【石川県加賀市】1期生 いなむーから見たPLUS KAGA(4期・冬)4日目

こんにちは、今夜のキムチ鍋が楽しみないなむーです。

 

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今日は明日の最終プレゼンに向けて最後の準備日。4期生はミニプレゼンを行い、最終的なブラッシュアップを行なった。一人一人、その過程をここで紹介する(現時点のプランについて少しご紹介)。

 

 

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ザキヤマ

新しい時代の製品開発を行いたい。今回、そのはじめの一歩として、ヤギミルクの石鹸を開発した。いろんな人に会った実体験が大事。たまたまこの人に出会ったというのが、プロジェクトに直結するというのが面白さだ。この人とこういうものを作りたいという意思によって、地域の製品がたくさん生まれていくイメージである。予定調和にならないように、これまでの生産や計画とは異なる概念で進めていくことになりそうだ。

 

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ないき

お試しプロジェクトデーで大盛況だった「ないきっちん」。加賀市在住の外国人が交流できる場を作りたいという想いがある。今後は加盟店を作り、色々なお店で会を開催していきたい、ゆくゆくは「ないきっちん」というお店をオープンさせたいとのこと。

 

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あまね

スマートホームを作りたいという考えのもと、地域課題とIOTを掛け合わせたサービスを作っていきたいとのこと。今回はお試しプロジェクトデーで、電気を遠隔でつけたり消したりできる装置を試した。今後は、空き家か一般家庭で、様々に実験していきたいようだ。

 

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あおい

散歩が好きなので、散歩に関するプロジェクトを考案。お試しプロジェクトでは、以前存在した家の跡である「住拓(じゅたく)」を見つけて楽しむことに特化した散歩を行なった。今後はMAP作成したり、instagramで広く発信して、縮退していく町でもポジティブに捉えていけるような文化を作っていきたいとのこと。

 

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うっちー

橋立の街を構成する笏谷石(しゃくだにいし)に注目。石垣の崩壊度を調査したり、町歩きを行なったりした。最終ゴールは、「街の景観の再構成」であり、威厳のある北前船の街を作るということだ。笏谷石で作った憩いの場のようなものを最終的には考えていて、笏谷石の配布、既存のイベントとのコラボなども検討している。

 

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アビー

加賀における死に興味を持ったアビー。まずはアンケート調査を行なった。45人も回答してくれたようだ。生前に遺影を撮るイベントと展示を行い、死についてみんなで考えるきっかけづくりを行いたいとのこと。

 

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4期生一人一人に、「加賀市をもっとより良くしたい」という意思がある。PLUS KAGAでは、自ら具体的なアイデアを持って、それを実際に実践しなくてはならない。

 

プレッシャーに押しつぶされそうになることもある。

 

涙を流すこともある。

 

それでも、乗り越えなくてはいけない。

 

大学生にとって、個人プロジェクトを立ち上げるというのは、とてもハードルが高いことだ。社会の荒波を何十年も経験した地域の人々と対話して、間違いを恐れずに自分の興味を持ったことに対して、真っ向から挑んでいく。その姿をぜひ見に来ていただきたい。

 

 

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<明日の最終プレゼンテーションの概要>

 

2020年2月22日(土)

14:00~17:30

大聖寺地区会館にて

 

4期生6人がこれから、どのようなプロジェクトを進めていくかをプレゼンテーションします。参加費は無料です。みなさん、ぜひお越しください。

 

 

【石川県加賀市】1期生 いなむーから見たPLUS KAGA(4期・冬)3日目

こんにちは、今日はちゃんと靴下を履いたいなむーです。

 

今日は、お試しプロジェクトデーということで、大学生がプロジェクトの実現に向けて小さな一歩を踏み出す日。それぞれの学生が何を考え、実際に何をやったのかをお届けする。

 

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ザキヤマダは夜な夜な作業していた。ヤギミルク石鹸の型を作るべく、職人のように細かい作業を淡々と行う。

 

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翌日、搾乳のために、小塩辻の宇谷さんの牧場に来た。大ちゃん、運転ありがとう。

 

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ヤギにえさやりをした。尿がかかって前髪が黄色くなっているヤギがいた。臭い方がモテるそうだ。人間でいう金髪みたいな感じなのだろうか。芸能人を見かけたかのように、ザキヤマダは写真と動画を夢中で撮りまくる。

 

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それから、ヤギの餌について説明を受ける。この餌あげながら、ヤギの気をそらして搾乳を行うらしい。

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搾乳のアイテム登場!ザキヤマダのほっぺたを乳と見立てて、搾乳のイメージをする。

 

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一匹確保!ロープで後ろ足を巻きつけて、搾乳の体勢を作る。すんなり縛られることを受け入れるヤギもいれば、受け入れないヤギもいる。ザキヤマダは「ごめんよ」と言って、餌で釣りながら、それを見守る。動物から人は恩恵をたくさん受けていて、それを享受するためには、動物にも人にも大変な苦労がある。搾乳したいのは、人間の勝手なわがままだけど、それを言っていたら飢えて死ぬし、生活を保つことができない。宇谷さんは、動物と人との付き合いかたについて、僕らに行動を持って教えてくれているのだ。

 

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搾乳を始めたが、ヤギのミルクを摂るということがないので、かなり苦戦する。ヤギもミルクを出し慣れていない。一滴滑り出した雀の涙のようなミルクに歓声が上がる。

