インドネシア スラバヤ、民俗芸能調査の記録。中国獅子舞、猿回し、Reog...路上から舞台まで!

2023年10月9日から21日、インドネシア第二の都市・スラバヤに滞在した。3人組のユニット「獅子の歯ブラシ」が、東ジャワビエンナーレに参加するためである。2週間の滞在だったがそのうち1週間は比較的余裕があり、さまざまな民俗芸能に触れる機会を得た。そ…

インドネシア 夜行バス物語 バリ島-スラバヤ、12時間立ちっぱなし、食べてばっかり、船にまで乗っちゃう!驚きの珍道中の一部始終をお届け

2023年10月8日(日)、僕はインドネシアのバリ島からスラバヤへと夜行バスで向かわねばならなかった。バリ島での民俗芸能調査を終えて、スラバヤでの東ジャワビエンナーレ参加のための2週間の作品制作に向かったのだ。東ジャワビエンナーレでは、3人組の獅子…

ケチャ、バロンダンス...バリ島芸能を堪能!観光化とその先にある芸能のあり方は?

2023年10月6日から8日までインドネシアのバリ島を訪れた。この島はリゾート化が進み、芸能が観光化されているものの、ハードルが低くインドネシアの芸能に触れることができるのが魅力だと以前から思っていた。そういうわけでまずは獅子舞研究をしている身と…

バンコクは欲望が集結した大都市!その根底に潜むささやかな水への祈りとは?

2023年10月3日~10月6日の日程でタイのバンコクに滞在した。 思えば、さまざまな目的があって今回バンコクを訪れたのだが、その大きな目的の一つに、獅子研究というものがあった。タイの獅子といえば、中国系の獅子舞が旧正月に実施されるほか、東北部に白い…

大充実の沖縄県「獅子舞」取材!アメリカ兵獅子頭返還、糸で操る獅子舞...7団体をまわり発見した獅子舞の魅力とは?

2023年9月29日(金)~10月2日(月)まで、沖縄の獅子舞を取材した。沖縄では旧暦8月15日に十五夜祭というお祭りが行われる。本来であれば十五夜は29日なのだが、今年は金曜日なので土日でずらして開催する地域も多く、これは3日連続で滞在するしかないという…

頭の上に頭をかぶるシュールな行列!鎌倉 御霊神社 「面掛行列」を堪能

2023年9月18日、神奈川県鎌倉市の御霊神社にて、鎌倉神楽と面掛行列なるものを拝見してきた。とりわけ、面掛行列の獅子に関心があり訪れた。この獅子は舞うのではなく、ただ持って歩く形態であり、行道獅子の祖型とも考えられる。この知られざるマニアックな…

オスかメスか分からず...謎多き取材となった「青梅の獅子舞」

2023年9月17日、青梅市の友田の獅子舞と、長淵の鹿舞を拝見してきた。ここ最近は特に獅子舞が多い時期で、秋祭りが日本各地で行われている。少しでも回れるだけ獅子舞を回っておこうという思いで、2つの獅子舞が同日に行われる青梅市を訪れた。 ここの地域に…

雌獅子を探して乱闘! 高木の獅子舞 東京都東村山市

関東一帯に広がる、素朴な三匹獅子舞の一端を拝見することができた。2023年9月16日(土)、東京都東村山市の高木の獅子舞を見に行ったのだ。17時半の道行に始まり、鳥居を潜って拝殿前で、約30分の演舞「雌獅子隠しの舞い」。関東全域で見られるこの三匹獅子…

熱中症対策で獅子舞も変化!?石川県 山代温泉 八朔祭

9月1日、石川県加賀市山代温泉の八朔祭で獅子舞が行われた。武芸鍛錬の勇ましい獅子舞で、棒振りが薙刀や刀を持ち、獅子と立ち向かう姿が見どころだ。また、道中では祝儀としてもらった羊羹やお花を観客にプレゼントする場面があったり、薙刀を「ヤアー!」…

獅子頭制作日記1日目

茨城県石岡市にて、獅子頭職人さんに獅子頭づくりを習うことに決めた。定期的に教わりながら、少しずつ極めていきたい。 もともと習おうと思った経緯は、獅子頭職人さんをライターとして取材することは多かったが、もっと解像度高く職人仕事について考えたか…

