歴史上の人物の伝記10冊以上読んでみて感じたこと

最近、伝記を読むことにハマっている。

小学生が読む漫画がちょうどいい。伝えたいことがストレートに簡潔に伝わってくるからだ。僕が興味を持っている歴史上の人物15人の伝記から学んだことを書いてみた。自分だったらこういう人生楽しいかな?という視点で読み進めてみた。

 

A. 万能の発明家

(レオナルド・ダ・ヴィンチ、平賀源内、エジソンなど。)

レオナルド・ダ・ヴィンチは、非常によく気付く人で、なにかに取り組み始めるとコツコツと謙虚に学び、すぐにいくつもの分野の専門家になってしまう。そして、興味に対する優先順位を付けなかったのか、物理的にも思考的にも忙しすぎたのか分からないが、愛人を作らなかったという事実も考えさせられる。これは、ニュートンや平賀源内も同じと言われる。見たものしか信じないという考えのもと、絵画、軍事、音楽、演出、都市計画、建築、地理、医学といった半端ないくらいたくさんの分野の専門家になった。作品が完成せず、実績としてなかなか評価されない日が続くが、後世になって実現されたものが多数で、当時としては未来人のような人だったのかもしれない。

エジソンは、ダ・ヴィンチに比べると手を広げ過ぎていないものの、発明の量は半端ない。なぜ?と問い続けることが習慣化していた故に、知識量は膨大で、日常の些細なことによく気がついた。あと、触れておきたい事項として、事業家として決める力があったことはもっと特筆されるべきだ。稼いだお金は的確に実験など次に繋がることに投資しているし、工場と研究所を持っていた時に、研究所に選択と集中をかけているし、愛人に一目惚れしてすぐに結婚を決めている。アイデアマンは情報量がかなり膨大故に決める力が弱くなりがちだが、エジソンにはそれを感じさせない決める力がある。これは本当にすごい事だと感じる。

万能な人とはいえども、一番最初は、なにかに根を張っている点も見逃せない。レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画、エジソンは電信技師から、キャリアをスタートさせて、いろいろな場所を転々と仕事をして成功を収めている。

 

B.夢を追う人
(ウォルト・ディズニー石ノ森章太郎円谷英二ニール・アームストロングなど。)
子供達にワクワクや夢を届けられる人生は、本当に楽しそうだ。自分自身が何よりいつもワクワクしている。人々が望むものを世界観としてつくりだし、娯楽として楽しんでもらうという感じ。ウォルト・ディズニーは、ディズニーランドという場作りが世界観を象徴していて、アニメーションの世界を変えた人。

石ノ森章太郎は、漫画のプロで、円谷英二は、特撮のプロ。ウォルト・ディズニー同様に、夢やワクワクを追求するのは本当に楽しそうだ。

ニーム・アームストロングは、運の世界の中でどれだけ準備ができるかということを懸命に考えた人だったろう。月に

着陸するという、人類の夢を体現したというのはものすごい成果だ。

 

C.世の中を解明しようとした人
(伊能忠敬シートンキュリー夫人など。)
とにかく、探究心が強い性格。
伊能忠敬の原動力は、渇望感であったという。とにかく見てみたいという好奇心で、天体観測や、日本全国の測量を行なっている。1歩69センチで歩くとか、1日10里(約39.27km)を歩きしかも夜は日記と天体観測を続けていたとか、総移動距離は地球一周分の4万キロだったとか、聞くとかなりストイックに偉業を成し遂げたことがわかる。古民家冒険にもすごい参考になる。
シートンは、動物と人間の共生というビジョンのもとで、文章、絵、講演、ボーイスカウトといった様々な手段でメッセージを伝えた動物の研究家でありながらジェネラリストタイプ。

キュリー夫人は、亡くなった際に、放射能で覆われていたというエピソードから、専門家としての誇りを感じさせられる。

 

D.ビジョンで人を動かす人
(ナポレオン、スティーブ・ジョブズクレオパトラガンジー、ココ・シャネルなど。)
戦乱の世を生きた人は、現代では想像を絶するような、ものすごい時代を生き抜いてきたことが伝わってくる。
ナポレオンは貧しさの中で、学問を丁寧に習得して、研究を疎かにせず、戦ってきたことが常勝の要因となったはず。常勝を作りだすと、負けが目立つし、権力を持ちすぎてしまい反対勢力をつくってしまうという点から、軍人や政治家の幸せについてものすごく考えさせられる。

