9月9日は、新潟県上越市の道の駅「うみてらす」からスタート!ひたすら海沿いの道を進み、新潟県糸魚川市を目指す。
海風はテントを大きく揺らし、テントを大きくくねらせる。体までひん曲がって、叩き起こされるように目覚めた。
台風が近づいているという知らせを受け、気を引き締める。東京では、公共交通機関が止まり、地元の千葉では停電が発生しているという。そんな台風の中で、30km以上歩くとはどういうことか。想像して寒気がしたので、さっさと朝4時台には歩き始めた。
昨日、お世話になった道の駅「うみてらす」。道の駅の中でも相当巨大で、温泉も、食事処も、ホテルも、休憩室も付いているのだ。旅人にはありがたい施設で名残惜しいが、早く行かねばならない。
途中のコンビニで、つぶあんぱんを買った。あまりお金を使いたく無い時は、コンビニの100円くらいのパンで済ませる。お茶を飲む楽しみは後に取っておこうと思ってこれしか買わなかったのだが、甘いパンだったので喉がカラカラになった。やはり、自分はあまり計画性がないのだと思う。
海岸の消波ブロックが芸術作品に見えてきた。先端をじっと見つめていると、なんとなく気持ち悪さがあるし、ぞわぞわする。指でつまんでポイっと投げてみたいんだけど、それは巨人になった怪力な自分を妄想するにとどめておく。
「カニかに館」という場所があった。なぜ「カニ」「かに」と2回続けたのかはかなり謎ではあるが、ご当地のうまいものでもあるかなと思ったので、店をうろついてみることにした。
たくさんのお店が集結していて、前を通りかかるとおばちゃんたちが、「うちのカニ食べていきなね!」と叫んでくる。どこのお店を通っても同じものが売られているような気がしてどれを選ぶべきか考えてみる。心理学的に言えば、一番右端の店が儲かるのかなと思って、一番右端のお店を眺めていたら、カニの足をくれた。小さいがしっかりした味で、うまかった。
昼ごはんが食べたいけどなかなか見当たらず、ひたすら歩いて、一軒の小さな定食屋を見つけた。特に変わったものは売っていなかった。カツ丼、うどん、そばとか、とてもシンプルで、とくに何かにこだわりを持っている料理はなかった。
お店のおばちゃん「歩いてきたんか?」
僕「はい!こんな企画やっているんです。」
(フライヤーを渡す。)
お店のおばちゃん「へぇ〜。面白いね。疲れているだろうし、休んでいきな。」
うどんが食べたいと思って、うどんを注文した。
客は僕一人だった。
お店のおばちゃんと僕の間に、沈黙の時が訪れた。
僕がうどんをすする音だけが、定食屋に響いた。
何もないところで何も話さない。
これはこれで良いのだ。
しばらく歩いて、糸魚川の市街に到着した。軽々と到着できた、まだお昼頃だ。結局、台風は来なかった。お店の前に敷かれたマットに「がんばろう糸魚川!!」と書かれていた。元気にはなるが、どことなく焦りを感じる、そういう言葉の響きだ。糸魚川も人口減少が進み、少しずつ寂れているのだろうか。
ガストに入って、ブログを書くことにした。カツ丼を食べて、気合いを入れた。カツ丼は本当に美味しかった。ファミレスってのも侮れない。うまい飯に、wifiと充電の3拍子が揃っている。この旅では、よくガストにお世話になっている。
ブログを書き終わると、なんともう19:00ごろだった。今日は全然歩いていない。暗い夜道をどこまで距離稼げるかなと思って歩き始めた。
港町の夜はどことなく恐ろしかった。夜の闇が深くて、どこまでも続いている。暗い場所が多くて吸い込まれてしまいそうな感覚を覚え、身震いがする。
これから、天下の険・親不知(おやしらず)という名所が控えている。歩くのもそこそこに、ラベンダービーチという糸魚川の美しい海岸線付近でテントを張ることにした。今日は32kmで終わりにして、明日に備えよう。
【本日のルート】
東京ー石川 徒歩の旅
10日目
32km
49968歩
【お知らせ】
今後の出店情報
石川県加賀市や東京都などで、徒歩の旅グッズを販売します。直近では、「徒歩マニア」という出店者名で、秋葉原のアーツ千代田3331でのイベント出店が決定。徒歩の旅や石川県加賀市のことを知ってもらう機会を作ります。オンラインでの販売も開始予定です。
<イベント概要>
マニアフェスタvol.3
場所:アーツ千代田3331(東京都千代田区外神田6丁目11-14)
日時:2019年9月29日(日)
イベントurl:https://maniafesta.jp/vol-3-summary/
【東京ー石川500km徒歩の旅(第2弾)について】
2017年6月に行なった東京から石川までの徒歩の旅、第2弾を行います。今回はコースを変えて、北陸新幹線沿いのルート約500kmを、8月31日〜9月14日までの2週間で歩きます。前回の旅はこちら。
今回のテーマは、加賀人探し旅。東京23区(東大赤門加賀藩邸跡)から石川県加賀市までの道中、石川県加賀市出身者の人を探して話を聞き、その出会いと気づきを到着先の加賀市で報告するという企画です。この旅を通して、地域の魅力を再発見しようと考えています。
また、この旅には石川県加賀市には全く関係のない約30名のクリエイターがデザイン制作に関わったり、一緒に歩いてくれたりする予定です。旅がより面白くなりそうで、ワクワクしています。