【2022年7月】石川県加賀市 獅子舞取材 中代町・新保町(追加)

2022年7月15日~17日の日程で石川県加賀市に滞在し、獅子舞のヒアリングを実施した。 7月15日 16:15~17:00 中代町 区長の東出ひであきさんに主にお話を伺った。以前、区長の西出さんにお話を伺った時のことを絡めながら記録を残しておく。 由来 獅子舞がどこ…

天候をコントロールしたという欲望、その先に「水止舞」は生まれた

2022年7月10日13時に訪れたのが、厳正寺(ごんしょうじ)の水止舞だ。水止と書いてシシと読む。とても珍しい獅子舞だ。形態としては明らかに三匹獅子舞なのだが、これが龍と一対なのがまた面白い。なぜ龍と獅子舞が対になるかというと、多摩川デルタ沿いの水…

東京に鹿踊がやってきた

2022年7月10日、11時より上野駅の岩手産直市で鹿踊を見てきた。なかなか東京で鹿踊を見ることはないので、この新鮮な感覚を書き残しておくことにする。今回、上野駅でお披露目された鹿踊は、「春日流八幡鹿踊」という名前らしい。岩手県花巻市から来たそうだ…

水害リスクを減らした獅子とは!?埼玉県三郷市・戸ヶ崎香取神社の獅子舞を見てきた

2022年7月3日、埼玉県三郷市戸ヶ崎の香取神社(例大祭)で三匹獅子舞を見てきた。戸ヶ崎といえば獅子舞が盛んな地域で、一日中ぶっ通しで朝から晩まで3日間、獅子舞をする。なぜこんなに盛んなの?という疑問とともに、最終日の様子を振り返っていきたい。 …

角兵衛獅子はなぜ全国に流行したの?新潟県月潟という小さな村から始まった!涙と苦労の物語

新潟県月潟の「角兵衛獅子」の歴史は非常に興味深い。貧困や恨みといった辛さをバネにして、最強の芸能集団を作り上げ天下を取った。しかし、時代の趨勢により芸能の技術指導が体罰と認識されるようになり完全に衰退してしまった。今では「保存会」によって…

佐渡島はなぜ「日本の芸能の縮図」なのか?獅子舞と鬼が融合した鬼太鼓を見てきた

2022年6月25日、新潟県の佐渡島に行ってきた。なぜ日本海の孤島に民俗芸能は次々と集積され、芸能における日本の縮図とまでに言われるようになったのか?その理由について調べるとともに、鬼と獅子舞が融合した佐渡の民俗芸能の顔・鬼太鼓の真相に迫る。 佐…

野宿をしたくなる場所は存在すると思う

野宿なんてやりたくない!という人が大半だろう。しかし、人間を野宿へと誘引する場所がこの世には存在すると思う。そんなことを考えながら、このブログを書くことにした。 まずは自らを野宿へと向かわせる動機について。大学生のときは、節約したいという思…

凧がケンカする理由とは?世界凧博物館で考えた、獅子舞との共通点「村境でぶつかり合う」真意

先日、滋賀県東近江市の「世界凧博物館 東近江大凧会館」を訪れた。世界の凧、約600点が展示され、その様は圧巻であった。展示で特に気になったのが、ケンカ凧の存在である。これは村境で衝突する獅子舞の話と通じるものがあると直感し、意外な気づきをもた…

素朴な獅子の昔の姿とは?秋田県五城目町の獅子頭の謎について

先日、秋田県五城目町の神明社で、3つの獅子頭を見せていただいた。総じて、五城目の獅子舞にはなぜ耳がないのか?という疑問が湧いてきた。僕の推測としては、耳が取られたか、耳取り合戦を避けるために獅子の耳を取り付けなかったかの2択だと思う。さて、…

酒田市はなぜ獅子の町になったのか?疫病が発生しやすかった構造とは

酒田市は獅子舞の街だ。酒田まつりでは大獅子が練り歩き、神輿には行道の獅子がつき、ステージパフォーマンスでも獅子舞が登場する。何かと獅子舞が出現しがちなこの街において、獅子舞は街の特質とどのように結びついているのだろうか?そのようなことをふ…