 

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なかなか出てこないので、直接カップに搾乳を試みる。ザキヤマダも乳搾りに挑戦。やはり、想像以上に難しい。もはや乳を吸引するしかないのではないか。でも、それだと、毛が絡まって、痛いのではないか。そんなやりとりが繰り広げられる。

 

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宇谷さんの奥さんも搾乳を手伝ってくれる。宇谷さん一家にとってヤギは、子供に近い感覚なのかもしれない。ザキヤマダもヤギを支えながら頑張る。

 

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小ヤギが乳を加えるように指をしゃぶってきた。甘えん坊だ。

 

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1時間以上格闘を続け、なんとか40mlを確保。宇谷さんもザキヤマダも一安心である。ヤギは乳を出すのに想像以上に根気が必要だし、餌をたくさん食べなきゃならなかった。それでも、人間のために乳を出してくれたヤギには、本当に感謝である。さて、午後は実際に搾乳したミルクを使って、石鹸を作るようだ。どのようなものができるのか楽しみである。

 

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お昼は、尼御前サービスエリアで、宇谷さんにチャンピオンカレーをご馳走になる。ねっとりしていて美味しかった。

 

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午後は、橋立で街を構成する重要な要素、「笏谷石(しゃくだにいし)」をはじめとした地域資源に着目して、街歩きを行なっているうっちーの様子を見にいく。

 

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うっちーは、もう既に笏谷石にかなり詳しくなっており、「ここでは笏谷石が一部使われています」とか、「ここは昔は100%笏谷石が使われていたけど、今は全く使われていません」とか、街の人に解説をしていた。笏谷石は、福井県から運ばれた石で、昔は多く使われていたが、現在はあまり使われていない。福井の採掘現場が平成10年に閉山してしまったようで、崩落の危険が高まったのと、収支が合わなかったのが要因らしい。消えゆく知られざる資源に着目して、そこから街を捉え直し、プロジェクトを考える、というのがうっちーの試みである。

 

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街歩きをしていると様々な発見がある。これは、かなり古い蜂の巣だろうか...。

 

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苔むした美しい階段と、屋敷跡。

 

 

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今では空き家になってしまっているが、維持にはかなりお金がかかっている伝統建築の古民家などを見学。宿泊など活用方法を考えていかないと、お金は出ていくばかりだ。しかし、住民は観光客が来るのに反対で、静かに生活をしていたいという人もいる。街のアイデンティティを保っていくために、伝統建築の維持を行なっているという見方もできるかもしれない。

 

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橋立の古民家は本当に美しい。

 

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途中、「CULLET」というおしゃれな雑貨屋さんがあり、秋友さんというガラス職人の方が営んでいるとのこと。知られざる隠れ家のような場所だと感じた。橋立はそのような所が本当にたくさんある。

 

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最後に同行してくれた杉原さんの庭にある梅の木を見学。「母が持っているのですが、危なくてなかなか人に見せられないし...」とのことだったが、これはものすごいものを見せてもらった。広大な敷地一面に広がる梅の海!「こんな場所、橋立にあったのか」とびっくりした。

 

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健気に、身をよじり、太陽に照らされ、控えめにも宝石のように輝く梅の花に、橋立の奥深さと魅力を重ね合わせた。

 

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この敷地には、イノシシが穴を掘った場所が見られた。花ならぬ鼻の形が掘られていたことから、イノシシに間違いないとのこと。他にも、突然キジが飛び出してきたし、ここは動物の宝庫でもある。梅の生育に関わるため、人間には望まないことかもしれないが、動物もこの場所を気に入っているようである。

 

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最後に、杉原さんと記念写真をパシャり。うっちーも「この場所を活用して、何かやりたくなりました!」と言っていた。現在、2期生のハルくんとも協力して今後の企画を考えているようで、PLUS KAGAのメンバー同士の連携もこれからどんどん進んでいったら面白い。街歩きを経て、橋立でこれからどんなプロジェクトを作るのか、とても楽しみだ。

 

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今期のPLUS KAGA が始まる前から、1週間宿泊先としてお世話になっていた堂下さんとも、ここでしばしのお別れ。堂下さん、ありがとうございました!

 

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うっちーとドライバーのしゅうぞうともに、プラスカガの拠点である大聖寺の町家に戻ってきたのが、16時ごろ。あまねが、子供たちと遠隔で電気をつけたり消したりする実験をしていた。IOTを使って、地域の課題を解決していくプロジェクトを構想中だ。なるほど、これがあればわざわざ立ち上がって、電気を消しにいく必要がない。

 

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それどころか、東京にいても大聖寺の町家の電気を消すことができるらしい。インターネットさえあれば、実現可能なのだとか。まるで、マジシャンのようだ。電気がいきなり消えたら、電球の不具合や幽霊を疑うまでもなく、マジシャン「あまね」を思い浮かべるに違いない。

 

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その頃、台所では、続々とベトナム人インドネシア人をはじめとした、大聖寺のアリス学園の生徒たちが料理を作っていた。今夜は、地域の外国人を集めた交流会、

ないきによる「ないきっちん」の本番である。

 

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おにぎり、とても美味しそうだ。徐々に、食卓にエスニックな料理が並んでいく。

 

