日本の木が世界的に認められた@古民家

みなさん、木の建物ってどんなイメージですかね?

火事が起きやすいとか、耐震性大丈夫?とか、建て替えを頻繁にするといったイメージを持たれる方も少なくないと思います。

 

江戸時代には、人口爆発して、密集していた木造の民家が、地震や火災で頻繁に倒壊しておりました。

そんな中で、新築の建物を建てないといけなくなると、それなりの木が必要になってきます。木が頻繁に伐採されるようになり、洪水や、森林破壊が勃発した時、初めて人は気づくんだと思います。

「森林保全、しないとな。」と。

江戸時代に森林保全の概念が誕生したんだと自分は考えています。

 

そんなこんなで木を保全する文化のある日本では、木がとても身近な存在です。

この木の文化、日本が海外と比べると突出していることがわかる数字をご紹介します。

主要な先進国の森林率(国土に占める森林の割合)

アメリカ 33.90%

イギリス 13.00%

中国   22.19%

ドイツ  32.76%

フランス 31.03%

そして、日本 68.46%!!!

(出典:2015、THE WORLD BANK)

data.worldbank.org

 

日本すごいですね。ちなみに、世界で最も森林率の高い国は中南米スリナムで98.28%とかなり突出しているようです。

 

そんな中で、日本の木の文化、世界的に認められるようになったのは、つい最近のことです。1994年までは、木の文化に関する世界遺産登録はかなり厳しいハードルがありました。そのハードルの正体は、「真正性」です。

 

真正性とは、文化的背景の独自性や伝統を継承していることです。

つまり、時代を経ても変化しない石の文化の西欧に対して、日本やアフリカの土や木の文化は変化してしまうということで、建造当時のままの姿を残しにくい性質があったのです。

しかし、その解釈はある文書によって、転換することとなります。

それが、世に言う「奈良文書」です。

この文書は1994年に開かれた「真正性に関する奈良会議」で採択されたもので、各国の文化や歴史の中で確立された保存技術や修復方法でのみ真正性を担保していくという考え方が生まれたのです。

 

このような経緯で、1995年には、日本の代表的な古民家集落である「白川郷・五箇山の合掌造り集落」のような木の文化に関連する世界遺産が登録されることとなったのです。つまり、素晴らしい生活の知恵が詰まった、日本の木の文化が世界的に認められるようになったのです。

 

ここで、合掌造りの写真を載せておきます。

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世界遺産検定でインタビューしていただいた時の記事はこちら

認定者インタビュー:稲村 行真さん|世界遺産検定