稲村行真 Yukimasa Inamura ブログ「旅してみんか」

「伝統文化の魅力」を広めています。日本の伝統的な木造建築の古民家とその街並み、山奥の少数民族の村、過疎地どこでもフットワーク軽く旅をしております。

台湾 桃園-新北 100km徒歩 「日本人探し旅」1日目

こんにちは、台湾の徒歩の旅1日目を迎えたイナムラです。今回、台湾の桃園市から新北市(烏来)までの100kmを3日間で歩き、道中現地在住の日本人をインタビューするという旅を行なっています。名付けて桃園-烏來100km徒歩「日本人探し旅」です。なぜ徒歩の旅第3段をやることになったのかということや、実際に1日目がどうだったのかについて書きます。

 

●なぜ、台湾で100km旅をするのか

▼台湾国立政治大学USR

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遡ること2019年夏。僕は、石川県加賀市で、大学生のワークショップ「PLUS KAGA」に運営メンバーの一人として参加していた。大学生が自分たちの考えたアイデアを地域の人にプレゼンテーションする「公開プレゼンテーション」で、8月31日から9月14日まで東京-石川500km徒歩「加賀人探し旅」をやるという告知をさせていただいた。それを聞いてくださっていた台湾からの視察組のメットさん(許阿赫)や陳さん(陳誼誠)所属する台湾の文系トップ大学「国立政治大学の組織(USR)」の方々が興味を持ってくださり、ぜひ台湾でも徒歩の旅をやってみないかというお話をいただいたのがきっかけである。

 

▼徒歩の旅のフライヤー(製作は石川県加賀市「PLUS KAGA」の金田ゆりあさん)

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僕の徒歩の旅企画は、いわば「地域の外から地域を見る」というのが1つのテーマになっている。地域に住んでいたけど、今は他のところに移住したという人から見た「故郷」について問うことで、より新しい視点で客観的に、地域性や国民性に迫ることができるのではないかという試みである。東京-石川徒歩の旅の時は「石川県加賀市出身者」を道中SNSや知り合いづてに探し出し、インタビューを行った。今回の台湾も同じように、「日本出身者」を道中探し出して、インタビューを行うという企画である。

 

また、今回の企画はスポンサー付きである。台湾国立政治大学USRの方々のサポートのもと、きちんと仕事として初めて徒歩の旅を実施する運びとなったのだ。初日の11/21は大学教授の勉強会、ゴール後の11/25は国立政治大学での授業でそれぞれスピーチをさせてもらうことになっており、とても楽しみである。さて、実際に台湾での徒歩の旅はどういう展開になったのか少しずつブログで更新していく。

 

●成田空港からの出発

台湾入りの前日の天気予報は「台風」だった。台湾ではこの時期滅多に台風が来ることはない。これはある意味面白い展開になったと思った。やはり、徒歩の旅は少々困難があった方が楽しめるというものだ。出発前のロビーで考えた。なぜ、僕は徒歩の旅をやるのか…?

 

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出た答えは単純で、自分が所属するコミュニティとはどのようなものなのかを知りたいというシンプルな欲求だった。僕は大学時代にアルバイトを30個やっては辞めを繰り返してきた経緯があり、自分は人が当たり前にできることができない人間だという意識が強かった。それゆえ、自分はどこに所属すれば良いのかをひたすら考えたし、個人、地区、市町村、都道府県、国と様々なレイヤーやコミュニティに「分け目」が存在していて、なぜ僕はそこに属するのかに大変興味があった。

 

だから、自分がいつもお世話になっている「加賀」について向き合いたかったのが前回の旅だし、自分の生まれた国「日本」について知りたいと考えたのが今回の旅である。さて、今回は様々な出会いと路上観察から、どのような答えが導き出されるのか、非常に楽しみな旅となりそうだ。そんなことを考えながら、23:00頃に飛行機に飛び乗った。

 

●夜中3時の出迎えと夜明け

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台湾の桃園空港に着いたのは、午前3:00だった。こんな遅い時間に出迎えてくれる今回の徒歩の旅の協力者・メットさん(許阿赫)と陳さん(陳孟少)にとても感謝感激である。そして、これから麺でも食うか?と誘ってくる元気さに脱帽だ。

 

▼メットさん(少しぶれた)

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▼陳さん(顔こわい)