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OBOGのなおきも、手伝ってくれている。このように、4期生だけでなく、1期と運営をしたつばさ、2期のしゅうぞう、3期生の大ちゃんとなおきといった今まで大活躍したPLUS KAGAメンバーが今回集まっているのだ。こうして、定期的に懐かしいメンバーが集まれるのは嬉しい。

 

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18:00過ぎに、ないきの自己紹介から、「ないきっちん」はスタート!PLUS KAGAメンバーや運営、OBOGを除いても、約25人ほど人が集まってかなり賑やかに始まった。

 

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様々な国籍の人が混じり合い、話が弾んでいく。言葉を教えあったり、食べ物の違いを話ししたり、とても楽しい会になった。

 

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たまたま、フォルクのももちゃんと、ポーランドのオラさん、ベトナムのタオさんが黄色+デニムだったので、写真を一緒に撮った。「黄色といえば?」と僕が聞くと、「バナナ!」ということになり、3人でバナナポーズをしてくれた。こういう些細なことで、交流が進んでいくのが嬉しい。

 

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カメラを向けると、皆積極的に微笑んでくれた。

 

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最後に、今後やりたいことについて考え、instagramやLINEを交換して終了!集合写真では、ないきのNIKEポーズをした。お試しイベントにも関わらず、これだけの人が集まり、大盛況に終わったないきのプロジェクト。instagramのアカウントも作ったようで、これからも企画を行なっていくそうで楽しみだ。

 

今日は取材できなかったが、他の4期生であるアビーは「加賀市民に対するアンケート調査」、あおいは「大聖寺での住拓をテーマにしたお散歩」を行なったようだ。PLUS KAGAのfacebookなどをぜひ参考にしていただきたい。

 

今期のPLUS KAGAもあと2日。明日は、最終の公開プレゼンに向けた準備の日だ。加賀市に向けて、4期生は何を提案するのどうか。明日も引き続き、その進捗をお伝えしていく。

 

【石川県加賀市】1期生 いなむーから見たPLUS KAGA(4期・冬)2日目

こんにちは、今日は靴下を履かずに裸足で過ごしたいなむーです。


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今日は、プロジェクトの実現に向けて、4期生各自が個別に行動する日。

 

朝7時にあおいと合流した。散歩のプロジェクトを作るべく、散歩している人に実際にヒアリングをするようだ。あおいにとって、散歩の醍醐味は、道端にある些細な発見である。ただ、それがどうプロジェクトに結びつくのかについて頭を悩ませていた。ヒアリングをした先に、何か進むべき道が見つかるのだろうか。

 

朝6時から行なっていて、1時間で5人の散歩者にヒアリングできたらしい(僕は寝坊したので7時に合流)。散歩コースについて話を聞いたところ、犬の散歩をする人は川沿いを歩く人が多いなど、様々な発見があったそうだ。

 

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そのような話をしていたところ、いきなり道の脇からワンちゃんが飛び出してきた。いつも犬と散歩しているんです!と会話が弾む。横で写真をとっていたところ、犬にペロペロたくさん舐められた。僕は何気に犬に好かれるらしい。

 

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途中、あおいが釣り具の自販機を発見!珍しい自販機を見つけたとテンションが上がる。こういう小さな発見が散歩の醍醐味だ。

 

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途中から、通勤通学者が増え始めて、散歩者がいなくなってしまった。男子高校生、もしや、あそこを歩いている女子高校生と一緒に通学するのかな?と予想したら、見事に的中。芸能人を激写した気分になる。

 

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途中、溶けた雪だるまを発見。戯れる。

 

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 散歩者かな?と思いきや、高校生の通学を見守っている先生だった。

 

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散歩者発見!急いで声をかけに走る。図書館の開館まで暇だから、ぶらぶらしているらしい...。なるほど、そういう散歩もあるのか。

 

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道端に、タイヤを植木鉢にしたものを発見。エモかったので写真を撮る。結局、6:00~8:00の時間帯で、7人くらいの散歩者にヒアリングをすることができ、散歩の目的やコースなどを聞くことができた。

 

実際どうやって、プロジェクトにしていけばいいのか、よくわからなくなってしまったと話をしていた。悩むことに意味はあるし、だからこそ面白いものが作れるとも言える。一方、人の縁で自分の考えている外から何かが舞い込んでくるかもしれない。とにかく行動していれば何かにつながる。徒歩の旅の意味について悩んだ自分と重なったこともあり、形にできる様に積極的に応援したい!と感じた。

 

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 それから、朝ごはん。アビーが即席でうまいものを作ってくれた。

 

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次は、お昼頃に、ないきのプロジェクトに同行。大聖寺にあるアリス学園の2つのクラスの学生たちに、明日のイベントの案内をしていた。その名も、ないきによる「ないきっちん」。20日の18:00~大聖寺のPLUS KAGAの拠点で、外国人の交流会を開催する。 

 

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加賀市内には、ベトナムインドネシアから来た外国人が住んでいる。地域の人と交流がないようで、食事会を開いてみようというのが開催経緯だ。後々、空き家などを活用して、色々な地域でご飯会を開催できたらと考えている。 

 

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まずは、自己紹介やPLUS KAGAの紹介。それから、イベントの告知という流れで、2クラスで15分ほど話をしていた。写真だけ見れば、授業をしている先生だ!