獅子頭の羽を求めてフィリピンまで...地域に愛され繋がれてきた、神奈川県相模原市「鳥屋の獅子舞」を見てきた

神奈川県相模原市は東京都心から1時間でつける田舎。古い民像や風習が今でも残っている。今回、相模原市の観光関連のお仕事をされている八木さんにご紹介いただき、8月12日に鳥屋の獅子舞を見に伺った。橋本駅からは車の移動。現地で見たこと感じたことを振…

猪の交尾や四つ足を模した舞もあり?山形県の獅子踊りはとにかく素朴!磐司祭 獅子踊りフェスティバルに行ってきた

8月6日、磐司祭 獅子踊りフェスティバルが山形県の立石寺で行われた。松尾芭蕉の「...蝉の声」の一句で有名な土地で、森の緑と深い山が印象的な静けさと、生活感に包まれた土地だ。立石寺の境内では、3つの獅子踊りが披露されたので、それぞれの特徴について…

日本三大祭・祇園祭と天神祭にて、祭りと獅子舞の源流に触れた

最近は日本全国の祭りの全体像を描けるようになりたいと思っている。だから今回、日本三大祭りの一翼を担う、祇園祭と天神祭を訪れたのは必然的だったかもしれない。2023年7月24日にこの2つの祭りをはしごした。行き帰りは夜行バスなので、弾丸の取材だった…

沖縄の獅子舞の特徴とは?獅子舞とシーサーの違い、米兵が持ち帰った獅子頭の話など

2023年5月29日~6月5日まで、沖縄県に滞在して、3人組の獅子舞ユニット獅子の歯ブラシの滞在制作を行っていた。その合間に、沖縄の獅子舞について、概観を知ろうと考え、獅子頭職人にお話を聞いたり、県立図書館で文献を漁ったりした。その時に知ったことをこ…

本当に素晴らしい祭りコンテンツとは?獅子舞マニアが祭りの世界の広さを知る

最近の祭り見聞録。 大規模な祭礼行事に出かけることが多い。獅子舞という括りだけでは盲点になりがちだった、祭りというものの全体感について、考えざるを得ない。 4月14日には岐阜県高山市「春の高山祭」、5月4日には岩手県奥州市「江刺甚句まつり」にいっ…

猿が乱入する獅子舞!?上岩橋の獅子舞 千葉県酒々井町 2023年

2023年4月2日、千葉県酒々井町で行われた上岩橋の獅子舞の様子をお届けする。 コロナ禍に実施することが叶わず、4年ぶりの演舞となった。当日はオボナス様(産土神)のお祭りで、五穀豊穣の獅子舞が演じられた。「水争いはオボナス様が背中合わせだから」など…

日本全国の獅子舞のルーツの1つ、伊勢大神楽の起源とその集団の特異性を考える

日本全国に獅子舞を伝え、その伝播の中心を担った伊勢大神楽。この芸能が各地の獅子舞の起源として語られることは非常に多く、その影響は計り知れない。2022年12月24日、三重県桑名市の増田神社で行われた伊勢太神楽の総舞を拝見してきた。それとともに、桑…

【2022年12月】石川県加賀市 獅子舞取材 大聖寺下福田町犬澤(追加)

石川県加賀市にて、本作りのための獅子舞に関する追加ヒアリングを実施した。今回の対象地域は大聖寺下福田町犬澤(いんのさわ)である。 12月22日 16:30~ まずは宮地弘晃さん(71)に農作業途中、納屋にて時間をいただきお話を伺った。 獅子舞の歴史 獅子舞…

現代における獅子舞の住処

獅子舞をはじめ、麒麟や龍、鳳凰、亀など想像上の生き物の住処がなくなってきている。これはどのような事態として捉えるべきなのか。 これらの生き物は全て家畜化されていない動物をモチーフとしていることは重要なポイントだ。最も主要なモチーフを取り上げ…

獅子舞界のドン・キホーテ、伊勢大神楽の暮らしの実態、民俗芸能研究の可能性について。

新型コロナウイルス、人口減少、高齢化、担い手不足、娯楽の多様化、、様々な問題が、民俗芸能の衰退を促している。その中で、東京ドキュメンタリー映画祭で上演された伊勢大神楽の記録「それでも獅子は旅を続ける」は、400年変わらず受け継がれている芸能の…

