台中のデザイン会社「好心地文創」。
僕は現在ここで仕事体験させていただいている。
今回は工芸品を作る村を訪れるツアーにジョイン。
ツアーの目的としては、
工芸品そのものをただ楽しむだけでなく
その村の全てを味わってもらおうというもの。
体験型のツアーに胸が踊る。
このツアーのスタッフの片隅に加えていただき、
今回は「石門」という山奥の村を訪問した。
今回も、いいカメラを持っているね!ということでカメラマン(笑)
→場所はこのリンク参照。
今回のツアー参加者は、子供からご年配の方まで様々で総勢50名ほど。
大半の人は、工芸品づくりのコミュニティに所属している。
今回の村視察を自分の村での活動に生かそうと考えている人が多くみられた。
海外メンバーは僕とマレーシアの人の2人。
あとは、台湾の比較的近い地域に住んでいる人が大半だった。
台中から長距離バスに乗って1時間ほど。
山奥の村・石門に着くと、まず祠に案内してもらった。
神聖なる祠である。
この土地の全てを見守っているとのこと。
一番左手のマイク片手に村を案内するのがこの村のリーダー。
村の様々な魅力的な場所に連れて行ってくれた。
甲高い声に、やさしい口調。
どことなくリーダーらしい感じの人だった。
この土地は自然豊かで、人々は自然とともに共生している。
熱帯ならではのみたことも聞いたこともないようなフルーツが盛りだくさん。
人々が「デザート」と呼ぶ食べ物の数々をいただいた。
まずは、これ。名前不明。
手でバキッツと割ると中に種がたくさんある。
これを手ですくい上げて食べるようだ。
果肉ではなく、種をメインで食するフルーツを僕は初めて食べた。
次はこの花。名前不明。
たくさん食べると、毒があるよ!という説明があったが、
みな普通にバクバク食べている(笑)
花びらを何もつけずに食べたのだが、意外とみずみずしくてうまかった。
この花を水に浸して置いておくと、ほんのり甘いジュースのような味になるようだ。
つぎにこれ。
日本人は見慣れているであろう、落花生。
ここで食べた落花生は、少し甘くて柔らかかった。
このスープは、日本でいうぜんざいみたいな感じ。
たくさんの甘い豆が入ったスープみたいな感じで、甘くてうまかった。
デザートを食べた後、僕らは周辺の森を散策した。
様々な種類の木に実がなっていた。
もぎ取って好きに食べていいよという感じだった。
これは、まるでブルーベリーのような味だったが、木が太いから違う。
日本人の僕には、木と実がまるで別物に見えてしまった。
木がイヤリングをつけるように、その実は異彩を放っていた。
美しい蝶もたくさんいた。
静かに羽を揺らし飛んでいた。
捕まえようと思えば、すぐ捕まえられた。
でも、僕は捕まえなかった。
その美しい羽を、ただただ見つめていた。
花のように見えるが花ではない。
この木の実の甘さは半端なかった。
砂糖を丸ごと口にしているかのような甘さで、
舌の上で瞬時にとろけるその果実は、
まるで宇宙からの贈り物に思えた。
さて、僕らはお昼ご飯を食べるために集会所に移動した。
バイキング形式で、様々なその土地のものを食した。
丼が1つで、その中にご飯もおかずもごちゃまぜで入れまくる方式だった。
味はどれも簡素ながら手の込んだ、ふるさとの味を思わせる。
こんな感じ。
ご飯の後は、リーダーから村についての紹介があった。
台湾語だった。
幸い英語ができる人が数人いたので、通訳してくれた。
私たちの村のコンセプトは「家族」です。
と穏やかに、
でも力強く語っていた。
土地を愛し、仲間を愛し、自然を愛してきたリーダーに感銘を受けた。
そして、
「1年間365日、私たちはこの集会所に集う」
と言っていた。
年配の方が増えてきて、アルツハイマーを患っている人も多いらしい。
そんな中で、政府がデイケアのための資金を50万円の資金提供を行なった。
それがきっかけとなって協会が立ち上がり、今に至る。
活動内容は、
ツアー客を受け入れて文化体験を提供すること
伝統工芸品を制作すること
などがあげられる。
地域でともに支えあっていこうという小規模コミュニティだ。
リーダーによる村の紹介のあと、
村の人は自然と歌を唄いだした。
今日は私たちの村を訪れてくれたお祝いです。
という感じなのだろうか。
「石門填」はとりわけ誕生日とかお祝い事の際に唄う歌らしい。
みんな元気だ。
歌を歌うのは、数分にとどまらず、1時間くらい歌っていた。
本当にかけがえのない集い、そして喜びとはなんであろうか。
最後に石門の人々が制作している工芸品の数々をご紹介。
これに一番感動した。
一枚の布に、絵でストーリーが描かれている。
これはなんと一枚完結型のストーリーである。
言語が通じず、どのような内容を表しているかは読み取れなかった。
しかし、この写真の中だけでも、
12個分のストーリーが表現されていると思うと手が込んでいる。
おそらく、この土地に由来する話であろう。
これは、布で作ったコースター。
こんな布の使い方も。おしゃれ。
これは楽器のようだが、使い方はわからず。
でも、なんか可愛げがある。
台湾の山奥にあるとある工芸村。
食、工芸品などの驚きの数々は冒険心を掻き立てた。
そこは自分にとって未知の世界そのものだった。
このストーリーはかけがえのない経験として、
僕の中に刻み込まれた。
工芸品の高い安いはあんまり関係なかった。
そういう物差しで考えているとつまらなくなる。
高級品とはいわば、「位置エネルギー」のようなものである。
目に見えて数値化できる価値である。
奪われたり無くしたりして、言葉通り落ち込むだろう。
一方で、ストーリーとは一瞬のうちに固まる性質を持つ。
未来永劫価値は変動しない。
台湾の人々は口々に日本よりは質が高くないけど、、、。
と僕の前で話してくれるけど。
僕にとっては、その土地の空気を吸って、うまいものを食べて、人と触れ合って、
未知なる経験ののちに、手に取った工芸品は最高だ。
たとえその工芸品を無くしても、心の中で生き続ける。
キラキラした青春のような生き生きとした豊かさを、
いつまでも心に残る圧倒的な何かを、
旅の中で見つけて生きたい。
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※前回の記事(好心地文創の紹介)はこちら。