【岩手県遠野市】クリエイターレジデンス3日目・しし踊りのモチーフ(?)である鹿のお話など

滞在3日目、イナムラ です。つくる大学のクリエイターインレジデンスに参加しています。鹿踊を始めとした伝統芸能を写真で表現すべく滞在中。今日も地域の民俗芸能やそれのモチーフになった動物に関して聞いた話を忘れないように、ざっくりと箇条書きで書いておきます。

 

①自転車 遠野八幡宮〜カッパ淵

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朝にチャリンコでブラブラと地域の場所を撮影。やはり、神秘的な空気感がものすごくて感動した。撮影した写真は、滞在最終日の12日に報告会にてお披露目予定。

 

 

②宮守の猟師・高橋さんのお話

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・11月〜2月が狩猟期間、それ以外が有害駆除の期間。有害駆除の中には、認定有害駆除と有害駆除があり、前者は岩手県からの仕事で部外者は立ち入り禁止。後者は市からの要請など。

・高橋さん自身は、春から秋に養蜂などをする傍ら、猟に取り組んでいる。また、熊の油を商品開発して販売も行っているよう。

・カモ、鹿、熊などをとり、鹿は11月〜2月。カモは年末が多い。狩猟で一番忙しいのは12~1月の間。

・狩猟に適しているのは、晴れか曇りの日で、雪などが降っているとできない。

・狩猟は趣味で、有害駆除はお金が入る。鹿は1頭1万4000円で、子供の場合は8000円。多い人で年間50頭、約50万円稼ぐ人がいる。

・市が認めた場合のみ捉えた獲物を売ることができる。ただし、納品するときは死んでから1時間半経過していないものに限る。最近は岩手県だと大槌に食肉加工場ができた。あとは、ジビエのレストランもあるが、この1時間半というハードルが高い。

・狩猟免許には3種類あって、アミ・ジュウ・ワナのうち、好きなものを取得する。

・ワナには2種類でククリワナとカコイワナがある。

・狩猟のタイプには2種類あって、ナガシとマキガリという。ナガシは林道に出てきたものを打つ方式で、マキガリは人数を集めて追い立てる勢子(せこ)と鉄砲撃ちに分かれて行う。昔は1日に1頭とるのが精一杯な時代もあり、狩猟の経験を共有するために集団で行うことが多かったが、最近は単独で行うことが多い。

・建前(法律上)は禁猟区以外ならどこでも猟ができるが、実際は土地の人に声をかけてからワナを設置する必要がある。

・血抜きは死ぬ前に血を抜くことで、ホウケツは死んだ後に血を抜くこと。猟師は血抜きをしない。

・鹿肉を美味しい順に並べると、背ロース→後ろ足→ヒレ肉→あばら骨→前足。どこに弾を当てれば美味しい肉を残せるかを考えて撃つ。弾が当たったところは食べられない。

・鹿に対する猟師の向き合い方としては、狩猟と有害駆除で全く異なる。有害駆除はワナで捕獲するため自然に対してフェアではないと考える人が多い。獲っても供養をせずに、ユンボで穴を掘って埋めてしまう。一方で、銃で行う狩猟では供養碑に祈りを捧げて猟を行うし、自分が見つけてそれを撃つという流れなので自然に対してフェアだと考える。

・鹿を供養をするためにしし踊りを始めたのかはわからない。未知なるものへの畏れや敬いを直接対象(山)に向けるのではなく、踊りとして表現したのではないか。

 

③鹿の皮を使って商品製作・NōTO GENERAL STORE

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・ガソリンスタンドを改装して作ったお店・NōTO GENERAL STOREでガパオライスをいただいた。近年は法律の改正でガソリンのタンクを交換せねばならず、それなら新築した方が安いということで他に移ってしまい廃墟になるガソリンスタンドが多い。しかし、ガソリンスタンドは構造上かなり丈夫なので、リノベーションして上手く使えば快適。このお店で、現在開発中の鹿皮の製品についてヒアリングを行った。

・元々は洋服屋をしていて、そのスキルを活かして大量に余った鹿の皮を有効利用できないかと市の方に声をかけてもらい、2年前に鹿の皮を使って製品開発を開始。鹿の皮は非常に薄いので、それ単体で製品を作ろうとするとすぐに破れてしまう。試行錯誤が必要。

・他の熊などの皮は逆に固すぎて製品化が難しい。

・鹿の皮を大胆に使って大きなものを作るよりは、小物系で単価の高いものを作るという思考でやっている。市場で安売りせずに、個人で流通を作っていくことを目指す。

・皮と毛皮で加工場が違う。毛皮は奈良に有名な加工場がある。なめしで薬品を使う場合、加工場の周りが水質汚染の危険があるので、立地は注意しなくてはならない。ヨーロッパは工場をバンクラディッシュに移転したために環境問題が勃発したという事例がある。

・鹿は基本的に夏に毛が薄くて、冬に毛が厚い。冬の狩猟で獲れた皮を作って製品を作る。毛皮は一年で50頭手に入れて裁くのが限界。猟師もご年配の方が多くなったので、体力が必要な皮を剥ぐ人が少なくなっている。

・現在は竹かごのハンドル部分や、巾着の全てを鹿の皮で製作すべく試行錯誤を繰り返しているとのこと。今後どのような商品ができるのか楽しみだ。

 

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※芸術文化の助成団体を教えてください。

岩手県遠野市で芸術文化関連の活動に助成している団体や財団などご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えていただけたら幸いです。

 

<今日のまとめ>

しし踊りの起源を探るべく、人間が自然と対峙する姿勢について猟師界隈の方々に伺えてよかった。明日からは、本格的に民俗芸能の撮影に入るので楽しみだ。