建築とデザインの様々な可能性を探ってきた。
舞台は台湾第3の都市、台中。
レインボービレッジ 。
ある1人のおじいちゃんがひたすら絵を描きまくった結果、虹色の村ができたという。
僕はこれを見て、一種の夢の国的な幻想を垣間見た。
つまり、ディズニーランド的な世界観と近くて、現実世界との乖離がポイントである。
フォトジェニックであることがこの村の特筆点である。
しかし、僕はこの村にたどり着いた瞬間、少しこじんまりしすぎていると思った。
こういうものを作る時はいろんな人と組んででっかいものを作った方が、夢の国のような作り込まれたエンターテイメントは表現しやすいと思った。
でも、その論理では語りつくせないものもあった。
それは、目には見えない1人のおじいちゃんが描いたというその月日とストーリーだと思った。
僕にはそれはできないし、やりたいとは思わないけども、そのストーリーこそが人を惹きつけるのだ。
エンターテイメントは人間にとって必要かと言われると必要でもないけど、それだと寂しいのが人間のサガであろう。
人生にまるで彩りを加えるように、その村は存在していた。
台湾のとあるカンパニーを訪ねた。
台中の市街にある好心地文創だ。
コミュニティビジネスの新しい形がここにはあった。
元々はデザイン会社で、特異な点はローカルな職人コミュニティに着目した点だ。
台湾全土の約50ほどの職人コミュニティをヘルプしていき、伝統工芸品等のデザイン性あふれる製品の販路を作っていく。
最近はツーリズムにも着目しているようだ。
旅行のツアーでコミュニティを訪問する導線を作ることによって、
その土地を感じてもらい製品まで楽しんでもらう仕組みが出来上がった。
デザイナーというベースがあってこそだ。
コミュニティというのはデザインの力によって成立しうると感じた。
そして、デザインに対して大きな可能性を感じた。
7/15から数日間仕事体験をさせてもらうことになり、非常に楽しみだ。
ファウンダーのくまさん(愛称)ありがとう謝謝!!!
緑光計画。
好心地文創からほど近いところに、水道局の職員住宅をリノベした素敵な空間がある。
范特喜(Fantasystory)という会社が運営している。
1階は主にデザイナーに貸して、自分のプロダクトを販売する空間となっていて、2階は主に学生のイベントが開かれるスペースとなっている。
僕が訪問した時は約50人ほどの学生が将来について考えるイベント?のようなものを開催していて、規模感と盛り上がりに鳥肌がたった。
また、内装のデザイン性が非常に高くて見応えがあった。
日本人の建築家も関わっているようで、日本人とも話をすることができた。
無為草堂。
かなり立派で緻密な木造建築。
高価な食事処となっているが、特別に中を見学して撮影する許可をもらった。
池を中心に様々な個性的な部屋が周辺を囲む。
山小屋のベンチのような席もあれば、完全なお座敷のような個室もある。
くねくねした回廊のような廊下は冒険心を掻き立てる。
薄暗くて暖かな明かりは食欲をそそるばかりか、
自分を奮い立たせエネルギーをくれる。
木材と暖かな光の関係はいつも密接であると改めて感じた。
http://www.wuwei.com.tw/about/about01.htm
台中国家歌劇院。
日本の建築家、伊藤豊雄の設計。
この建築は外側からは魅力がわからない。
もちろん外装の迫力も半端ないが、1階から6階まで順々に見学してみると、じわじわくる感動に鳥肌が立ってウルっときた。
まず、1階を入ると、伊東豊雄らしい曲線の柱天井や柱に目線が行く。
それはオペラハウス独特の世界観で、不安やワクワクやいろんな感情を凝縮している。
ぼくは、自然とこの建築を「砂漠」と「洞窟」に置き換えていた。
自然界のシンプルな曲線は端的に言うとこういうことだろうと思った。
順番に上がるうちに、1フロアの中でも緩やかに床の高さが異なる空間が出現。
これに妙に感動した。
ああ、ぼくは1+1=2とか、y=2xみたいな建築には全く興味ないんだと思った。
言うなれば、1+100=101とか、y=X2
のような何か規制の枠組みを壊したくてしょうがないくらいに、何かに振れているけどもきちんと機能している建築に魅力を感じていた。
自然はもっと複雑で曖昧で個性的で彩り豊かで、そう言うものが作れないと人はつまらない生き物になってしまう。
6階は空中庭園だった。
写真では、表現しきれない曲線的な魅力があった。
どことなく、最果ての地であるチベットを連想させ、ウルっときた。
無駄なものはなくどこか澄み切ったシンプルな空間に、自然の息遣いを感じた。
このほかにも、紹介しきれないくらい台中には面白い場所がたくさんある。
面白いことに、台中という場所は一括りにこういう町であると著述しづらい。
だから、面白かったものをポンポンポンとのっけてみた。
同時に、自分の視点そのものを括ることも現時点では非常に難しい。
ひとまず自分は木に代表される自然的なデザインとか空間が好きで、それが人間の多様性とか個性の開花に寄与すると同時に、集合するエネルギーをも満たすようなものに対して、より知見を深めていきたいと考えている。