 

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高校時代の留学などを経て国際交流に関心を持った、ないき。外から来た外国人が地域の人と交流するきっかけを作りたい。きちんとその想いを伝えられるように、丁寧に黒板に字を書いて、ゆっくりと説明する。

 

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その想いが通じたのだろうか。和やかに、でもしっかりと学生たちは耳を傾ける。自分たちのために、加賀出身でない東京の大学生がイベントを企画してくれている。きっと嬉しかったに違いない。「私、参加したい!」「私は料理を手伝いたい!」という様にほとんどの学生が行きたいと言っていた。

 

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先生もフォローしてくれて、ぜひinstagramで参加のコメントをしてくださいね!と念を押す。大学生と地域住民と外から来た外国人。様々な価値観や文化を持った人が繋がり、新しい交流の輪が広がろうとしている。協力者が現れ、ないき自身もとてもワクワクしていて、これは明日どうなるかとても楽しみだ。

 

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ないきの「ないきっちん」。2月20日(木)18時から20時に、プラスカガの拠点である大聖寺の町家にて開催します!

 

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午後は、ゆりあさんとアビーが作ってくれた焼きそばとコロッケを食べる。

 

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焼きそば、めちゃお洒落だった。

 

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午後は、個人作業や、プロジェクトの相談をし合うなど、各々自由に過ごす。台湾からきたアビーは日本(加賀)の死や葬儀について関心があり、大聖寺のお寺・本善寺にヒアリングに行くことにした。

 

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本善寺のご住職は、PLUS KAGAでも何度もお世話になっている飯貝さんのお父様。かなり知識豊富な方で、お話を伺っている途中、僕らは「へ〜!!」という感嘆が止まらなかった。

 

例えば、仏教において蓮の花は、泥の中から芽を出し、苦しみを抱えながらもそこから生きるエネルギーが生まれるということを表すようだ。また、仏像を安置するために少し高く設けられた場所である須弥壇は、当て字で世界一高いヒマラヤ山脈に由来するものであるという。また、血縁を遡るという話では、キリスト教はGod(神)に行き着くが、仏教では父と母、おじいちゃんとおばあちゃん、そのまたおじいちゃんとおばあちゃんという様に遡ることができ、28代遡ると総勢1億人を超えるようだ。一人欠けただけで、自分は存在しない。

 

自分が今生きていることは奇跡だ。

 

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数珠をいただいた。

 

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様々な仏教の尊い教えを聞いた後、帰ろうとすると、そう言えば台湾の方からこんなものをもらったのだが何が書いてあるかわからない、とのこと。アビーと台湾出身の地域おこし協力隊の王さんは、「これは縁起の良いことが書いてあって、玄関やドアに貼るものです。物事が成就するという意味があります。」と教えていた。

 

台湾と日本の信仰や、生と死。違いがあるからこそ交流する意味がある。アビーがやろうとしているプロジェクトは、人間が誰しも訪れる死という根源的な問いに対して、真っ向から挑んでいるのがすごい。だからこそ、地域にプロジェクトとして何が提案できるだろうか...と頭を悩ませる。非常に斬新でインパクトがある一方、タブーにもなりかねない人の死に対して、地域とどうコミュニケーションをとってどうプロジェクトを実現していくのか、とても楽しみだ。

 

明日は4期生のお試しプロジェクトデーだ。実際に、4期生がどう小さく一歩を踏み出すのか、活動を引き続き追っていきます。

 

 

 

【石川県加賀市】1期生 いなむーから見たPLUS KAGA(4期生・ 冬) 1日目

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朝7時、加賀温泉駅に降り立った。そして、大聖寺まで散歩。雪景色が綺麗で、とても気持ちの良い朝だ。今年もプラスカガ冬のワークショップがスタートする。今回も写真撮影や「いなむーから見たPLUS KAGA」のコラム更新をして、4期生をサポートしていく。

 

PLUS KAGAとは、人口減少が進む石川県加賀市で、大学生が地域の課題や魅力に触れて、プランを考え、提案し、実践するというワークショップだ。

 

今年は4年目。日本全国や台湾から6名の大学生が参加している。夏と冬のワークショップがあり、今回は冬。大学生はすでに興味ある地域や分野があり、僕が実際にアイデアを実践する様子をお伝えして行く。

 

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期間は2/18~22で行う。その初日が今日で、午前11:00からイントロダクションが行われた。市役所の人口減少対策室の上出さんも来てくださり、コーディネーターの三島さんと運営のゆりあさんを中心に、期間中のスケジュールや、4期生のプロジェクトの進捗について共有が行われた。

 

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今回の滞在期間に、4期生はそれぞれ以下のことを行う。

・ないきは、外国人移住者との交流イベントを開く。
・あまねは、地域の課題とIOTを掛け合わせたプランを構想して一部実装する。

・アビーは、地域の人々の死について向き合い、写真の撮影を行う。

ザキヤマダは、地域のヤギミルクを作った石鹸開発に挑戦する。

・うっちーは、橋立地区の街並みについて、街の核となる笏谷石(しゃくだにいし)に注目して聞き取り調査。

・あおいは、散歩を通じた歩きやすいまちづくりに関するプロジェクトを考えており、コースのヒアリングをする。

 

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お昼のランチは「つかさちゃん」のほかほか弁当。突然、ザキヤマダがラジオを流しだす。周波数によってご飯とか美味しくなるのかな、とあまね。それに対して、湿度と気温、気圧とか関係ありそう、とザキヤマダ。なかなか面白いやり取りが繰り広げられた。

