【2020年10~11月】石川県加賀市 獅子舞取材2日目 小塩辻・宮地町・千崎町

昨日の獅子舞取材は、小塩辻でヤギの飼育などをされている宇谷さんのご案内で、金明地区の3地域を回ることができた。以下、各地区で聞いた話をまとめておく。

①小塩辻町

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小塩辻町の獅子舞は、青年会館に置いてある。公民館ではなく、青年会館というのがポイント。運営主体が青年団になっているのだ。青年会館は鍵が開きにくいが建物自体はとても綺麗で、そこに獅子頭2体と小道具が保管されていた。1つは鼻が少し擦れている年季の入ったもので、もう1つが舞っているときに鼻を地面に叩きつけてしまい割れたが修理したというものだった。この地域は、祭りが始まる朝6時からお酒を飲んで舞っているので、酔いが回りやすく鼻を誤って叩きつけてしまったとのこと。獅子頭のデザインを見ると、白山市鶴来で作られたような形をしている。小塩辻町ならではの特徴は、お花代の額が高額であること。平均的に1万円が相場となっており、区役となると3万円出すところがある。他地域では3000円くらいが一般的。背景としては、競り合いの相乗効果で自然と花代が高額になっていき、区長になるためには家柄やお金がないとなれなかったことが関係している。また、舞の演目が「新と旧」の2種類しかないというのも特筆すべきである。周辺地域は8~10ほどの演目があるので、数が少ない。加えて、近年はどんどん舞い方がシンプルになっているらしい。昔は、目や耳を動かす獅子頭を使用しており、その動作も今より細かかったという。舞い方は独自のものがあり、芋掘りの動作を意識して練習させられるという。蔓を持ってぐーっと手繰り寄せて、獅子の中から芋が出てくるイメージだそうだ。周辺に農家が多かった名残であろうか。

②宮地町

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次に伺ったのが、宮地町である。この地区は青年会館と公民館が隣接しており、青年団の部屋には漫画やお酒などが置かれていて何やら楽しげであった。ここに獅子頭が1つだけ保管されている。宮地町の獅子頭の特徴は、非常に軽いことである。何キロか測ることはできなかったが、これほど軽い獅子頭はなかなかみたことがない。耳の部分が踊ると動く仕組みになっているが、紐で止めてある造りなので、自分で操作することはできない。獅子舞の伝来経路は橋立経由で伝わったそう。昔の橋立は祭りの時に関所のように酒を飲まないと道路を通せんぼするなど、やんちゃで激しく勇ましくて、なかなか近づかなかったという。一升瓶に「愛のメモリ」というのが打ってあったらしい、松崎しげるのオマージュである。今から30年くらい前に、酔いすぎの若者を注意した時に喧嘩になって死亡事故も起きた(ここに関しては真偽不明)。そのイメージがあって、この小塩辻や宮地をはじめとする金明地区の人は橋立は怖いから近づかなかったそうだ。橋立は今ではかなり丸くなったようだ。舞の種類は8パターンもあるが、全部覚えてはいないという。棒振りがゆっくり動くことに特徴がある。舞い方に関しては決まりがあるわけではなく、継承されていくうちに少しずつ変化していく感覚があるらしい。この地域の花代は5000円、歴史のある主屋が1万円、区役がその上となっている。金額によって舞いを変えるわけではない。お花代が高額である背景としては宗教が絡むと助成金をそっくりそのまま受け取れないなどの背景もある。今年は高校生が3人入ったのでピザパーティーをしたそうだ。

③千崎町

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最後に伺ったのが、千崎町である。この地域では獅子舞の小道具が非常に整然と几帳面に収納されている。獅子頭は黒色の雄で、周囲の地域に雌が多いので、その分角があり獅子のサイズも大きいのが特徴である。重さも当然重い。平成二年に制作が行われたと獅子頭の裏側に書かれている。この地域の獅子舞の担い手は非常に若い。小学生から29歳までが青年団で、それ以上が壮年団ということになる。近年は人手不足で、壮年団が青年団の獅子舞を手伝うこともあるらしい。ただし、棒振りは次世代への継承や評判を考えて小学生が行う場合が多い。ここも橋立から獅子舞を習ったと言われており、橋立が獅子舞の中心地域の1つだったことがわかる。舞の種類はなんと10種類もある。お祭りは毎年シルバーウィークにやる。