獅子舞の爆発的ヒットの背景とは?富山県・新湊の春祭りを訪れ、歴史的展開から考える

富山県から獅子舞と地域の未来を考えたい。2022年5月14日、富山県射水市の新湊を訪れた。新湊の春季祭礼を見に行ったのと、高岡市を拠点に獅子舞文化を盛り上げるwebサイト「獅子魂」の発起人の方にお話を伺った。富山県は獅子舞が盛んなので、包括的に地域…

大事な飼いキツネを神の国に送る「イオマンテ」の真意とは? 35年前の貴重映像とともに考えた

東京・東中野ポレポレで、2022年4月30日より、「チロンヌプカムイ イオマンテ」という映画の放映が始まり拝見してきた。北海道の大地で受け継がれてきた、イオマンテという幻の儀礼の映像が35年の時を経て公開されたのだ。これよりネタバレを含むので、興味…

獅子舞が大集合!ながの獅子舞フェスティバルが持つ機能とは?

5月3日に長野駅前から善光寺参道にかけて開催された、ながの獅子舞フェスティバル。長野市を中心に34の獅子舞団体が一堂に会した。スタッフの方にこのイベントの狙いについてお話を伺うことができた。今年で第6回目。 ー開催の目的はなんでしょうか? 伝統芸…

7年目ごとに開催!御柱祭の様子は?コロナ後の祭りについて考える

7年目ごとに行われる長野県諏訪地方の御柱祭に行ってきた。1200年以上の歴史の中で、史上初めて御柱が人力ではなくトレーラーで運搬されるなど、新型コロナウイルスの影響での異例の開催となった。この歴史的な年に、御柱祭について振り返っておきたい。 諏…

職人から見た祭りの姿とは?工芸品が盛んな石川県金沢市に行ってきた

獅子舞の蚊帳を作る職人は祭りをどのように捉えているのだろうか?石川県は能登キリコ、金沢の百万石祭りなど、祭り文化が盛んな土地である。これを下支えしてきたのは、江戸時代に加賀前田藩が奨励してきた工芸品文化と経済的な豊かさだ。 今回は工芸品の文…

【2022年4月】石川県加賀市 獅子舞取材 大聖寺錦町・塩屋町(追加)

2022年4月5~6日の日程で加賀市に滞在した。獅子舞取材を振り返る。 4月5日11:00~ 大聖寺錦町 荒木実さんにお話を伺った。錦町(にしきまち)の獅子舞は、昭和3年の御大典記念の時に即位の祝賀ムードの中、国、県、町などの予算が下りて始められた。これは明…

日本全国でも珍しい?お湯を撒く!箱根・湯立獅子舞を見てきた

箱根仙石原に伝わる湯立獅子舞は、日本全国でも珍しい湯立の形式を持つ獅子舞だ。先日、国選択無形民俗文化財にも指定された。この神事の珍しさに着目しながら、先日取材させていただいたときの様子を振り返りたい。 湯立獅子舞の由来 箱根仙石原諏訪神社境…

7年に1度の大祭!獅子舞が大集結!飯田お練りまつりの盛り上がりの秘訣とは?

7年に1度というのは諏訪大社の例大祭との関わりがある。その希少性から祭りの盛り上がりは半端なく、コロナ禍であるにも関わらず、大勢の来客が見られた。基本的には目玉となるのが、獅子舞の練り歩きと門付けである。 実際に現地で獅子舞を見てきた。その様…

飯田はシシの霊地か!?獅子塚を巡りその信仰について考えた

飯田周辺にはなぜか「獅子塚」と名のつく古墳が多い。今回は伊那八幡駅から下車して、水佐代獅子塚古墳、羽場獅子塚古墳、御射山獅子塚古墳の3箇所を巡ってみた。これらは典型的な豪族のお墓のような気もするのだが、なぜ、「獅子塚」なのだろうか。日本全国…

獅子舞生息可能性都市~名古屋編~(基礎調査版)