 

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ランチの後は、拠点の町屋を整理してから、プロジェクトについて、ディスカッション。アビーは、死について考えそれを写真で表現するため、ショックな印象を与える。どのような写真がベストなのか、どうやって地域の人とコンタクトをとり実現していくのかということをコーディネーターの三島さんと議論していた。

 

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あおいの散歩プロジェクトに対して、うっちーが「散歩掲示板とかあったらいいよね」と提案。確かに、散歩していて気づいたことなどを集めてみるのは面白いかもしれない。また、ないきは歩いているときに、音楽とか聞いていて特に何も注目していない人が多いのでは?とのこと。散歩者へのヒアリングを行うときは、項目や聞き方に工夫が必要そうだ。

 

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それから、みんなで地域の進学校大聖寺高校へ。1年生が総合的な探求の時間を使って、「地域課題探求」を行なっており、PLUS KAGAの大学生と交流して、お互い刺激し合おうということで、今回の交流が実現した。高校に行くなんて、久しぶりすぎてテンションがあがる。

 

「大学生はどんな印象ですか?」という大学生からの質問に、高校生からは「自由とか、楽しそう」などの意見が飛んだ。

 

「大学行きたい?」という質問には、ほぼ全員が「行きたい!」と回答。エジプトに行きたいから、アラビア語を学びたいという高校生も。

 

「何でいまの大学を選んだんですか?」という高校生からの質問に、うっちーは「絵が描きたかったので美大を選んだ」と答える。

 

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「大学に入って楽しかったことは何ですか?」という質問にゆりあさんは、「勉強にも恋愛にもモチベーションのかけ方が違う」のが、大学の魅力だと答えていた。次第に、大学生と高校生の溝がなくなって、和んでいった。

 

あおいは、大学に入って独り暮らしができるようになって新しい発見ができた。家族のありがたみ、孤独、交友関係の広がり、など大人へ一歩近づいたとのこと。

 

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最後に、高校の先生から質問が。「どうして、PLUS KAGAに参加しようと思ったんですか?」

 

ザキヤマダは、誘われたときシンプルに面白いと思ったからとのこと。やはり、面白そうなものに飛び付いて行動していく貪欲さを持ったのが、今回のPLUS KAGA 4期生なのだ。高校生にも、ぜひワクワクするプレゼンを聞きに来てほしいと三島さんが締めくくる。

 

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高校生との交流の後は、皆で山代の総湯へ!

その間、僕とサポートメンバーのももちゃんは、夜のウェルカムパーティーの準備を始める。電球がとてもおしゃれなのが良い。

 

 

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夜のパーティーは19:00から始まった。4期生やOB、地域の方々が集まり、食卓を囲む。プロジェクトを進めていくには、地域の方々の協力が欠かせない。中締めの後も、みんな飲んで笑って楽しそうな時間が続いた。

 

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三島さんが、地域からの参加者と持ってきてくれた食べ物を紹介していく。どれもとても美味しかった。個人的には、村田さんの鯉の刺身はなかなか食べられないものだったので、食べられてよかった。地域の方々には、約30名以上の方々に集まっていただいた。

 

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今回もバーフレンズの熊岡さんが100円で美味しいお酒を提供いただいた。

 

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また、スギヤマ酒店の杉山さんは前回同様DJをしていただき、素敵な音楽をたくさんかけてくださった。

 

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受け付けには、プラスカガグッズの缶バッジ、バッグなどの物販も並んだ。2期生の伴野さんのかごのイラスト本や、僕の獅子舞の写真集も置かせてもらい、実際に購入もしてもらえて嬉しかった。本をきっかけに、新しい獅子舞取材が決まったり、獅子舞のストーリーを教えてもらったりしたので、会話のきっかけにもなると思った。

 

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4期生も地域の方にプロジェクトの相談をしている姿が多く見られた。これから、どんなプロジェクトが実行にうつされるのかとても楽しみだ。明日は学生がそれぞれ関心のある地域でプロジェクトの準備をする日になる。引き続き、4期生の進捗に迫っていく。

 

崖に棺桶が!?生と死を見つめるフィリピン北部の旅、写真作品の視点から。

フィリピン北部には、様々な伝統文化を持った人々が暮らしている。その中でも、イフガオ族とイゴロット族の文化には、かなりゾクゾクするものを感じたので、訪問してみた。

 

現在、写真の作品作りをする上で「生と死」に対して、どう向き合うのかというのが1つのテーマになっている。生きることのエネルギーや活力と、それに対する死ぬという恐ろしさを目の当たりにしたとき、人は強く生きられる。

 

同時に、自分の作品を見てくれる鑑賞者が少なくとも何らかのメッセージを受け取ってくれなければ、写真の価値とは何たるかわからなくなるだろう。生や死というテーマが人の心を揺さぶるものであることは間違いない。写真家がこぞって、ハンターに同伴して、捕らえた獲物の血がほとばしる様を撮りに行くというのは、何となく感覚としてよくわかる。でも、撮るものやフォルムがありきたりなものも多い。

 

自分は、意図して物語を作りたくない。故意に飾るのも好きじゃない。だから、ドキュメンタリーの写真を撮るのだ。真正性は大事。それで、ドキュメンタリーだから、どうやって差別化はかって、対象物と向き合うのって話もある。結構、多くの人の心を揺さぶるものは撮り尽くされちゃうのだ。