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ひとまず、皆でホテルに向かって、今日はさっさと寝ることにした。
朝は8:00頃に目覚めた。ホテルからの風景は格別に美しく、大変日当たりの良い素敵な部屋を用意していただいた。朝日が美しく入り込んでくる。今日1日をどう過ごそうか。SIMを入れて少々手こずりながら機械音痴ぶりを味わい、なんとか開通すると、陳さんと朝の賑やかな大渓の街へ繰り出した。

 

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大渓では、「Traditional Taiwanese Breakfast」という朝食をいただいた。さすがボリューミーな台湾。自分にとってはちょうど良い量でお腹も満たされた。その後、プレゼンテーションの会場に向かう。これから、台湾やタイからの大学教授や博士に向けて、前回の徒歩の旅と今回の徒歩の旅のスピーチをさせていただくのだ。

 

●台湾の大学教授の前でプレゼンテーション

台湾には大学連合「URS」という集まりがあり、social responsibilityや大学と地域との関わりについての勉強会が行われる。今回はその中でも「山水同盟分享會」というグループに呼んでいただいた。場所は「桃園大渓物産所」という日本の物産も取り扱っている文化の発信拠点のような場所で、参加者は博士以上の学生か教授合わせて約30名だった。台湾の国立政治大学中央大学、タイのタマサート大学など日本で言えば東大クラスのエリート達を教える先生ばかりで皆めちゃくちゃ頭が良さそうなので、自分の経験をどう学術的に捉えてもらえるかという心配がありながらも、実践に勝る研究はないと感じているので、今までの徒歩の旅の試行錯誤について素直にお話しさせていただいた。

 

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スピーチの時間は60分間。東京から石川まで歩くことになった経緯とそのきっかけとなった大学生ワークショップ「PLUS KAGA」についてや、第1回の徒歩の旅「古民家冒険Project」での学びと、それを第2回の「加賀人探し旅」にどう繋げたのかという話、そして、第2回の徒歩の旅のインタビュー結果や徒歩の様子、組織体制などについてお話しさせていただいた。皆犬村くんのグッズ製作のこと、徒歩の旅中どう過ごしたのかのことなど笑いもあり、プレゼン資料の写メなども撮っていただいてとても有意義な時間となった。通訳をしてくれたのは上の写真で赤い服を着て、マイクを持っている王さん(王立中)だ。今回のプロジェクトに関して、僕と台湾を繋いでくれた人で、企画や発表についてたくさん相談させていただいている。

 

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その後も、台湾原住民出身でフルーツをはじめとする物産のプロモーションについて研究している方(趙さん)の報告や、先日のPLUS KAGA視察について陳さん(陳誼誠)の報告があり、その日の会はお昼で終了となった。後半は、手作りごはんがたくさん並び、食べ放題だったので、午後の徒歩の旅に備えて、たくさん食べさせてもらった。

 

▼左端下が趙さん、右端上が陳さん(陳誼誠)さん

f:id:ina-tabi:20191122074707j:plain最後に集合写真をパシャり。

 

●徒歩の旅開始&日本人インタビュー(2名)

午後は、いよいよ日本人インタビューから徒歩の旅は開始した。メットさん(許阿赫)の知り合いで大渓在住の日本人・近藤香子(かのこ)さんにお話を伺った。

 

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近藤さんは台湾に住んで15年。東京の武蔵野市出身で、日本語教師になり、台湾で働くことになったのがきっかけで移住した。台湾でご結婚され、大渓に住み始めたようだ。今はこの大渓の観光案内所のような役割にもなっているカフェ「SinNan」で働きながら日本人にこの町の魅力を伝える活動をされている。

 

日本の武蔵野に比べて台湾の大渓は移住した当時、田舎でバスの本数も少なく、自転車を使うにも坂があり、自動車も持っておらずとても交通の弁が良くなかったため、日本の交通網は非常に発達している印象だったという。

 

また、台湾で生活していく中で日本人と台湾人の気質について以下のような違いに気づいたらしい。

・台湾人の方が人との距離が近く、日本の田舎にも似たコミュニケーションを行う。例えば、市場でおばちゃんが何買ったの?と袋を引っ張ってくることもあるという。

・それに関連して、台湾人の方がコミュニケーションが直接的とのこと。例えば、何か交渉するときに値段をすぐに聞いて日本のようにオブラートに包んだ言い回しはしないという。

