【岩手県遠野市】クリエイターレジデンス2日目・鹿踊など民俗芸能の話まとめ

昨日、遠野駅前のDeでメザシとスジコを食べたイナムラ です。つくる大学のクリエイターインレジデンスに参加しています。鹿踊を始めとした伝統芸能を写真で表現すべく滞在中。今日も地域の民俗芸能に関して聞いた話を忘れないように、ざっくりと箇条書きで書いておきます。

 

 ①遠野市立博物館

f:id:ina-tabi:20200705205216j:plain

◯遠野のしし踊りの話

・遠野の鹿踊はほとんどが幕踊り系でドロノキをカンナで削ったものをつけるので、カンナガラジシとも呼ばれる。

・京都から伝えられたしし踊と地域の豊年踊りや神楽の「山の神舞」が結びついて作られたという説がある。

◯鉄砲撃ちの話

・動物の借りを行なった場合、霊魂を慰めたたりを防ぐために「引導渡し」、又の名を「ミズヒキ」「インドウ」という儀式を行う。鳥や熊など、獲物ごとに、解体前か打った現場で唱える呪文の言葉が決められており、これは大々的にひけらかすものではない。熊の場合は「バンジバンザブロウ」「アビラウンケンソワカ」と唱える。動作は熊を北に向けて幣束、サンズ縄、サヤから取り出したキリハ、塩、酒(水)、菓子、線香、ロウソクを供え、柳の枝で頭から後ろ足に撫でる。

・佐々木嘉兵衛によれば、六角牛山で白鹿に出会い、鉄砲で撃っても倒れない。金の弾丸に邪悪を払うヨモギの葉を巻きつけ放つが白鹿は動かない。よく見ると白い石で、普段見誤るはずはないので、魔物の仕業として猟を止めようと思ったのだとか。

・遠野八幡宮に供養塔がある。10月ごろの狩猟免許交付日にお参りをする。また、各地に山の神の石碑がある。(追記・猟師の高橋さんより)

 

遠野市立図書館

f:id:ina-tabi:20200705205319j:plain

◯遠山英志,『鹿踊り新考」,1994より

・実際の鹿の生活を眺めていると、雄は単独で行動し、雌は群れをなす。しかし、鹿踊りでは雌が1頭に対して、他は皆雄である。

鹿踊りの起源は五穀豊穣にありというのが通説だが、証拠がない。

鹿踊りは鹿らしくないところも目につく。かしらについている長いザイ(髪)は鹿には見当たらない。太鼓系しし踊りでは馬の尻尾、幕踊り系しし踊りではドロノキのカナガラを使っている。それから、ササラも付いてる。

・陰陽五行説によれば、ザイ・ササラ・幕は長いもので木気に属し、風を表す。風を痛めつける対風呪術により五穀豊穣を実現するのがしし踊りの由来だったのではないか。これが本当ならば龍の代理としての鹿であり、動物の鹿の代理としての鹿という関係が成り立たない。

奈良時代に農民が最も害獣と考えたのが鹿。豆、小豆、大根、芋類、木の芽や樹皮を食い荒らすため。

 

③長野地区獅子踊り・一倉さん

https://twitter.com/naganoshishi

・一関の大東町の方から約400年前に獅子踊りが伝わった。

・先祖を供養するという意味合いが強い。町内にしし踊りの供養塔がある。

御精霊(みそうろう)という初盆の行事と節回しなどがとても似ている。

・年間五箇所ほどで奉納神事を行う。遠野八幡宮、南部神社、地元の神社など。また、彼岸の際には供養を願った踊りを行う。

・小友町には神楽2つ、シシ3つと合計5つの団体がある。

・祭りの日には、家の庭を開放して踊り場を提供してもらう。シシの団体は、まず庭を褒め、その後建物の立派さを褒め、とにかく褒めちぎってから踊りを行う。演目の中に柱に絡みついていくという動作があり、簡単に説明するとマーキング行為を意味する。とても動物的であり、他の団体にここ自分のものにしちゃうけどいいの?という遊び心でちょっかいを出す意味合いもあったりする。

・男性が踊りや太鼓を行う、女性は重くなくて動きの激しさも少ない笛などを担当する。

・担い手は20代後半がメイン。外からいかに若い担い手を呼ぶこむかを考えている。早池峰の方では東京から担い手志望の人が来るらしい。神楽は人数が少なくてもできるが、しし踊りは30~40人が必要になってくる。

・遠野のしし踊りは白いカンナガラのが特徴で、釜石の小川や橋野の方にも伝わった。

・しし踊りは主に太鼓系は「鹿踊り」、幕系は「獅子踊り」。(※前回のブログでは全部鹿の方で書いてしまいましたね!遠野は多くの地域が獅子の方だそうです。)

 

PS.僕の活動インタビューのライブ動画を見ていただきありがとうございました@つくる大学

f:id:ina-tabi:20200705205745p:plain

 

今日の晩御飯は、cocokanaのひっつみ定食。初めて、ひっつみという食べ物を食べました(すいとんみたいな食べ物)

f:id:ina-tabi:20200705210118j:plain

 

<今日のまとめ>

長野しし踊りの練習の撮影が12日に決まった。受け入れていただき、本当にありがたい。今回の滞在期間は1週間と短いので、とにかく多くの地域の撮影をさせていただき、違いも知りながら作品づくりを進めていきたい。練習をしていない地域も、小道具の撮影で伺えたら嬉しい。試行錯誤しながら、撮り始めて見えるものもあるだろう。しし踊りの撮影させてもらえる地域を大募集中です。