 

クリップオンストロボで、対象物だけ明るくして、周囲を暗くして、さも恐ろしげに撮っている木村伊兵衛賞受賞者の田附勝さんの写真集「東北」にはその1つの答えがある。場所選びと撮り方が秀逸で、混沌としたものを統一的な独自の撮影手法と世界観で撮っているように感じる。

 

「東北」というくくりで撮影した田附さん。広い土地を統一的なテーマで括ろうとしたときに、そもそもの土地のカラーが個別的に違うから、どう撮るのって話もある。それで、ミイラとか、漁師とか、ハンターとか、様々なものを1つの世界観でまとめあげるっていうのはすごい。でも結局、自分が好きなものは何か並べていったときに、ああこれだよねって合点がいって、最終的に自然に収束していくような感覚もある。

 

自分が撮りまくっている世界の民族の文化風習みたいなものが今後どう纏められていくかは非常に行き先が見えぬ旅でもある。一昨年のベトナムの市場、昨年の東北の祭り、インドのラダック奥地、台湾の原住民、そして、今回のフィリピンの民俗・風習、写真を本格的に始めてから、様々な国の人と土地との関係性に迫ってきたが、今後これがどう新しく編み直されるのだろう。自分でも感覚としてわからないところもあり、とにかく自分が好きなものを撮り続けようというのが大きな軸である。

 

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さて、今回のフィリピンは、とにかくエネルギーをビンビン感じた。都会のマニラから、若者がマフィアみたいに見えてきて、荒ぶる人もいれば、路上で倒れ眠りこける子供や老人がいて、ジプニーに乗る人が山のように屋根やら側面やらに捕まって運ばれていくような姿もあって、まさに「生きる」ってこういうことだなと感じた。

 

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田舎町のバナウェやサガダは、霊気に満ち溢れた神秘的で神聖な土地に思えた。バナウェの棚田が幾重にも重なる様は深い歴史を思い起こさせた。また、骸骨やら土偶、牛の骨やらを高床式住居に飾る風習は、中々に恐ろしげで、死をビンビン感じた。

 

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サガダのイゴロット族の土地では、懸棺という風習があって、崖に棺桶を吊るすという何とも奇妙な風習がある。先祖の霊に近づけるためとか、野犬や首狩り族の人たちを近づけないようにするためだったとか、腐敗を防ぐためとか、いろいろ言われている。人は胎児のように丸まってあの世に行くと信じられているので、遺体を椅子で縛って固定して、折り曲げて、棺桶に埋葬するらしい。自然崇拝の信仰が元になっている考え方のようで、2010年で2000年の埋葬の歴史に幕を閉じたというから、現代のキリスト教文化に自然崇拝がかなり押されているということかもしれない。

 

なるほど、周囲の自然や街並みにも霊気や神秘を感じざるを得ない濃い体験ができた。写真の整理をしているところである。これからも、世界の民族を独自の手法と視点で撮り続けたい。このinstagramのアカウントでは、撮影した作品の一部を公開しているので、ぜひご覧いただきたい。

 

Inamura Yukimasa(@sekaitabi8)

https://www.instagram.com/sekaitabi8/

 

 

記録写真の限界と今後の方向性、獅子舞写真にどう向き合うか

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最近、獅子舞撮影に関して考えていることは、「獅子舞の鼻」だけ撮影することにどのような意味があるのかということである。この鼻撮影の意図としては、最初は面白がって欲しいからと単純な理由で始めたものだったが、山代の服部神社を訪れた際に、獅子舞では鼻を観客に向けて踊らないというエピソードを聞いてから、なるほどタブーを撮るという価値は存在するのかもしれないと考えていた。つまり、獅子舞は厄を払うという本来の意味を示すために激しくて勇壮でなくてはならず、鼻を見せるということは可愛らしさを表現してしまうので好ましくないと考えられているようである。これを撮影することで、新しい独自の視点で獅子舞に向き合ってみたいという発想の転換が自分の中で行われた。

 

2019年は獅子頭を約30頭撮影した。それで、カタログ的に並べてみると、可愛くて獅子舞の多様さが表現できていると感じた。しかし、それは単なる情報でしかないということも思い知らされた。写真家や評論家に今後の方向性を相談してみたところ、様々なアドバイスをいただいた。

 

