【2021年9月】石川県加賀市 獅子舞取材 3日目 大聖寺越前三ツ屋町

9月20日

19:00~ 大聖寺越前三ツ屋町

区長の山本誠さんにお話を伺った。越前三ツ屋町の獅子頭を出していただいたところ、その特徴は蛇の目の形をしていることから、 富山県由来のものだと推測できた。実際に現在の獅子頭は昭和28年に富山県の井波で作られたと箱に書かれていたので、その頃には少なくとも獅子舞を行っていたことが分かっている。しかし、獅子舞がいつ始まったのかということは定かではなく、その伝来経路も判明していない。第二次世界大戦の前から獅子舞は行われていて、その時の獅子頭はとても小さかったようだ。それから昭和28年に新しく獅子頭を買ったという流れである。また獅子頭のおでこの所に丸い小さな角のようなものがあり、これをもっている獅子頭は今まで1度も見たことがない。あと珍しかったことといえば、獅子頭が保管されている箱に鍵がついていたことと、獅子頭購入のための寄付者名が箱の蓋に列挙されていたことである。

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獅子舞は桜まつりの時期の2日間で行われ、その他の時期には行われてない。現在青年団は12~3人ほどいて高校生から50代の人まで本当に様々な年齢層が一緒に獅子舞を行なっている。その演目は基本的に太鼓と獅子のみで、棒振りや笛などは存在しない。桜まつり当日は基本的に2日間の中で行われるが、一部祭りの屋台が町内の家の前に立ってしまうため、そこだけ前日の金曜日に舞うこともある。 その時に金曜の夜に舞うことが多いため、近所の人にとっては迷惑になってしまうこともあるが、そこら辺は街の人が寛容なため成り立っている。他の町にも舞いに行くことがあり、各集会所が本陣と呼ばれているためそういう場所を中心に回る。ご祝儀の額によって舞い方を変えることはない。ご祝儀の額は他の町の青年団が舞いに来た時は基本的に3000円だ。また2年に1度民謡踊りというものがあり、子供が山車の舞台に乗って踊るというものがある。この場合ご祝儀は町内・町外問わず5000円が平均となっており、獅子舞よりは金額が大きい。祭りの流れとしてはまず加賀神明宮で奉納の舞を行い、それから公民館、町内の家々という順に舞いを披露していく。子供の民謡踊りが行われる年は基本的にまず民謡踊りを披露して、その後に獅子が演舞を行う。つまり山車に獅子がついて歩くというような形である。越前三ツ屋町は町内に13件しかないので、大聖寺錦町などは獅子だけ単独でガーッと回るがそういうことは基本的にはせず、山車と獅子のセットで回っていく。ちなみに、この民謡踊りが出てくる町はここら辺だと、大聖寺錦町、大聖寺本町、大聖寺越前三ツ屋町くらいである。昭和の時代に8~9割が商店街だった町なので、財を持っていてこのような豪華な山車と踊りが披露できたのだ。

越前三ツ屋町は元々、越前町と三ツ屋町が合わさった町名である。なぜその2つの合同になったかという理由は定かではないが、 現在、その2町の集会所は一つとなっている。この町には本当に様々な祭りの写真の記録が昔からアルバムで残されていて、一番古いと思われるものには年代が書かれていないのが惜しいところだが、それでも子供が大勢写っている写真があったので、昔は子供主体の祭りをしていたのかもしれない。子供が選抜制で舞うこともあったみたいで、それだけ子供が多かったのだ。