鼻がかゆくて、風邪気味の稲村です。
今日は、東京都日野市から約21時間かけて、たどり着いたバイト先である秘境「桃源郷祖谷の山里」「篪庵」の話をします。
どちらも高単価の古民家宿泊施設で、とても雰囲気の良いところです。
さて、なんで今回徳島の古民家に行くことにしたかという話です。
理由としては3つあります。
①秘境ビジネスに興味がある。
ヒラヤマちべっとでやってきたことは、交通インフラや商業施設が近隣に存在しない、いわゆる秘境(チベット)と呼ばれるところでの事業でした。採算を取るのが難しい中で、超めちゃくちゃ秘境の古民家はお金的にはどういう仕組みで成り立っているのか知りたかったからです。迷って引き返したとかはあるものの、東京都日野市からは約21時間の長旅でした。秘境にも関わらず、日経の古民家ランキングで「祖谷の山里」「篪庵」はそれぞれ第3,4位となっているくらい、全国的にも成功事例の1つと言えます。
②コミュニティビジネスに興味がある。
ヒラヤマちべっとでもキーワードになっていたのは「異分野&多世代交流」です。この「桃源郷祖谷の山里」「篪庵」では、社員は数名しかいなくて、あとは10名くらいの近所のシニアの方々のアルバイトによって成り立っています。一見高単価で敷居の高い宿泊施設ですが、地域の方が仕事で集い、宿泊者とも気軽に交流します。しかも、宿泊者は学生からシニア、日本人から外国人まで様々なので、交流はとても刺激的です。
③デザインに興味がある。
ヒラヤマちべっとの特徴としてもう一つあげられるのが、周辺が自然豊かでそれと調和する開放的なデザインということです。桃源郷とも言われるこの祖谷という地域は、とても自然が豊かです。その景色の良さも加わり、自然資源で造られている古民家が、本当にかっこよくて美しく見えます。日本人は自然とともに生きてきたため、コミュニティは自然との共存をどうはかるかという視点がありました。川に入って遊んだり、庭に草木を植えたり、木で家を建てたり、農作物を植えたり、身近なところに自然がありました。自然がこの地に関わる人々にとってどういう存在であるのかにも着目します。
これらのポイントに着目しながら、5/5まで楽しみたいと思います。
では、徳島のバイト先に行くまでの道中を少し振り返ります。
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高松から徳島までの道中は徐々に秘境に突入していく感覚だ。
高松から、徳島の大歩危駅への鉄道ルートは面白い。
改札口では駅員さんが一人一人の乗客に「ありがとう」を言う姿は印象的だ。
スイカが使えないのは残念だが、人の繋がりを色濃く感じる。
高松のマスコットキャラクターが乗客に混じって乗っている。
隣の人はイルカ使い?のようであった。
琴平から阿波池田への道中。
車掌さんと運転手さん、切符の確認は同じ人。
とても気さくで話しかけやすいアイドルのようだった。
時間調整で停車中の時は、鉄オタとの会話も丁寧に対処!笑
さすがだとおもった。
阿波池田駅での出来事。
電車の待ち合わせをしている時に、近所のおばあちゃんと30分くらい話をした。
普段は遊ぶもんもないし、近所に家がないから、ずっとテレビを見ていると言う。
だから、こうやって駅まで出てきた時に隣の人としゃべりたくなるみたいだ。
今日は、息子が帰ってくるそうだ。
30分も前から、電車の到着を待っている姿にほっこりとする。
大歩危駅についた。
地域の人が、電車を送り出す。
駅長さんも、電車を送り出す。
それを見守る観光客。
おれも、丁寧に目の前の人に向き合いたいと感じた。
こういうサービスは、秘境ならではで学びがある。
大歩危駅には、「らぶらぶベンチ」がある。
これ考えた人の思考はシンプルで面白い。
こう言う形のイスだと、気になる人との距離が一気に縮まるに違いない。
さて、大歩危まで来たはいいが、
忘れ物をしたので、阿波池田まで戻り、そっからバスに乗ることにする。
まあ面白いものが観れたからいいか。
バスはずっと谷を進む。
緑の色が本当に美しい。
バスで走ること1時間半。
桃源郷祖谷の山里の事務所に到着。
篪庵もここの事務所が管理している。
さて、今日はバイトの説明を受けて、就寝。
