空き家は物件同様に、庭に着目したら魅力が引き出せるのか!?

今日は、東京都日野市の築150年の古民家で、運営メンバー、日野市の都市計画課の方々、建築家の和久倫也さんとで庭に関する作戦会議が開かれた。

 

空き家には、当然庭がある物件が多く、住む人が庭に興味があるかないかによって、手入れされるかどうかが変わる。

そして、各空き家の庭がうまく活用されるか否かで街の雰囲気さえも変わってくる。だからこそ、まちづくりと空き家の庭活用はセットで考えなくてはいけない。

さて、これからこの場所の庭づくりはどうなっていくのか。

今回は、和久さんを中心に、庭づくりについてアドバイスいただいた。

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まずは、湿気がたまっている箇所から。

物件と外界の狭間に溜まる用具や肥料は、湿気を作ってしまっていた。

こういうところは、蜂の巣などができやすいそうだ。

きちんと手入れの必要がある。

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家と外界との境界には、草も生い茂る。

上から撫でるように鎌で刈って行くのがよくて、根こそぎとると良くないそうだ。雑草も意味あってそこに生えていて、自然の循環ができているので、それをより生かす方向で草刈りしなくてはいけない。除草剤を使うと早いが、人工物なので、自然界にもともとないもので、農作物は食べられなくなる。ある種の虫や植物の増殖にもつながる。結局いたちごっこなので、やめるべきである。

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このように、木の枝や葉が密になっているところは、空いてあげるのが良いそうだ。あまり変化は感じられないが、きちんと木が元気に呼吸できる環境を整えることだ。

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ここもそう。

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右のサルスベリは本当にたくさんのツルが絡まっていた。これには、理由があって後ろの塀があるために栄養を取ろうと植物が必死にもがいたということのようだ。

「本当はこの塀を取っ払いたい!」と和久さんはおっしゃっていた。

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畑の畝は、水の循環に良い。

欲を言えば、この畑の脇にいくつか穴を60cmくらい作っておくことで、より良く循環していくようだ。

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穴とともに、30cmくらいの幅の通り道を作って左方向に抜けて行くような形が良いらしい。

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草刈りは、根こそぎじゃなくて、撫でるように刈る。自然界はみな螺旋状に回っているので、草刈りも螺旋を描くように自然と調和して行うと気が良くなる。

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空気の通り道。穴を掘る。

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その上に軽く枯れ草を置くと良いようだ。うちは、生ゴミを堆肥にするために畑に植えているが、とにかくいろんなものを多様に混ぜ込んだ方が良いらしい。生ゴミと枯れ草を一緒にまぜるとか!

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塀のこれ。飾りかと思ったが、これがあることで空気の通りが良くなるようだ。台風が来ても圧力を逃すように働く。

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地面をどう掘れば水の流れができるのか。

 

ここにも。

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ここにも。

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アプローチの設計を考える。

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なんと、門の中の水の通り道をしっかりして気をよくすることで、10m先の駐車場の水たまりがなくなるという!

なんと、魔法をかけるような離れワザがあるもんだと感心する。

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塀の下の空気の通り道はふさがないこと!

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段差の斜面の手前は、土が硬い。

溝を作ることで、水がどんどん庭の外へ流れて行くのを防ぐ。

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サルスベリは最近剪定をしたばかり。

切り口に木工用ボンドを塗ると、木の中に水が入って腐食することがないそう。

そんな知恵があったとは!

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周りが石やコンクリートに囲まれたこのスペースにサルスベリの根っこ。

窮屈で改善の余地あり。

コンクリート部分を土にして行くのが良さそう。

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門や、入り口の扉を家と調和させたデザインにして行く方向性も考えていく必要がありそう。

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郵便ポストも高すぎるので、少し低めに設置してもいいかもしれない。

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本当に和久さんの自然と調和していく感覚には学ぶことが多い。

和久さんだけにワクワクする。

空き家は、なかなか手入れをおろそかにしがちな、庭や畑をひっくるめて全体的なバランスで自然と調和していくデザインを考えていくべきだ。

仕組み化していく観点からいえば、

農家、家庭菜園、庭師、ランドスケープデザイナー、木材DIY業者、といった空き家周辺領域のネットワークを、まずつくる。そして、空き家の活用イベントやワークショップ、あるいは、アドバイザーのような形で入っていく仕組みがあればもっと空き家活用の多様性が生まれると感じた。

また、地域とつながる窓口として、多摩地域の農家さんの野菜を古民家の前で無人販売の直売所として設置してみたい。

古民家の物件→庭→地域という流れ、導線を作って、エリアとしてとても魅力的な場所にしていきたいと感じた。

 

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〒191-0055
東京都日野市西平山4丁目18-12
築150年の古民家
(連絡先:info.kiteminka@gmail.com)

 

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<稲村行真プロフィール>

1994年生まれ。
大学生時代に、100軒以上の日本の伝統的な古民家を訪れ取材して、卒業論文にまとめた。卒論のテーマは「古民家の価値について」。
東京から石川までの約450kmを2週間かけて徒歩で移動し、道中30軒以上の古民家を取材した「古民家冒険project」で、NHKテレビ「おはよう日本」等のメディアに掲載。
2017年4月から、東京都日野市の築150年の古民家を活用して、コミュニティハウスを運営。子どもを核として地域がつながるシェアハウスとイベントスペースを運営している。この活動により、交流ある暮らしの場をデザインしている。