・日本人の方が良くも悪くも礼儀正しいということだろう。

・台湾人の方が発想が柔らかくて、色彩感覚が良い。面白いエピソードとして、小学校で絵の授業があると、皆生徒それぞれが全く別の絵を描くという。自由で個性が日本よりも尊重されるような気風があるのかもしれない。

 

そして、日本に対して、台湾が親日的なことについて。やはり、日本統治時代に日本の技術力でインフラが発展したという事実があり、例えば蛇口をひねると当たり前に水が出てくるということは当時革新的なことであったらしい。中国の国民党政権になってからの政治と比較して、日本に好意を抱くという人々も多いようだ。一方で、台湾原住民と日本の統治政府の間には、領土の境目で争いがあったらしく、そのことを覚えているご年配の方もいるのではないかとのこと。

 

やはり、台湾に長年住んでいる日本人だからこそわかることがあると最初のインタビューから改めて実感した。近藤さん、貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

 

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その後、桃園市の駅近くの道路まで車で乗せて行っていただき、徒歩の旅を本格的に開始。一緒に同行してくれるのは、徒歩の専門家・陳さん(陳孟少)で、動画撮影のためのGoproまで用意してくださって、様々なサポートをしてくれる。やはり、台湾の道路は歩行者が少なく、道が狭い。同時に大量のバイクと車に圧倒され、大量の看板と屋台に日本にはない熱気を感じざるを得ない。

 

歩いて30分ほどで、2人目の日本人・スーさんとPOYAというスーパーで合流した。スーさんは、日本の愛媛県宇和島市のご出身。オーストラリアにワーホリに行ったのがきっかけで出会った台湾原住民(アミ族)の男性と結婚して、台湾の桃園に住み始めたという。現在は台湾に住み始めて3年目で、ご自身のブログや登録会社のライター、お弁当屋、カフェなどで働いているという。スーさんのブログ、僕もLCCの手荷物制限のことなどを参考にさせていただいた経緯もあり、台湾での生活のことなどリアルな役立ち情報満載なので、ぜひチェックしていただきたい。

→こちらがスーさんのブログ

tsugidoko.com

 

▼右の方がスーさん、真ん中が徒歩の旅サポートの陳さん(陳孟少)

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台湾で生活していく中で、日本人と台湾人の気質の違いについて、以下のようなことに気づいたという。

・日本のコンビニはクオリティが高いのに低価格でその点が便利。

・日本人は接客が良くも悪くも丁寧で、台湾人はそこまで細かい気配りをしないのである意味寛容なところがある。面白いエピソードとして、台湾のとあるレストランに入った時に、注文した料理に髪の毛が入っていた。そのことをお店の人に話したところ、日本では返金するべき状況なのだが、ここでは特に重く受け取ることはなく受け流すという対応だったという。やはり、他人の失敗に寛容なのが台湾人、厳しいのが日本人と考えることもできる。サービスが行き届いているのが、日本と言うことも出来る。

・それに関連して、台湾人にとって日本の自殺率は驚くべき数字のようだ。やはり、日本社会は人当たりに厳しいのだろうか…。

・また、転職に関しても台湾の方が寛容だという。どんどん挑戦して、ダメだったら辞めるという試行錯誤が自然とできるらしい。

 

また、スーさんと話をしていて面白かったのは、台湾原住民の旦那さんと会話するときの第一言語が英語だという。お互いの母語である台湾の言葉も日本語も使わず、会話が少し困難な方が喧嘩をしても、不安なことがあってもオブラートに包めるし受け流せるのが良いという。このことを聞いたとき、なるほど!と心の中で手を打った。日本人と台湾人の国際結婚した者同士が集う友人グループもあるようで、お互いのどちらかの言語に合わせる場合もあれば、英語に統一する人もいて、様々だという。

 

やはり、台湾に移住した日本人は、物事を吸収したり受容したりするのが早いし、それが上手な方が多いなと感じた。スーさん、お話を聞かせていただき、カフェのケーキとコーヒーまでご馳走になって、本当にありがとうございました!

 

●出会いに恵まれた1日

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それから、大渓に向けて、日も暮れてしまった道を歩いた。途中、初体験の檳榔も味わうことができ、街を眺めながら歩き、楽しんだ。台湾初日から、とても濃い1日となった。雨も大降りにならず、予想していた台風もあまり酷くはならなかったので、とても快調な出だしである。クマのいる宿泊所に案内していただき、ここで今夜を明かすことにする。明日の徒歩の旅2日目に向けてしっかりと休みたい。