【2019年1月】石川県加賀市獅子舞取材 三木町・熊坂町・山中温泉・潮津町

石川県加賀市の獅子舞の魅力を発信する

「KAGA SHISHIMAI project」を開始!

このプロジェクトは石川県加賀市の民俗行事である獅子舞がとてもかっこいいので、この魅力を多くの方に知っていただけたらという思いで始めました。東京近辺で普段生活する自分にとって、獅子舞の文化はとても新鮮です。獅子舞を研究し、自分なりの新しい視点で、アート表現(写真・絵画・漆作品)によって魅力を発信していきます。まずは、写真の撮影とヒアリング調査から。撮影した獅子舞の写真は、こちらのinstagramのアカウントで発信しています。

 

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<作品の解説>

獅子舞は普段、獅子頭の鼻を観客に向けて演技することがタブーとされています。本来厄を払う獅子舞は、怖い佇まいで悪を威嚇するという目的を持つからです。このプロジェクトの意図は、怖い獅子舞が可愛く見えることによって逆にスタンダードの怖い部分を意識することができ「本質への回帰」というプロセスと、可愛さを内包しているという違った一面をさらけ出すという「規範や縛りからの解放」というプロセスについて考えるのが本作品です。さらに、中央集権的な日本を一括りにするのではなく、地域の最小単位を見つめることで地域の個別性を理解でき、これが個人の幸せを最小単位の社会で最適化していくことをも連想させるような作品が生まれたらと考えている。今後の作品の展開に任せることで新しい意味合いが生じることを楽しみにしながらも、作品製作の「今」についてまとめていくこととする。

 

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<石川県加賀市各地域での獅子舞調査>

 

2019年1月15日

子供が地域とつながる石川県加賀市「三木・熊坂」の獅子舞

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三木の青年団の井村さんのお話

本番は9月16日で御木神社で行い、約100軒もの家をまわる。練習はお盆明けから開始。獅子舞は年寄りも子供も多世代で仲良くなる場となっている。9月頭には「みきのこ」の活動で子供の獅子舞体験も開催しており、子供が獅子舞に憧れ地域に関心を持つきっかけづくりになっている。昨年は大聖寺錦町の獅子舞を呼んでコラボしたら、いつもとは違うメンバーで獅子舞が楽しめてよかったとのこと。結婚式の余興で獅子舞を披露するなど、活動の場や関わる人も多様化してきている。

 獅子頭は鶴来や井波で100万円ほどで作ってもらう。メンテナンスはお金がかかるので自分たちで釘などを使って修繕する。

 

熊坂の青年団の北出さんご夫妻のお話

 本番は9月11日だったのが、9月第2土曜日に変更。金曜日のうちに小学校など公共施設は回り終え、土曜は5:00~18:00まで一般宅を回る流れ。この祭りに向けた練習は、8月末から開始する。町内新年会の高砂会で獅子舞を披露するなど、他にも獅子舞を披露する場は広がっている。

 28歳で定年のはずが人手不足もあり、40歳でもやっている人がいるのが現状。色々な地区の方が来るが、自分のところの獅子舞が一番よい!と皆感じていて、自分の街への誇りや担い手をかっこいいなあと感じている。

 

2019年1月16日 

石川県加賀市「山中」で革新的な取り組み行う青年団へ!

青年団長の上野さんのお話 

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地域のインフラ系の企業「株式会社マルヰ」と獅子舞の担い手「山中青年団」の提携は日本初の革新的な取り組み。山中青年団の地域で築いてきた信頼感が大きな提携に繋がった。株式会社マルヰの電気プランの新規顧客獲得を山中青年団が支援することで、一件あたりで300円の収益になる。年間でいうと30万円、1000人の顧客獲得を目指す。100万の獅子頭をどうやって購入してきたかといえば宝くじのととの支援金に当たるかに依存してきた。継続的な収入はこのような大きな投資にも効いてくる。また、最近は企業に呼ばれて3万円ほどで獅子舞を行うこともあるようで、徐々に金銭面では安定しつつある。これらの仕組みによって、継続的な獅子舞文化の継承が可能になる。もしや法人化をするのでは、と思いその点も尋ねてみたが、考えてはいないそう。文化には余暇が必要で、仕事とは別の文脈で獅子舞文化を残していきたいそうだ。

(ご紹介はムラタフォトスの村田さん)

