【岩手県遠野市】クリエイターレジデンス6日目・地域の信仰を撮る&写真展準備。

毎日充実しすぎて、ブログがまったく更新できていないイナムラです。つくる大学のクリエイターインレジデンスに参加しています。鹿踊を始めとした伝統芸能を写真で表現すべく滞在中。今日も地域の民俗芸能やそれのモチーフになった動物に関して聞いた話を忘れないように、ざっくりと箇条書きで書いておきます。

 

遠野市立博物館

 

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宮沢賢治『なめとこ山の熊』を読んだ

貧しい猟師の暮らしを描いた物語。毛皮を町で売ることで、わずかばかりのお金をもらうことしかできない生活をしている小十郎が主人公だ。熊をやっつけた小十郎は、町の商人にやっつけられるという貧しさの連鎖。それが、熊を前にして本当に打つ必要があるのかという問いにつながる。熊には熊の生き方がある。やり残したこともあろうと情が先に立つ。最後に小十郎は「殺す気などなかったのだ」と言われながら熊に殺される。厳しい暮らしをたくましく生き抜いた猟師は、熊を撃ち落とすという使命を終えた時、逆に自然に飲まれたとも捉えられる。これこそ、人間と自然との対話を象徴的に描いている作品と言える。

 

宮沢賢治鹿踊りのはじまり』を読んだ

粟や稗を作る農家の嘉十(かじゅう)が出会った鹿の物語。嘉十が歩いているときに芝草の上に手ぬぐいの忘れ物をしてしまい、取りに帰った。戻ってみると、鹿たちがその周りを踊っていたそうだ。鹿たちは言葉を話し、これは生き物なのか?などと囁いている。一匹一匹それが何かを確かめ合う。また、横に嘉十が置いていた栃の団子も少しずつ分け合って食べている。踊り狂い、最後に整列して鹿が太陽を拝むシーンは印象的である。嘉十が草むらから出ると、鹿は驚いて逃げてしまう。鹿の暮らしを美しく描いた作品で、しし踊りの起源を描いたものだ。これを宮沢賢治は秋の風から聞かされたものだと述べており、「風」というのが重要なキーワードにも思える。しし踊りはそもそも風をきる表現という言い伝えもあるからだ。

 

・門屋光昭『鬼と鹿と宮沢賢治』を読んだ

菅江真澄の「けふのせば布」によれば、しし踊りの由来をこう捉えている。夜祭後の朝に笛鼓の音に浮かれて、鹿が放牧の馬に混じって、角を振りたてて踊りまわっていた。しかし、それを見た子供が叫んだので、鹿は木の茂った山に飛び込んでしまったとのこと。これはかなり宮沢賢治の話にも似ている。さらに、老爺が世の中に行われる獅子舞は鹿の踊りをみて始まったものだろうと話したことが書かれているようだ。

 

②自転車 五百羅漢〜程洞稲荷神社

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江戸時代は今より平均気温が3度も低かったらしい。高冷地の遠野はしばしば凶作や飢饉が起こり、犠牲者を出したと言われる。その供養のために掘られたのが五百羅漢。僕は五百羅漢の造形が、限りなく自然に近い人工物であることにとても興味を持ったので行ってみた。巨石の塊が忽然と姿を現し、光が差し込んだ風景はかなり幻想的だった。また、五百羅漢に行く途中に知ったのが、程洞稲荷神社。ここは全く行く予定がなかったが、山深い霊力に誘われて行ってみた。なかなか拝殿に辿り着かず、4回鳥居をくぐるとそこにあったのは、拝殿とたくさんのコンセイサマ。カラスの絵が描かれ、そこにキノコがお供えしてある。この組み合わせは何を示すのだろうか。一人で訪れる孤独感と、未知なる神秘を感じた。(ps.かなり道が険しく、油断はできない。チャリがパンクしてしまったのでチャリ屋のおっちゃんに直してもらった。)

 

③最終日写真展の打ち合わせ

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もう滞在もあと3日です。最終日には、今回の滞在の成果を発表すべく、写真展とトークショーを実施します。遠野の魅力(民俗芸能等)を僕ならではの視点で表現した写真作品をぜひ見にきてください。

 

<写真展&トークイベントの概要>

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7月12日(日)

11:30~17:00 遠野滞在中に撮影した写真の展示

15:00~15:05 アナウンスとゲスト紹介

15:05~15:15 稲村行真さん自己紹介とこれまでの活動 

15:15~16:05 遠野の滞在中に見たものとそれにまつわる話

  ・遠野滞在中に撮影した写真の紹介

  ・遠野で見たものや感じたものについて

  ・今後の活動について

16:05~16:15 質疑応答

◆場所:つくる大学キャンパス Commons Space(遠野市中央通り5-32)

◆参加費:無料

◆お申込み:トークイベントへのお申込みは、以下のリンクからお願いします。

https://tsukuruuniv.stores.jp/items/5f070d36ec8fd31d21b01ec3

 

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写真のプリントはこちらの写真館に頼むことにした。試し刷りもうまく行ったし、美味しいお茶を出してくれて、お菓子までもたせてくれた。

sudo-photo.com