台湾政治大学で授業開催!台湾 桃園-新北 100km徒歩 「日本人探し旅」まとめ

こんにちは、イナムラです。11月25日に行った「台湾国立政治大学での授業」と「今回の徒歩の旅のまとめ」について書きます。

f:id:ina-tabi:20191207123137j:plain

 

台湾 桃園-新北 100km徒歩 「日本人探し旅」のゴールの2日後、台湾の国立政治大学で授業をさせていただいた。国立政治大学は、台湾の文系の大学の中では、トップを争う大学らしい。とても緊張したが、皆リラックスしてくれて笑いもあり、とても楽しい授業になった。内容としては、今回の徒歩の旅のことと今までの徒歩の旅を企画するに至った背景などで、時間は60分だった。定員が30名の授業だったが、なんと70名の応募があったそうで、とても嬉しい。台湾の大学生(中国の方もいた)がこんなに徒歩の旅に関心を持ってくれるなんてとてもありがたい。

 

授業に招いていただいた背景としては、学生の目線から「こんなにたくさん挑戦して行動している人がいると言う刺激」を与えられることを大学側から期待していただいた部分が大きいように思う。やはり、自分は歩くということによって人を勇気づけることができる応援団やエンターテイナーのような役割が少なからずあるのかもしれない。一方で、この「たくさん行動している大学生」ポジションから、「きちんと自分の作品が世界に認められる若手」に成長していかねばというのは常に感じている。さて、自分の作品をどう深めていくのかがこれから大事になってくるだろう。

 

f:id:ina-tabi:20191207124447j:plain

 

今回の徒歩の旅の成果としては、考現学の手法に近い形で、台湾の中にある「日本」について新しい視点から考察できたことだった。つまり、日本と台湾は昔から違う国であるが、異文化同士の交流・交易が盛んで、それぞれの文化がそれぞれに輸出輸入を繰り返してきた。台湾在住の日本人インタビューや、台湾の路上観察を通してその断片を明らかにしていこうという試みが本企画である。これを進めるにあたって、あらかじめ調査項目を定めることなく、ざっくばらんに調べ上げて、後から分類して新しい気づきを得るというのが今回の「日台関係」を考察する手法であった。

 

例えば、日本人インタビューの中で、台湾は極彩色を好むけど日本人は侘び寂びの感性から質素なものを好む傾向があるいう話を聞いた後、道中たまたま極彩色の寺院やレストランのメニュー表を見かけたのでインタビューの話に納得がいき、写真を撮影した。また、歩いている途中で、路上に桜の花の絵が描かれており、そこから僕は日本を発想できたので、写真の撮影を行い記録しておくということもあった。これを繰り返すうちに、「日本文化との共通点」「日本政府が作ったもの」「記念碑」など、様々な日台関係を探るキーワードが見えてきたのである。このように多視的に、「日本」という自国のアイデンティティとそのイメージに迫ったのが今回の企画だった。

 

僕はこれをなぜやろうと思ったかというと、自分が所属するコミュニティや居場所がよくわからなくて、それについて考える機会が多かったからのように思う。高校までの自分はどこの誰とも仲良くなれるけど、深い人間関係を知らないような人だった。大学に入ってからは、アルバイトを30個やっては辞めを繰り返した。大学を卒業してからは、「ヒラヤマちべっと」というコミュニティスペースを東京都日野市で作った。基本的に僕の頭の中で、なぜ人はそこに所属してそこにどのような縁があったのかを問うことが多くなったのである。その一方で、公益的に人の役に立ちたいという思いもあり、自然と地域、市町村、都道府県、国などの「分け目」に着目して、コミュニティを盛り上げていきたいという想いもある。

 

f:id:ina-tabi:20191207132343j:plain

さて、今回の徒歩の旅の成果と今後の検討事項についてである。今回の徒歩の旅で感じたのは、この旅のテーマを質と量でどう掘り下げていくかということを検討せねばならないということだ。3日間で100km歩くという旅だったので、3日というインパクトは確実にあった一方、「歩ききるという意識」と「作品をしっかり作りあげる」ということの両立をどう行うのかと言う視点も追求していきたい。今後、世界で徒歩の旅を開催していくに当たって、ゴールする日を決めずかなり余裕を持って報告会の日程を組み、加えて、道中1日40km歩く想定を、1日10kmまでハードルを下げてその分路上観察やインタビューによりじっくり取り組み、写真を撮影するというのも良いかもしれない。より深い気づきを得られるだろう。これを実現するには、「資金調達」をして、宿泊と食事に余裕を持たせるという現実的な視点も必要になるだろう。

 

また、その作品自体をより多くの世界中の人に見てもらうためには、さらに作品自体にインパクトを持たせないといけない。自分の撮影スタイルは、例えば石川県加賀市で実施している「KAGA SHISHIMAI project」のように、真面目なドキュメンタリーを、変わった視点でひたすら撮りまくるという地道なものが多いので、その物量によるインパクを目指していくのも良いだろう。凝ったライティングをするとか、おしゃれに撮るとかそういう細々とした繊細な工夫を凝らすよりも、自分の圧倒的物量と行動力がものを言うような極めて「記録」に近い作品作りを行うのだ。そして、自分の撮りたい「質感」や「」のものを撮影してそれをきちんと自信を持って、人に見てもらわねばならない。

 

発表の場は、今回のように大学での授業はもちろんのこと、アートフェアやイベントで自分の作品に近いコンセプトのもので、しかもすでに集客が期待でき、市場が存在するものに乗っかっていくことも必要だろう。前回、東京-石川徒歩の旅第2弾で出店した「マニアフェスタ」のようなアート系じゃないイベントも色々と開拓していきたい。展示や冊子を通して、この徒歩の旅のプロジェクトを多くの方に知っていただけたら嬉しい。出版社も興味を持ってくれたら...と感じる今日この頃である。ひとまず、今考えていることはこのような感じだ。
 

※文中の写真は国立政治大学にご提供いただいています。撮影いただき、本当にありがとうございました。