【岩手県遠野市】クリエイターレジデンス1日目・鹿踊など民俗芸能の話まとめ

本日から、つくる大学のクリエイターインレジデンスに参加しています。

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今回は、鹿踊を始めとした伝統芸能を写真で表現すべく滞在中。地域の民俗芸能に関して聞いた話を忘れないように、ざっくりと箇条書きで書いておきます。

 

①遠野八幡宮・多田さん

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鹿踊の起源について

・京都でイノシシを被った芸能がありそれが遠野の駒木地区に伝わったのではないか、と個人的には考えている。公式な説だと、角助という人が熊野詣での道中に、京都あるいは静岡で踊りを習い遠野に伝えたというものがある。あるいは、奈良由来の鹿踊が遠野の長野地区に伝わったという考えも存在する。

・遠野の鹿踊は350年以上の歴史がある。

・鹿肉をいただくことから、鹿への供養の意味で始まった。食べ物に対する畏怖の念があり、祟りにあってしまうので供養する。先祖供養の意味合いを込めて、お墓の前で踊る鹿踊もある。

 

鹿踊の運営母体について

・各神社にお付きの団体がある。遠野八幡宮は長野地区の団体が鹿踊を行う。

・保存会があり、資金のやりくりなどを管理する役目を担っている。

・山奥に行くほど担い手は減っている。他地域の人も勧誘して、担い手を確保。

・14団体が遠野市内で活動中。

・遠野まつりが9月の第3土日で開催。市内の鹿踊が勢ぞろいする。この祭りを目標に各団体は練習を頑張るようになり、祭りが開催され始めてから鹿踊の団体数は減っていない。

・女性も刀かけとして鹿踊に参加する。

・板澤の鹿踊は、動作が細かい。右や左に体を振り、神社のお祓いのような動作をする。

 

◯遠野八幡宮について

・850年の歴史がある。

・境内でお祭りができる珍しい神社。遠野まつりの日には、馬場めぐりをやる。神楽→神輿→鹿踊の順番で馬場をまわり、すなわち清め→神→悪魔払いの順で行列ができる。

 

②富川屋・富川岳さん

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鹿踊には、幕系と太鼓系がある。遠野は幕系な一方、花巻などは太鼓系。

鹿踊には、争いながら調和するという意味がある。秋田などにはマタギ文化があり集団で猟を行うが、遠野の場合は一人で獲物に対峙する。そのため、自分が動物を仕留めるという感覚が強く、鹿を供養する必要性が生じて、鹿踊は生まれたのではないかとのこと。

・また、荒ぶる魂を鎮めるという意味があり、鹿踊には上下に激しいステップを踏む動作が存在する。

・鹿に関して、夏は有害駆除などの罠猟、冬はメインの猟を行う。

・駒木地区に鹿踊を遠野に伝えた角助という人のお墓がある。遠野の人はお伊勢参りや金毘羅参りなどで西に行く風習があり、静岡の掛川で見たものを遠野に持ち帰ったという説がある。

・コロナで今年は多くの鹿踊が中止になっており、ベースの部分であるなぜ鹿踊が行われているのかを見つめる一年にもなりそう。

 

<本日のまとめ>

ヒアリングから、写真の作品の1つの方向性が見えてきた。やはり、記録的にただ祭りを撮るだけでは面白くない。鹿猟への同行、鹿の解体、鹿の調理や毛皮の再利用、鹿踊の小道具、鹿踊の練習、まつりの本番、鹿踊の小道具制作などの視察を通して、一連の流れを写真に収め、なぜ鹿踊が始まったのかという根本的なところを造形に着目して神秘的に表現したい。石川で撮影している獅子舞は大陸系なのでその起源を遡るのが難しいが、鹿踊は実施している地域内でモチーフである鹿が生息しているというのがポイント。加賀との関連性から導き出せる表現ももちろんあるが、新しい表現にも挑戦する。最終的には、写真集という形で多くの人に見てもらいたい。あと神楽も後日取材したいと感じた。

 

▼後日開催した写真展の様子

 

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