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バイトの流れは、こんな感じだった。
宿泊施設のお掃除
宿泊施設の宿泊前最終チェック
宿泊客対応
クリーニング
ゴミ捨てなど
宿泊施設は「祖谷の山里」8棟で、それプラス「篪庵」1棟となっている。
今日は、「祖谷の山里」8棟のうち、「天一方」「談山」「浮生」という3つの宿泊施設に関わることとなった。
また、上記の事務所が、宿泊の受付でもあり、僕が泊まってる所でもあり、宿泊客対応を行う所でもある。
①天一方(てんいっぽう)
名前の由来は、景色の良さが関係しているようだ。「祖谷の山里」8棟のうち最も人気と言われる宿である。宿泊価格は、人数や時期によって変動するが、2万円弱が相場である。この宿の特徴は、他の棟と比べて、モダンなところである。古民家の良さを生かしながらも、床や、家具、風呂場などできる限りモダンに近づけている。
ここで、掃除を行なった。食器洗いや窓拭きに対して丁寧に向き合う感覚を身につけた。このブログには書かないが、布団やタオルのクリーニング・たたみ方・しまい方には決まりがあり、コツがあった。徹底されていて勉強になった。
②談山(たんざん)
名前の由来は、開放的な空間設計と、人がワイワイ集える場であることが関係しているようだ。これは、コンセプトがヒラヤマちべっとに似ていると思った。友達をたくさん誘って訪れたい雰囲気だった。中に入ると、仕切りのない広い空間があり、屋根裏まで集える座布団が用意されている。庭はとても広く、多くの机とイスが並べられている。
ここでも、掃除を行なった。ここでは、地域のおばさんと一緒に掃除をした。韓国ドラマが始まるから、さっさと掃除を終わらせようとはりきっていた。僕が東京から来たことを知って、喜んでくれた。運営者側の交流、宿泊者側の交流の2軸が上手く作り上げられた場であると感じた。トイレ掃除や、屋根裏の掃除など、色々なところをやった。
③浮生(ふしょう)
名前の由来は、祖谷の山里がある落合という集落の一番てっぺんにあるということだろう。夢の中に迷い込んだかのごとく、別世界の風景と古民家に圧倒された。これはとっておきの時に、大事な人と訪れたい雰囲気だった。中は談山と対照的で、こじんまりとした狭い空間で、バスやリビングのでかい窓からは絶景が見られるようになっている。また、浮生は最も古民家の原型に近いデザインをしている。すすで床が黒く染まっていたり、座布団が紺色をしたり、と質素なデザインだ。質素さが外の景色を映えさせ、贅沢な空間を作り上げている。この宿泊棟の面白いところは、なんと近所のおじいちゃんおばあちゃんの家の敷地の中を通らないと、たどりつけないことだ(笑)。地域の人と外から来た宿泊者の交流を大事にするためにも、この導線は面白いと思った。
ここでは、宿泊のお客さんの迎え入れのために、環境チェックを行った。地域のプロではないシニアの方をバイトスタッフとして迎え入れることができるのは、このスタッフの2重チェック制度があるからこそであると言える。この仕組みはすごい。
このように、祖谷の山里の古民家の多様性は半端ない。まだまだ残り5棟に訪れていないが、どんな古民家かとても楽しみだ。美しい古民家が保たれているのも、重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、補助金が出ているからというのはとても大きいだろう。また、行政からの業務委託ということもあるだろう。きっとそれによる制約はあるだろう。古民家に使う部材にも制限があるはずだ。しかし、それを乗り越えて人を魅きつける環境整備に徹底的にこだわりぬいた先に、地域の人も宿泊客も惹きつける宿が出来上がったのだろう。稼働率もゴールデンウィークは、8割くらい。今年中の独立採算を検討しているようだ。これからも、いろいろ学んでいきたい。ここには、5/5までお世話になる。ぜひ、皆さんも泊まりに来ていただきたい。
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日本を西に進み、徳島、沖縄を抜けて、台湾に行く計画です。
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