名古屋といえば、日本全国の獅子舞界において非常に重要な場所である。 日本全国に獅子頭が量産されるきっかけを作った「名古屋型の獅子頭」が生まれた場所だからだ。寄木づくりで残材を有効活用して軽くて安価な獅子頭作りに成功した。それに加え、日本最古…

縦横無尽に駆け回る!会津の彼岸獅子を追ってきた

福島県会津若松市で行われる春を祝う獅子舞である「彼岸獅子」なるものを拝見してきた。 春のお彼岸と言えば先祖供養の意味があり、雪解けと生命の息吹、喜びを感じる季節であることは確かだ。 ただ、なぜこのお彼岸の七日間を中心として、この地域に獅子舞…

氷見市の獅子舞はなぜ盛ん?神社の数が影響?氷見獅子舞ミュージアムに行ってきた

氷見市はカンブリに代表される漁業、美味しいお米が食べられる場所などとして発展してきた。なぜこの地が日本全国でも有数の獅子舞の数を誇るようになったのか?その地域的な背景に迫って行きたい。そのような思いもあって、ひみ獅子舞ミュージアムに行って…

獅子舞講座を開催!2段構えでファンづくり、富山県・三ヶ錦町の獅子舞

富山県射水市の三ヶ獅子舞では、獅子舞の講座を開催されているという。なぜ獅子舞の練習に加えて獅子舞講座なるものが必要だったのか?開催することで地域にとってどのような良い事があるのか?三ヶ獅子舞保存会の宮川さんと宮司の宮城さんにお話を伺った。 …

富山県でとくに古い行道獅子!?小川寺の獅子舞を取材、その歴史的系譜を振り返る

◎日本における行道獅子の始まり 612年に百済の味摩之が伝えた伎楽が、無言で滑稽味を帯びた仮面劇として持ち込まれ、その一部に師子児が先導する形で、行道の獅子というものが存在していた。東大寺大仏殿の開眼式などで披露され、地方の大寺院にも伝えられた…

獅子舞生息可能性都市~札幌編~

都市空間に獅子舞は生息しうるか?を検証するプロジェクト。今回の舞台は札幌だ。 札幌天神山のアーティストインレジデンスに参加し、2月26日から3月5日までの滞在制作を実施してきた。 獅子舞の生息環境を確かめるには、獅子頭や胴体などの道具の材料をどの…

北海道十勝で開拓とアイヌについて考えた

2022年2月25~26日の日程で北海道の浦幌町と帯広市に滞在した。開拓民がどのような新しい文化をこれらの土地にもたらし、その土地に古くから根付いていたアイヌ文化とはどのような摩擦がおこったのかについて知りたくなった。これらについて考えることは、北…

城下町の獅子舞の特徴とは?石川県小松と大聖寺は似ている

小松市の曳山交流館みよっさに行ってきた。ここで、大聖寺と小松の共通点が明らかになるとともに、城下町の獅子舞の特徴として新しい側面が見えてきた。双方ともに城下町であり、大聖寺藩と加賀前田藩という土壌の違いはあれど、武家文化が花開いた点では同…

石川県加賀市で小学生向けに「獅子舞」の授業!

今日は石川県加賀市の小学校で3年生向けに、「獅子舞」をテーマとした、ふるさと学習の授業をさせていただきました。コロナで実施できるかハラハラドキドキでしたが、実現できてよかったです。 意外なことに「加賀市には獅子舞が5つくらいしかない」と思って…

【2022年1月】石川県加賀市 獅子舞取材 動橋町(追加)

2022年1月29日 14:00~ 動橋町 「いぶりば」というコミュニティスペースに伺ってきた。中に入ると、見えてきたのは子供用のグズ!ぐず焼き祭りに使われるもので、大人用はもっと大きいのだとか。やはり、動橋町といえばぐず焼きまつりが有名だよなと思いつつ…

【2022年1月】石川県加賀市 獅子舞取材 永井町

2022年1月27日19:00~, 29日10:00~ 永井町 「物的証拠がない中で、獅子舞の歴史を探る」 獅子舞の歴史について書かれている冊子を見せていただいた。永井町は現在、獅子舞を実施しておらず、獅子頭も現存していない。かつての獅子舞の姿を知る上で、非常に貴…