まずは、写真集の編集者と会った。写真をただ記録するということに対する限界も感じた。7大陸最高峰の到達、北極と南極の横断、未開地域の探検、それら全てがもうやり尽くされた今、ただ受身的に事実を並べることに人はなんの驚きや面白みも感じることができなくなってきている。インターネットには情報が溢れ、google mapでその土地の風景を容易に検索できてしまう。写真界でいえば、石川直樹宮本常一といった水平に果てなき網羅的な記録を続けた先人が既にいて、自分を無にして客観性に限りなく近い写真の第一人者になることはかなり狭き門である。ヨシダナギのように、ビジュアルの美しさを追求したファッショナブルな集合写真も先人が既にいて、もう撮り尽くされてしまっている。1民族1集合写真のような撮り方なので、どう頑張ったって撮り尽くされてしまう。真面目な学術的な写真も、その世界をただ真面目に写すことにしかならない。ただ、頑張ったね!と言われる写真は、誰でも頑張れば撮れるわけで、「独自の視点」の意味をもっと追求したい。「獅子舞の鼻」も、言うなれば最初の着眼点が面白かったものの、そこからカタログ的に並べるだけの行為は思考停止状態である。だから、その先にアイデアが必要になってくるのだ。多分、カタログでもそれは頑張ったことが評価されるべきだという人も無論いるだろうが、個人的には次のステップが見えてくることが大事だと考えている。カタログ的な撮り方は、統一的に機械的に行わなくてはならず、それが退屈になってしまう。技術の革新などで、もっとより良い方法が確立され、今までの撮影がパーになるという恐れも少なからず存在する。同じアングルでしっかり真面目に撮って並べることに対する疑問はいまだに膨らんだままだ。カタログ写真は努力が見えるという点ではとても良い手法なのでそれは続けつつも、より獅子舞の背景にある信仰やそこに関わる人々の内面を抉り出すような写真を模索していくことにする。

 

また、写真評論家と会った。やはり、写真がまだ説明的すぎて、客観に徹しすぎているところがあるということがわかった。やはり、自分は田附勝さんや内藤正敏さんのように、目に見えないもの、神が宿る感覚を想起するような重厚感や狂いを感じさせるような写真を撮ってみたいと実感した。そのためには、カメラの研究も必要である。広角レンズや魚眼レンズなど何かをクローズアップするような感覚も必要だが、被写体を歪めたくない思いもある。自分のカラーとして意識するのは、被写体が極彩かつ重厚で迫力がある強い写真である。

 

今後の方向性として考えたのは、まず石川県加賀市の獅子舞の伝来ルートをインドまで遡るというものである。獅子舞の起源をインドのアショカ王の石柱の台座に求める説があり、そこから、ネパール、中国、朝鮮、日本の奈良に伝来して、そこから分散的に各地域へ伝来したと言われている。獅子舞の伝来ルートは、日本の芸能・文化のルーツと重なることもあり、日本についても深い視座を持って向き合うことができるかもしれない。そして、被写体も仮面舞踊から石柱まで様々なので、この伝来の歴史を追うことでカタログだけの写真ではなくなる。地理的繋がりがどう編集できるかに関心がある。一方で、石川県加賀市という1つの地域に継続的に向き合うということもやっていきたい。獅子舞はその地域の自然、地形、文化、風習、信仰などと少なからず結びついており、地域を撮るように獅子舞を撮り、そこに関わる人々も撮っていくことによって、獅子舞をただマニアの対象としてではなく、地域の信仰を撮るというより深く広域的で本質的な文脈で捉えられると考えている。その構成要素の一部として、獅子舞の鼻が存在するという風に、今後の撮影を考えていきたい。

 

今後の撮影を検討している地域

石川県加賀市:獅子舞の青年団や歴史に詳しい方々のインタビューと周辺小物

石川県小松市:石川県最古の獅子頭が伝来した津波蔵神社と保管された小松市立博物館

石川県金沢市:石川県内で獅子舞伝播の中心だった金沢最古の獅子のある波自加弥神社

岐阜県岐阜県最古の獅子頭が造られた真木倉神社(1304年)と諏訪神社(1306年)

三重県:三重最古の獅子頭が造られた伊奈冨(いなう)神社

三重県桑名市:日本全国に獅子舞を伝えた伊勢大神楽の本拠地である増田神社

奈良県明日香村:612年に百済味摩之が獅子舞を伝えた旧豊浦寺の向原寺

奈良県奈良市:獅子狩り紋様がある法隆寺

奈良県奈良市:江家次第によると、古くから寺院系獅子舞が舞われていた興福寺、法勝寺

奈良県奈良市:獅子舞を全国に広めた東大寺と最古の獅子頭8頭を保管する正倉院

奈良県桜井市味摩之が獅子舞を子供に教えたとされる土舞台

中国山東省:日本との通称関係が深かった呉国があった場所。「中華全国民俗誌」によれば、棺桶の前で獅子が舞踏して、厄払いの信仰あり。

中国ウイグル自治区アクス地区クチャ県:喜多村翁によれば、キジ国の舞楽が中国の文化とともに日本に伝わった。つまり、獅子舞の源流候補地の1つ。

タイ :シンハーパーク、ビア・スィンเบียสิงห์、スィントーสิงโต

ネパールバクタプル:獅子の像と10月の収穫祭(ダサイン)に仮面劇

インドバラナシ:サルナートミュージアムアショーカ王獅子頭柱)

インドサーンチー:アショーカ王獅子頭

 などなど。

 

▼2019年の獅子舞の撮影をまとめたZINEはこちら。

wipty.thebase.in

 

 ▼獅子舞のinstagram

https://www.instagram.com/kagashishimai/

 

 

 

 

台湾政治大学で授業開催!台湾 桃園-新北 100km徒歩 「日本人探し旅」まとめ

こんにちは、イナムラです。11月25日に行った「台湾国立政治大学での授業」と「今回の徒歩の旅のまとめ」について書きます。

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台湾 桃園-新北 100km徒歩 「日本人探し旅」のゴールの2日後、台湾の国立政治大学で授業をさせていただいた。国立政治大学は、台湾の文系の大学の中では、トップを争う大学らしい。とても緊張したが、皆リラックスしてくれて笑いもあり、とても楽しい授業になった。内容としては、今回の徒歩の旅のことと今までの徒歩の旅を企画するに至った背景などで、時間は60分だった。定員が30名の授業だったが、なんと70名の応募があったそうで、とても嬉しい。台湾の大学生(中国の方もいた)がこんなに徒歩の旅に関心を持ってくれるなんてとてもありがたい。