雨が降らねば切腹する壮絶さ、なぜ獅子頭は苔で作られた?雨乞いの真相に迫る

獅子頭はなぜ、苔で作られたのか? その一風変わった獅子頭が最近、千葉県千葉市の聖宝寺で発見された。明治時代に雨乞いで使われた獅子頭とのこと。 レトロで美しい旧生浜町役場庁舎を管理するNPO法人ちば・生浜歴史調査会の15周年を記念して行われた「椎名…

モグラ女に樺太からきた部族...カオスで不気味な見世物小屋から考える旅芸人の生き方

これは久しぶりにすごいものを見た。いや、見てしまったという方が正しいだろう。 2022年11月16日、新宿の花園神社で行われている酉の市を訪れた。そこで鳥居の真横に設置された見世物小屋のプリミティブな雰囲気に惹かれた。入り口のお姉さんの調子の良い掛…

香川県の獅子舞が大集合!獅子舞王国さぬきを取材して考えたこと

日本全国を見渡せば、獅子舞が盛んな都道府県として、石川、富山、香川の3県が挙げられることが多い。ただ、そのなかで唯一取材が手薄だったのが香川県だ。関東圏からアクセスしようとすると、土日の飛行機代、あるいは新幹線代が高く、バスでも1万円かかる…

獅子芝居とは何か?岐阜県岐南町にて、女性になりきる歌舞伎の獅子の成立背景に迫る

岐阜県岐南町で行われた「岐南地芝居公演」に伺ってきた。岐阜県といえば、地芝居や獅子芝居といったいわゆる魅せる演劇的な芝居ものが発達した地域である。その歴史や背景、現状の伝統継承の姿など多角的に迫っていきたい。 2022年9月「岐南地芝居公演」に…

獅子殺しの起源はいつか?

北陸地方の加賀獅子や岐阜県の金蔵獅子などに見られる獅子殺しの起源はいつであろうか?加賀獅子の起源は前田利家公が江戸時代に金沢城に入城した時に始まるという。これが軍事費を莫大にかけると反乱と勘違いされがちな外様大名ならではの文化面での武芸鍛…

なぜ獅子頭を被らないのに獅子舞なのか?扇子の動きに注目! 長野県奈川獅子舞に行ってきた

獅子頭も胴体もない獅子舞が存在するという。そんなことを聞きつけて、長野県松本市から車で1時間、上高地にも程近い秘境・奈川寄合渡に行ってきた。この地域には「奈川獅子舞」と言って、通常の獅子頭と胴体を身にまとう獅子がある一方で、それらを持たず扇…

巨大な魚を燃やす!?ぐず焼きまつりの秘密に迫る

8月27日、石川県加賀市動橋町のぐず焼きまつりを訪れた。巨大な怪物のような姿をした「化けグズ」を焼き払うお祭りであり、その迫力は圧巻だった。このモチーフはワニなのか?蛇なのか?様々に想像を掻き立てるこのユニークなまつりの実態に迫る。 ぐず焼き…

まさに魅せる獅子舞!今治市にて、アクロバティックな「継ぎ獅子」を見てきた

愛媛県今治市には「継ぎ獅子」という珍しい獅子舞がある。肩の上に人が上り、上へ上へと伸びていき、ものすごく背の高い獅子が生まれるのだ。 てっぺんにいる子どもは獅子であるにも関わらず、獅子頭を被っていない。新潟県の角兵衛獅子のような子供の曲芸と…

舞わず、頭を噛まない獅子!?福岡市紅葉八幡宮で「祓い獅子」を見てきた

福岡県には、珍しい獅子舞があると聞いていた。獅子舞なのに舞わず、ただ持っているだけという。神輿渡御行列の獅子舞ならよく知っているが、門付け型の獅子舞なのに舞わないのはとても珍しい。いつも東日本の獅子舞ばかり見てきたので、九州の獅子舞も見て…

つく舞とは何か?カエルが柱をよじ登る意味とは?その秘密に迫る

2022年7月24日18時から茨城県龍ケ崎市でつく舞を見てきた。つく舞とは何か?を参考文献を参照して述べたのち、当日の様子を振り返る。 つく舞の由来 柳田國男によれば、つく舞の「ツク」とは柱のことで、澪標(みおつくし)の「ツク」と同義であるとする。澪…