こんにちは、古民家鑑定士の稲村行真です。
今日も相変わらず寒いですね!
さてさて、今日は美しさがテーマです。
みなさんは、何に美しさを感じますか?
絵、壮大な自然、キラキラ輝くダイヤモンド、あるいは、人の生き様、考えなどなど。
精神的なものと、感覚的なものにわかれるのでしょうか?
美しさの感覚は人それぞれ。
今の日本は、グローバル化によって多種多様な文化が混ざり合い、根底にあるアイデンティティーが見えにくくなっています。
街の景色をみるとコンクリートブロックで、看板・標識は乱立していて、街の個性が失われつつあります。
日本人の美意識に関するアイデンティティーはどこに?
しかし、なにか共通するところもあるように思います。
それは、光に対する捉え方です。
人には、表と裏があると言います。
これがいわゆるギャップです。
これが、プラスに働くときもマイナスに働くときもあります。
ツンデレと言われるのもこの手のやつです。
でも、、、、、、、日本人って、基本的にはっきり物を言わないですよね。
日本人らしさはこれです。
西洋人は、光と影のコントラスト、ギャップのメリハリをつけたがります。
特に絵画を見ているとそれがわかります。
しかし、日本人は、影をあまり描かないんです。
描いてもぼやかすんです。
明るくて、平面的な、そんな絵を描くんです。
それが、日本人の美意識です。
小さな島国、日本はおとなりの国に逃げようっていっても、あまりに遠すぎるんです。
だから、そこで生きていく覚悟と思いやりが育まれ、そんな精神性ができたのでは?と思うのです。
そして、古民家を美しいと感じるのはその感覚です!
古民家の屋根は広くて、大きいです。
その下には深い、広い影が存在します。
そして、障子からぼやっとした光が入り、中を照らします。
けばけばしい屏風なども、暗めの光に照らされて、なんとも趣き深い感じになるのです。
いとおかし!!!
小説家の谷崎潤一郎は、「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」のなかで、このように述べています。
”もし日本座敷を1つの墨絵に喩えるなら、障子は墨色の最も淡い部分であり、床の間はもっとも濃い部分である。私は、数奇を凝らした日本座敷の床の間をみる毎に、いかに日本人が陰翳の秘密を理解し、光と影との使い分けに巧妙であるかに感嘆する・・・”
※陰翳=陰影で影、含み、深みのあること。
あなたも、光加減の美しさに着目して、美しいものをたくさん発見してみてはいかがですか?