一方で、スティーブ・ジョブズは、我を通して、好き嫌いをハッキリさせて、大きな組織を導いた、リーダー。好き嫌いが激しいので、人とよく衝突したが、伝える力があったからこそ人を動かすことが出来たのだろう。「他人の人生を生きないで、自分の人生を生きる」、「他人と違う考えを大事にする」、といった考え方はものすごく共感。

クレオパトラは、当時世界で最も勢いのある権力者であるカエサルアントニウスという2人の男性を虜にした。バイリンガルで、明瞭な声と威厳、美貌含め圧倒的な魅力を武器にエジプトを救った。ローマとの協力というビジョンのもと、政略結婚と個人恋愛とに揺れ苦しんだ。

カエサルとの恋愛は政治が恋愛の成就を阻んだが、アントニウスとの恋愛は成就したものの国を滅ぼした。これほどまでに、世界を動かした美女は歴史上なかなかいない。謎に満ちていて真相は分からないが、アントニウスとの晩年の恋愛はクレオパトラ個人としては幸せだったのではないか。

ガンジーは、非暴力・不服従をビジョンに掲げ、民族や宗教の対立など多くの平和に対する根深い問題にアプローチした。ビジョンは、問題解決のとても本質的な部分で、すごく考えさせられる。

ココ・シャネルは、体の動きを妨げない着心地のよい服というビジョンのもとで、ファッション業界を変えた人。

 

E.導いた人

(諸葛孔明二宮尊徳真田幸村など。)

何か軸を作って、それをどこかの組織に入り役に立って成功した人。軍師や、コンサルタントのイメージ。

諸葛孔明は、弟子入りして学問を極めて、劉備の軍を天下三分の一角となるまでの勢力に押しあげた。その判断力と適格な指揮や交渉力は特筆する。本当に混沌としすぎた時代故に、弟子を育てることや、漢王朝を再興させるというビジョンに関しては、結果が出なかったものの、生き方そのものにメッセージ性やかっこよさがあると感じた。

二宮尊徳は、人がよすぎる家柄故に貧しく、苦労したため、節約する術や学問を身につけた。それによって家が復興して、その資金繰りの手腕を他の地域の再興に役立てていった言わば、農村復興コンサルタント。正しく生きれば、人々は認めてくれる。道徳の考え方からもとても尊敬できる人。

真田幸村は、とにかく大企業を転職しまくったみたいな人。大企業だから意見通らず、もったいない。特に最後の大坂の陣では、その傾向がある。あそこまで義を貫くと、サムライとしてのプライドが保たれる。日本一の兵としての武勇が構成までも語り継がれるのも、あの未完の大器の生き方そのものだろう。義に縛られない自由さえあれば、もっと違う生き方はできただろうにとは思うけど、当時としては誉れだったろう。

 

F.挑戦をした人

(植村直己杉原千畝など。)

生半可で出来ない圧倒的な決断と挑戦は人を感動させる。かなりエッジの効いた決断によって有名になった人物について考えてみる。

植村直己は、運動が決して出来る人ではなかったのに、5大陸の最高峰を制覇した努力家。慎重に危険に対する備えを怠らなかったひたむきさはすごく勉強になる。あれほど、慎重な人が最後のマッキンリーで遭難して、消息不明になるエピソードは、ものすごく印象的で考えさせられる。

杉原千畝は、子供時代に戦争の酷さを知って、世界を平和にすることをビジョンとして、語学という得意をとことん生かした外交官。日本政府がNOと言っているのに、6000人のユダヤ人にビザを発行した勇気は本当に心を打たれる。その決断によって家族共々苦労したが、後に報われて、多くの人を感動させたその生きざまには本当に惹かれる。

 

自分の中で、最も参考にしたい生き方はシートンだ。幼い頃から考え続けてきたことを節約生活しながらも形にして、好きに対する探究心を持って冒険して、それを仕事に生かした。その探究心が認められ、仕事が少しずつ舞い込むようになり、挿絵、研究、講演会、ボーイスカウトとビジョンを広めていった形だ。まずは、仕事になったのが挿絵だった。人間中心主義のなかで、自然主義的な思想をもった。例えば、普通の人なら狼をしとめた人間を描くのが、シートンは人をしとめた狼を描いた。こういったスタンスが、自然との共生というメッセージをもたらし、マイノリティと考えられたことを大衆化・一般化させた。こういった時代の大きな潮流でないもの、資本主義の文脈で語られないものをどう形にして行くかというのは、自分にとって参考になる。

 

さて、これからも伝記は読みつづける。

どんな偉人と出会い、どう感じるのか?

これからも楽しみだ。

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