獅子舞の魅力を子供に伝えるには?獅子頭制作ワークショップ in 七尾市

獅子舞の魅力を子供たちに伝えるべく、獅子頭のワークショップが石川県七尾市・のと里海里山ミュージアムにて開催された。現地に伺ったので、感じたことについてここで振り返っておきたい。講師は、富山県射水市の久宗獅子舞工房さんだ。受講料は1700円で、午前・午後にわたる大充実の内容であり、小学校への告知などで定員10組のところ9組が集まったようだ。今回の獅子頭の制作フローと概要については以下の通りである。

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まず、動画を見て実際の獅子頭と、段ボールの獅子頭の制作フローをそれぞれ確認し、既に出来上がっている段ボールの原型に色紙を貼るところから作り始める。赤い下地を貼ってから、黄色の目やら鼻やら口やらをつけていくという流れだ。耳や角はコップの切りはりでつけていった。最終的にはその作った獅子頭を使って踊るというところまで実施された。子供達は耳や目などの切り貼り作業や獅子頭を持って踊るという場面が一番興味を引いたようだ。

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今回のワークショップ開催経緯としては、のと里海里山ミュージアムから久宗獅子舞工房への声かけがあったようだ。コロナ禍でなかなか進めることができなかったプロジェクトのようだが、10月に緊急事態宣言の解除もあり、今回の開催に至ったとのこと。最初はミュージアムの方が次の企画に向けてネットでリサーチをする中で久宗獅子舞工房のことを知り、「七尾市の祭りでは獅子舞は普段しているが、なかなか詳しいことまで知らない子たちもいるので、能登の暮らしを紹介するミュージアムの企画の一部としてお招きした」とのこと。また、「祭りが途絶えがちな部分もあるので、地域の文化に興味を持って、祭りにも参加してもらうきっかけにもなれば」という思いもあったようだ。確かに自分の獅子頭を作ることで、獅子舞のことについてもっと知ろうという好奇心も湧いてくるかもしれない。

そういう意味で、獅子舞を簡易的にでも身体化して体験できるというのが、このような獅子頭の制作ワークショップの意義であると思う。普段獅子頭に触れることは滅多にない幼児、特に女子もこのワークショップに多数参加していたのは興味深かった。獅子舞の工房をされている方が、その制作工程をシンプルに分かりやすく具現化したものを参加者が体感することで、それは身体性を伴う貴重な経験になったに違いない。獅子頭の耳の留め具がキラキラがついた針金だったこと、耳が動くように取り付けられていたことは特に印象的で、装飾性と機能性を兼ね備える形での獅子頭を模索されていた結果なのだろうと感じた。獅子頭の構造がわかっているだけでなく、子供にとってどこが楽しいポイントなのかを想像する力も非常に求められるため、案外ハードルの高いワークショップだったのかなとも思う。そういう意味で、今回の開催には多くの学びがあった(のと里海里山ミュージアム獅子頭ワークショップについて、参考URLはこちら)。