石川県小松市の祭りの特徴は?曳山や演劇の文化に触れる

10月20日

16:00~ こまつ曳山交流館みよっさ

予定がぽっかり空いたので、思いつきで石川県小松市の曳山交流館みよっさに訪れ、曳山の展示を見た。とにかく大きいと思った。絹織物を中心とした町民文化の繁栄がうかがえる。中心となるお旅まつりの始まりは江戸時代の前田利常が小松城に隠居した1640年ごろの話。小松城下の整備の時で、宮大工を連れてきたときの技術に下支えされている文化である。昔から国府があったので、小松といえばこの周辺地域の中心を担うような町であり、祭礼も徐々に大規模化していったようだ。曳山の引き揃えの姿は圧巻である。人手も必要だし、資金力も必要だ。現在は、修繕をちょこちょこしながらも、一気に全面取り替えにならないように工夫をして直しているという。町内の寄付、助成金、ご祝儀などを元手に町内会が運営をするらしい。この曳山において、獅子舞が目立つような場面はない。曳山と同時に登場する神輿に行道獅子がついてくるか否かが気になるところである。2つの神社から神輿が同時に出発するという特異な形態を取っているのが面白く、一箇所では白馬が先導することは聞いたが、スタッフさんももう一方の先導役は注目してご覧になったことはないようだ。また、各町内で運営されている獅子舞に関しては、加賀市片山津温泉などのエリアと、小松の獅子舞(串町や安宅、矢田野など)との繋がりも聞いたことがある。獅子舞のことも資料として、たくさん保管されていると以前伺っていたので、またの機会にじっくりと見に伺いたい。

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18:00~ 大杉ミュージカルシアター練習会

白山市で大学講師を務めるアメリカ出身のガートさんのお宅で行われた。ガートさんのお宅はミュージカルを実施できるほどに広く、天狗面やら獅子頭やらネットや知人経由で集めたお宝がたくさんあり、興味深かった。人を招きたくなる家とでもいうべきか。その家自体が博物館のようにも思えて探検するのが面白かった。

大杉ミュージカルシアターの練習に顔を出した。ガートさんのピアノ演奏に合わせて、10名ほどの大人が歌を歌う。音楽の授業だと思った。とても懐かしい気持ちで自分も参加した。白山の開山にまつわる曲は非常に興味深く拝見した。信仰のお山を登るのを危ないからと止める周りの人々、それでも登りに行く泰澄..。当時の様子をありありと身体的に描き出す試みは大変興味深かった。獅子舞の曲や天狗の曲もあった。日本の民俗学みたいなものを、広く多くの人に伝えていくには、曲というものが必要になるときはあるかもしれないと思った。聞いているだけで、とにかく楽しい気分になれるのだ。

加賀市に滞在していると、小松市の子供歌舞伎やら、人形浄瑠璃やら、ミュージカルやらと演劇的な文化が盛んであることが面白い。人形浄瑠璃はとりわけ人口減少が進む山間部に存在することが非常に興味深く感じられた。大杉ミュージカルシアターも結局は、大杉という山間部での活動であり、国際的な演奏会に招かれても基本的には山間部など少しマイナーな地域に向かうことが多いという。過疎地同士で繋がる山の民のネットワークとまでは言い過ぎかもしれないが、人を惹きつける磁場みたいなものは感じた。

ライターをしていると、身体的に何かを表現するという機会がない。そのため、久しぶりに普段使わない脳の部分を使った気がする。

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