本日、三陸芸能短期留学にオンラインで参加させていただき、岩手県上閉伊郡大槌町の「城山虎舞」の演舞を習った。普段は取材するだけなので、舞いを体験することは滅多にない。たくさんお話を聞かせていただいたので、記録を残しておく。
▼三陸芸能短期留学の詳細
虎舞といえば、僕が石川県加賀市で取材を行なっている獅子舞ともルーツが近いと言われており、以前から気になっていた。主に三陸を中心に行われている芸能で、虎の仮面を被って、太鼓や笛の音に合わせて踊る。
虎舞の由来
虎舞の由来は、中国の古い言い伝えが元になっている。中国では、龍は雲、虎は風を司ると言われている。風を原動力としている漁師の船にとって風は重要なもので、それを司る虎の舞いをするようになった。演目の中で、自らが虎になることで、航海の無事を祈願したのだ。歌舞伎の国姓爺合戦の演目を見て、船乗りが始めたとも言われる。
大槌町の虎舞
大槌町は岩手県中部に位置し、わかめ、うに、アワビが特産品の漁師町である。町内には郷土芸能に関する団体が19あり、そのうち5団体が虎舞を舞う。また、5団体中、4団体で虎舞協議会という団体ができている。虎舞以外にはしし踊りや神楽などの団体もある。町内の人口1万人のうち、3分の1は郷土芸能に関わっている。小さい子供からお年寄りまで、コミュニティを形成する上で大変重要な行事である。9月中旬に大槌まつりが開催され、虎舞含め様々な団体が演舞を行う。虎舞に関しては依頼があれば、家を回って演舞をする「門内」というのもある。
▼虎舞協議会の演舞はこちら
東北の大震災後は避難所にながらも、虎舞の活動を少しずつ続けていた。震災前の気持ちに戻っていこうということで、避難所を元気付けるために虎舞を披露した。それによって舞う側も元気をもらうことができた。
演舞の内容
今回、三陸芸能短期留学の中で紹介していただいた城山虎舞の演舞は3つ。全て中腰の状態から舞いが始まる。③の笹で歯を磨くシーンは圧巻。今まで見たことのない舞いの形だ。
①<遊び虎>左右に揺れる→逆さに揺れる→戻って左右に揺れる
②<跳ね虎>リズムが急になる。8の字を描く。
③<笹喰み>1匹が木の影から様子を伺うような反復横跳びのような動作→別の2匹に舞いを引き継ぐ→笹で歯を磨く→2体でじゃれ合う
▼基本パターンを教えていただき、実際に踊った。足の動きは以下のようであった。これ以外に手を震えさせたり、腕を円を描くように上下させたりする動きがあり、慣れないと難しい。
若い人から見た虎舞の魅力
虎舞の一番の魅力は、「虎舞に携わっている皆さんが元気」とのこと。先輩が怖いというイメージはない。虎舞に参加したきっかけは、15歳の時に誘われたからとのこと。
今回、虎舞を実際に舞ってみての感想
離れたところで、見ず知らずの人と繋がり、舞いを行う。それはインターネットならではの面白さだ。今回、実際に舞いを習ってみて、見るだけでなく身体化することが新鮮で、うまくいかないことも多かったが楽しむことができた。汗を流し、本当に良い体験だった。