冒険家。
それは、難解なものへ挑戦する人。
僕は自称大食いだ。
なぜなら、1食につき、お米3合はぺろりと難なく食べてしまうからだ。
最近よくいろんな人に大食いに挑戦してみたら?と勧められるので、今回満を時して、とてつもなく難解な冒険に挑戦することにした。
挑戦の舞台は、こちら。
「かつさと」八王子平岡町店。
数多くのフードファイター達が涙を飲んできた場所である。
お店に敬意を払い、お客が少ないであろう14:00ごろに入店した。
いざ!
中に入ると、キングカツ丼の実物大が置いて置いてある。
一見、これはいけるんじゃないか?と勘違いするほどに小さく感じた。
(単に、錯覚である。世の中こういう錯覚が溢れまくっているものだ。身を引き締めねば。)
注文して、10分後。
どどん!!!!!!
はやくもデカすぎるカツ丼が登場した。
みなさん、これを見てもあまり大きさがわからないだろう。丼の円の直径は38cmである。
ルールはごくシンプルだ。
このカツ丼を30分以内に食えば無料。
食えなければ2700円払う。
というものである。
このカツ丼の重さは、3kg。
およそ大人6人分の量である。
このお店は、チェーン展開して全国に挑戦者がいるにもかかわらず、成功者は全国に25人しかいない、とあるブログに書かれていた。
武者震いがする!ゾクゾク!
では、タイマーをセットして、
いただきます!!!
10分で、半分近くは食べただろうか。
めちゃくちゃ余裕じゃん、しかもカツ丼うまい!と余裕をかまして、写真を撮ってみた。拳と比べるとこんなにでかい。でも、なんかラクに完食できそうだ。
側面を見るとこんな感じ。
しかし、スタートしてから15分後に状況は一変した。
1つ目としては、カツ丼が全然美味しく感じないのである。水を飲む量がどんどん多くなっていく。そして、その度に、腹がパンパンになっていくのを感じる。息を深く吸えない感じで、プールを泳いでいるのとも近い。大酒飲みは、自分を忘れて没頭できるんだろうななどと、想像を膨らます。
2つ目としては、少しずつカツ丼の熱さでヤケド気味で、舌の感覚が薄れているような気がした。だから、少しずつカツ丼を小分けにして冷ます作戦に出た。
もう一度念のために言うと、
15分の壁は、デカイ。。。
とにもかくにも食べないといけない。
限界に近くなればなるほど、カツが入らなくなってくる。だから、ご飯と卵と玉ねぎを冷ましながら、重点的に攻める。
20分を経過してやや諦めモードになった。この写真からは完食できそうな雰囲気漂うが、1口食べるエネルギー量が半端ない。これは、体感してみないとわからない。
味が飽きるので、唐辛子を入れてみる。
少し食べやすくなる。
そして、最後踏ん張るが、結局、、、
タイムアップ!!!
ピピピピピピピピ。
最後残りはこんな感じ。
あとちょっとじゃんと思われる方もいるだろうが、きちんとお持ち帰り弁当に詰めると、大人2人分の容器がパンパンに。。やはり、この大きなどんぶりは錯覚を作っている。
挑戦させてもらえたのも何かの縁。
器を撫でて、お会計に向かう。
この挑戦から、人間の本質的な感覚に気づくことができた。
大食いは自分にとって、得意なことか、才能があることか、というシンプルな2択だった。
そして、自分は大食いに関して得意なだけで才能がないとわかった。
加えて、大食いを極めるために夢中になるよりか努力をしているビジョンしか描けなかった。
たがらこそ、大食いにポジション取るのはやめようと考えた。
この感覚が得られたので、2700円を払ったとはいえ、個人的には来て本当によかったと感じた。
少し自信持ったくらいで、大きな挑戦をしてもコテンパンにやっつけられるだけなのだ。であれば、自分が持つ才能にいち早く気づいて、それに対してポジションとれ!というメッセージでもあったのだ。
誰しもダイヤモンドのような宝石を持っている。そして、それに気づくか、気づかないかは自分次第である。
そんなに簡単に見つけられるものではないが、せめて自分の好奇心の赴くまま、好きなことしかやらないようにすること。
あるいは、難しいことに挑戦してみて、自分で自分を試してみること。
これらによって、自分の盲目的な部分に気づくのではないか。
我慢して人生の大半を過ごしている人は、自分の人生を自分で選択できていない。
自分の才能、得意な領域でないことに対して、目標達成できずに落胆する人は多い。
そして、こういう経験によって、自分に対して自信をなくすという人は世の中にとてつもなく多い。
でも、それが客観的にみて得意な領域か否か、主観的にみて夢中になれるか否か、を冷静に割り切って判断すれば良いだけだ。自信をなくす必要なんてどこにもない。
世の中の教育は、試験できっぱりと学年順位をつける。しかし、それは、ある一面的な領域でしかないのに、それが全てに思えてしまう。学校の勉強がニガテな人も、もっともっと自分を生かせる領域はある。僕だって、数学で0点を取ったことがあるが、今まで何も困ることなんてなかった。
これからも、自分のダイヤモンドを認識すべく、様々なことに挑戦していきたい。
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<稲村行真プロフィール>
1994年生まれ、千葉県出身。
空き家冒険家。
大学生時代に、100軒以上の日本の伝統的な古民家を訪れ取材して、卒業論文にまとめた。卒論のテーマは「古民家の価値について」。
東京から石川までの約450kmを2週間かけて徒歩で移動し、道中30軒以上の古民家を取材した「古民家冒険project」で、NHKテレビ「おはよう日本」等のメディアに掲載。2017年4月から、東京都日野市の築150年の古民家を活用して、コミュニティハウスを運営。子どもを核として地域がつながるシェアハウスとイベントスペースを運営している。この活動により、交流ある暮らしの場をデザインしている。