獅子頭作り 28日目

本日、茨城県石岡市での獅子頭作りは28日目。本日はひたすら穴を開ける作業を行った。というよりも、師匠がしてくださっているのを見ていたという方が正しいかもしれない。というのも、あまりにも精密すぎる工程なので、僕ができるところはほぼない。「穴を開けるって言い方はちょっとなあ」みたいな話をしながら、穴が開いていくと、どんどん獅子頭に近くなり魂が入っていくような獅子頭に見入っていた。

耳がはまり、ピン!と立った姿がどこか威勢の良い感じでよかった。耳は事前に師匠が細い円柱状の木をはめてくださっていて、ありがたかった。それから、顎を取り付けたら、開閉の角度の調整が難しかったが、少しずつ削りながらゆっくりと調整した。そして、獅子頭内部に通す横棒の持ち手も取り付けた。その3つが取り付けられた獅子頭はようやく可動することができるようになり、まさに生き物のようだ!と思った。本日の工程により、獅子頭作りは大きく進んだ。

後半はひたすら獅子頭の内部(うちぐり)を彫り続けた。薄くしすぎると良くないので、その塩梅を確かめながら彫った。手で内と外を触りながら良い塩梅を探って彫っていく。普通のノミや小刀ではなかなか滑らかに彫っていくことが難しいので、師匠に先が半円を描くような形をしたノミをお借りして彫り進めた。するすると進んでいく。

最後に師匠からインドネシアでの話を雑談的に伺った。20年以上にもなる獅子頭を彫り始める前のこと。大学時代にインドネシア研究会に入っていて、大学3年生の時に3ヶ月インドネシアにいって、民泊をしてインドネシア語を話してみたらその家のお婆さんに喜ばれたり、バスに乗ったら牛や豚、鳥などが家畜として人間と一緒に乗っていた話をしてくださった。「あの時の仲間は、かんぴょう栽培をしていたり、インドネシアの採掘プラントに勤めたりといろいろな仕事についてるけどまともなのは俺くらいだな!獅子頭職人!」とのこと。教室の生徒さんが「ほんとまともですよね」といって爆笑していた。獅子頭職人自体が日本全国でも珍しい仕事だと思うが、ここまで面白い話ができる職人さんも珍しい。

獅子頭職人になったきっかけは、「石岡でお祭りを見ていてお獅子かっこいいな、獅子頭ほしいなと思っていたけど、お店で見たは30万円もすると知って、それなら自分で作ろうと思い、10回分の獅子頭づくり講座を市内で受けたが、結局終わることがなく、それから何度も他の教室に通ってようやく1年半かけて獅子頭を完成したんだ」という。「失敗することが大事だよ」という教訓を教えてくださった。今では獅子頭作りならなんでも教えてくれる師匠の裏話である。