 

2019年1月17日

寝獅子で有名な石川県加賀市「潮津」の獅子舞

 獅子舞保存会の神尾さんの話

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 基本情報としては、まず獅子舞が行われるのが9月の第4土曜日。そのほかには、「ゆのまつり」や、南陽園の「ふれあい祭り」、うきうき縁日などのイベントでもステージでの演技があるそうだ。演目は、「なぎ」と「棒」を用いて、7種類ほどとバラエティに富んでいる。そして、何と言っても獅子が寝る仕草をする「寝獅子」という形をとっているのが特徴的だ。

 獅子舞保存会を作ったのは4年前。獅子舞保存会がある自治体もなかなか少ないと言う。それまでは青壮年団という枠組みで活動していたので、45歳までと年齢制限などもあったが、保存会にしてから様々な人が活動に関わりやすくなった。その上、補助金も獲得しやすくなったのだとか。

 保存会発足後に獅子舞に「ひょっとこ」を取り入れるようになった。「ひょっとこ」とは、獅子舞の動きに対して逃げる動きをする人間のことで、寝ている獅子を起こすという役目もあるそうだ。基本的に獅子舞は雰囲気で動くようで、途中お酒も飲むので、テンションがハイになって気持ちよく踊るようだ。ただし、決めているのは獅子舞の終わり方で、3回大きくジャンプするという動作が入るとのこと。

 練習は4月と早くから始まり、月2回と着実に進めていくようだ。8月になると、平日の月〜金曜日は全て練習するようで、公民館の前の駐車場を練習場所としている。

 

獅子舞の歴史に詳しい枷場(はさば)さんの話

 獅子舞は基本的に、伊勢から始まったと言われている。そこから各地方に伝播していったきっかけになったのが、お伊勢参りだ。お伊勢参りでご利益を受けるともに、獅子舞を習い、地元に帰ってそれを伝えたと言われる。

 獅子はもともと大陸の文化のライオンが元になっていてあまり身近ではないので、日本では各地方における暴れん坊、すなわち熊や鹿を踊りに取り入れる地方も現れた。また、自然の脅威に対する祈りを込めて、「なまはげ」や「アマメハギ」のように、妖怪を取り入れる地域も現れた。

 そんな中で、石川の獅子舞は、富山の方から流れてきたと言う説がある。忘れてはいけないのが、山口半次郎という能登のたずら浜出身の人物で、建具職人を通して獅子舞が加賀の方に伝わったと言う説がある。潮津の寝獅子は、小松の串茶屋からの流れを組むと言われている。

 獅子舞にはコミュニティを活発化させるという意味合いが大きい。キリスト教イスラム教などの宗教は日曜学校というものがあるが、日本には神棚が家の中に配置されているため拝むために集まるという風習がなかった。そんな中で、祭りが人の集まりを活性化するという機能を果たすとともに、非日常的な一種の祈りの形でもある。

 また、加賀の祭りについて考えるのに欠かせないのが、意外にも出雲との関係性にある。出雲の人が「輝かしい風が吹く地方」と述べた記述があり、これを元に加賀という名前がついたと言われる。そして、出雲の人は加賀のぐず焼き祭りをヤマタノオロチ伝説と重ね合わせて考えたと言われていることからも、両地域は密接な結びつきがあることがうかがえる。(白山市にある白山比咩神社の祭神が出雲の神様であるイザナギイザナミの仲を取り持った菊理姫であることを知っていたため、出雲と加賀の縁を感じずには居られない。)

 

獅子舞保存会の中谷さんのお話

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主に、獅子舞の当日の様子について。薙刀や棒振りの本数はご祝儀の額による。ご祝儀は3000円〜5000円の場合が多く、1万円以上だと棒振りもかなり豪華なものになるとのこと。最も豪華なのは、神主さんのところで執り行うものだという。当日回る家の数は約200軒で、AチームとBチームに分けて回る。中学生は笛や太鼓、小学生は棒振りを担当することが多い。獅子頭は持っていると疲れるので、たまに持っている人を交代していく。昔は3月15日に春を迎える春祭りというのをやっていたが、最近は行なっていないそう。基本は9月の第4土曜日の秋の祭りがメインになってくる。

(以上片山津エリアは山口美幸さんによるご紹介)

 

活動はこれからも発信していきます!

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