが、なるべく前者の理由で購入してもらった方が生産に関して持続性が担保されると思う。
生産者は商品を気に入ってくれた人に買って欲しいだろうし、コミュニティにおける商品の開発スキルも高まっていくとおもう。
本当の三方良しのプロモーションとは何か今一度考えたいし、買い手に喜んでもらえる商品が一番だと思う。
僕にとってこの「ストーリーの適切さ」と「商品力」というのは、着目すべきポイントとして、今回のワークショップに臨んだ。
※1フェアトレード
発展途上国で作られた作物や製品を適正な価格で継続的に取引することによって、生産者の持続的な生活向上を支える仕組み
http://www.wakachiai.com/fairtrade/about_fairtrade/
実際に売っていた商品の数々。
<今日のワークショップの内容>
9:00~9:30 開会の言葉
9:30~12:00 イントロダクション
自己紹介や、伝統工芸品に関する着想・自分には何作れる?みたいなのを議論してから、一人一人自分の視点について発表を行なっていく。一人一人が誇りを持って自分たちの商品を語る姿はとても印象的だった。かばん、人形、明かり、カゴ、食べ物など本当に様々だ。
13:00~17:00 ゲストが登場
商品を作る目的やコンセプトなどからどうやって売っていけば良いかなど全体的な視点について、デザイナーをお呼びしてレクチャー。
※こちらがレクチャーのスケジュール。
ところどころに「課程討論」の文字があるが、これはディスカッションという意味。
全ての講義が基本的には、インプットと組み合わせてアウトプットの機会を作っているのは参加型で面白い。
このデザインワークショップにおける好心地文創の立ち位置はプロデューサーやディレクターに近い感じだった。
つまり、全体的なワークショップの企画と運営を行うというものだ。
そして、全て自分たちが担うのではなく、各セクションのプロフェッショナルを呼んで作り手を増やし、ワークショップを構成していた。
このようなワークショップは日本にはまだまだ少ないだろう。なぜなら、台湾は日本と比べるとかなり地理的にコンパクトで協力関係を作りやすい。
伝統工芸品の分野は様々、所属コミュニティも様々でも、協力しあって共に学んでいこうという機運がある。
これはかなり面白いと思った。
日本でやるとしたら、九谷焼なら九谷焼!みたいな感じで勉強会は開くかもしれないけど、
地域のコミュニティと工芸品の結びつきの強さや、横断型の学びの場があるというのは台湾ならではの特色だろう。
全ての工芸品において何か本質的な部分が繋がっていて、今まで作ってきた商品のクオリティやプロモーション力がどんどんアップされていくような学びの多様性と質がとても高いと感じた。
まだまだ、デザインワークショップは始まったばかり。
日本の職人コミュニティと比較しながら様々な気づきが生まれそうで楽しみだ。
明日、明後日と引き続き楽しみたい。