 

授業に招いていただいた背景としては、学生の目線から「こんなにたくさん挑戦して行動している人がいると言う刺激」を与えられることを大学側から期待していただいた部分が大きいように思う。やはり、自分は歩くということによって人を勇気づけることができる応援団やエンターテイナーのような役割が少なからずあるのかもしれない。一方で、この「たくさん行動している大学生」ポジションから、「きちんと自分の作品が世界に認められる若手」に成長していかねばというのは常に感じている。さて、自分の作品をどう深めていくのかがこれから大事になってくるだろう。

 

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今回の徒歩の旅の成果としては、考現学の手法に近い形で、台湾の中にある「日本」について新しい視点から考察できたことだった。つまり、日本と台湾は昔から違う国であるが、異文化同士の交流・交易が盛んで、それぞれの文化がそれぞれに輸出輸入を繰り返してきた。台湾在住の日本人インタビューや、台湾の路上観察を通してその断片を明らかにしていこうという試みが本企画である。これを進めるにあたって、あらかじめ調査項目を定めることなく、ざっくばらんに調べ上げて、後から分類して新しい気づきを得るというのが今回の「日台関係」を考察する手法であった。

 

例えば、日本人インタビューの中で、台湾は極彩色を好むけど日本人は侘び寂びの感性から質素なものを好む傾向があるいう話を聞いた後、道中たまたま極彩色の寺院やレストランのメニュー表を見かけたのでインタビューの話に納得がいき、写真を撮影した。また、歩いている途中で、路上に桜の花の絵が描かれており、そこから僕は日本を発想できたので、写真の撮影を行い記録しておくということもあった。これを繰り返すうちに、「日本文化との共通点」「日本政府が作ったもの」「記念碑」など、様々な日台関係を探るキーワードが見えてきたのである。このように多視的に、「日本」という自国のアイデンティティとそのイメージに迫ったのが今回の企画だった。

 

僕はこれをなぜやろうと思ったかというと、自分が所属するコミュニティや居場所がよくわからなくて、それについて考える機会が多かったからのように思う。高校までの自分はどこの誰とも仲良くなれるけど、深い人間関係を知らないような人だった。大学に入ってからは、アルバイトを30個やっては辞めを繰り返した。大学を卒業してからは、「ヒラヤマちべっと」というコミュニティスペースを東京都日野市で作った。基本的に僕の頭の中で、なぜ人はそこに所属してそこにどのような縁があったのかを問うことが多くなったのである。その一方で、公益的に人の役に立ちたいという思いもあり、自然と地域、市町村、都道府県、国などの「分け目」に着目して、コミュニティを盛り上げていきたいという想いもある。

 

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さて、今回の徒歩の旅の成果と今後の検討事項についてである。今回の徒歩の旅で感じたのは、この旅のテーマを質と量でどう掘り下げていくかということを検討せねばならないということだ。3日間で100km歩くという旅だったので、3日というインパクトは確実にあった一方、「歩ききるという意識」と「作品をしっかり作りあげる」ということの両立をどう行うのかと言う視点も追求していきたい。今後、世界で徒歩の旅を開催していくに当たって、ゴールする日を決めずかなり余裕を持って報告会の日程を組み、加えて、道中1日40km歩く想定を、1日10kmまでハードルを下げてその分路上観察やインタビューによりじっくり取り組み、写真を撮影するというのも良いかもしれない。より深い気づきを得られるだろう。これを実現するには、「資金調達」をして、宿泊と食事に余裕を持たせるという現実的な視点も必要になるだろう。

 

また、その作品自体をより多くの世界中の人に見てもらうためには、さらに作品自体にインパクトを持たせないといけない。自分の撮影スタイルは、例えば石川県加賀市で実施している「KAGA SHISHIMAI project」のように、真面目なドキュメンタリーを、変わった視点でひたすら撮りまくるという地道なものが多いので、その物量によるインパクを目指していくのも良いだろう。凝ったライティングをするとか、おしゃれに撮るとかそういう細々とした繊細な工夫を凝らすよりも、自分の圧倒的物量と行動力がものを言うような極めて「記録」に近い作品作りを行うのだ。そして、自分の撮りたい「質感」や「」のものを撮影してそれをきちんと自信を持って、人に見てもらわねばならない。

 

発表の場は、今回のように大学での授業はもちろんのこと、アートフェアやイベントで自分の作品に近いコンセプトのもので、しかもすでに集客が期待でき、市場が存在するものに乗っかっていくことも必要だろう。前回、東京-石川徒歩の旅第2弾で出店した「マニアフェスタ」のようなアート系じゃないイベントも色々と開拓していきたい。展示や冊子を通して、この徒歩の旅のプロジェクトを多くの方に知っていただけたら嬉しい。出版社も興味を持ってくれたら...と感じる今日この頃である。ひとまず、今考えていることはこのような感じだ。
 

※文中の写真は国立政治大学にご提供いただいています。撮影いただき、本当にありがとうございました。