猿が乱入する獅子舞!?上岩橋の獅子舞 千葉県酒々井町 2023年

2023年4月2日、千葉県酒々井町で行われた上岩橋の獅子舞の様子をお届けする。

 

コロナ禍に実施することが叶わず、4年ぶりの演舞となった。当日はオボナス様(産土神)のお祭りで、五穀豊穣の獅子舞が演じられた。「水争いはオボナス様が背中合わせだから」などというエピソードがあり、オボナス様はある意味、争いごとを納得させる、全てを受け止めるというような地域信仰の中心にあるものだ。

地域内3つの神社(駒形神社菊名神社、大鷲神社)を巡った。これはすなわち、異なる氏子を繋ぐ獅子舞でもある。現地で行われた舞はとおし、親獅子、れいとろ、弓くぐり、白刃の5つだ。

とりわけ興味深いのは弓くぐりの演目。これは会津の彼岸獅子などで見たことがあるが、一種のサーカス性を感じる。つまり、動物調教の類いであり、この演目の歴史を遡れば、実際の動物を操り手懐けていたのではないかと思われる。そのような証拠はもちろんないが、三匹獅子舞の歴史が始まった室町時代ごろ以前の世界であろう。あとは弓という道具からして武芸的な要素も後々加わったと思われる。

また、弓くぐりに登場した獅子を真似してからかう、道化役の猿の存在が興味深い。

これもおそらく大昔を遡れば、猿芝居として実物の猿が登場していたに違いない。ひょっとこなどの道化役となんら変わりのない娯楽性を神事に取り入れることで、お客さんを楽しませるという風潮が始まったのだ。平和な時代に祈りよりも楽しみを。そういう江戸時代の人々の願いが手に取るように浮かび上がってくる。

この猿役は子どもにお菓子を配っていた。お菓子を配ることで、獅子舞に興味を持たせ、担い手を増やそうという町もある。上岩橋の場合はどうかわからないが、これもおそらく娯楽性の1つということだろう。

これからの獅子舞はどのように娯楽性を作っていくのか。お菓子をあげるのも手ではあるが、プラスアルファで何か必要な気もする。娯楽性がなければ人は集まらない。それがあってこその地域交流が成り立つのだと思う。