【1〜3日目】徳島県の古民家「桃源郷祖谷の山里」で住み込みアルバイトをはじめました!

鼻がかゆくて、風邪気味の稲村です。

今日は、東京都日野市から約21時間かけて、たどり着いたバイト先である秘境「桃源郷祖谷の山里」「篪庵」の話をします。

どちらも高単価の古民家宿泊施設で、とても雰囲気の良いところです。

桃源郷祖谷の山里 | Tougenkyo-Iya

NPO Chiiori Trust | Top

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さて、なんで今回徳島の古民家に行くことにしたかという話です。

理由としては3つあります。

 

①秘境ビジネスに興味がある。

ヒラヤマちべっとでやってきたことは、交通インフラや商業施設が近隣に存在しない、いわゆる秘境(チベット)と呼ばれるところでの事業でした。採算を取るのが難しい中で、超めちゃくちゃ秘境の古民家はお金的にはどういう仕組みで成り立っているのか知りたかったからです。迷って引き返したとかはあるものの、東京都日野市からは約21時間の長旅でした。秘境にも関わらず、日経の古民家ランキングで「祖谷の山里」「篪庵」はそれぞれ第3,4位となっているくらい、全国的にも成功事例の1つと言えます。

style.nikkei.com

コミュニティビジネスに興味がある。

ヒラヤマちべっとでもキーワードになっていたのは「異分野&多世代交流」です。この「桃源郷祖谷の山里」「篪庵」では、社員は数名しかいなくて、あとは10名くらいの近所のシニアの方々のアルバイトによって成り立っています。一見高単価で敷居の高い宿泊施設ですが、地域の方が仕事で集い、宿泊者とも気軽に交流します。しかも、宿泊者は学生からシニア、日本人から外国人まで様々なので、交流はとても刺激的です。

 

③デザインに興味がある。

ヒラヤマちべっとの特徴としてもう一つあげられるのが、周辺が自然豊かでそれと調和する開放的なデザインということです。桃源郷とも言われるこの祖谷という地域は、とても自然が豊かです。その景色の良さも加わり、自然資源で造られている古民家が、本当にかっこよくて美しく見えます。日本人は自然とともに生きてきたため、コミュニティは自然との共存をどうはかるかという視点がありました。川に入って遊んだり、庭に草木を植えたり、木で家を建てたり、農作物を植えたり、身近なところに自然がありました。自然がこの地に関わる人々にとってどういう存在であるのかにも着目します。

 

これらのポイントに着目しながら、5/5まで楽しみたいと思います。

では、徳島のバイト先に行くまでの道中を少し振り返ります。

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高松から徳島までの道中は徐々に秘境に突入していく感覚だ。

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高松から、徳島の大歩危駅への鉄道ルートは面白い。

改札口では駅員さんが一人一人の乗客に「ありがとう」を言う姿は印象的だ。

イカが使えないのは残念だが、人の繋がりを色濃く感じる。

 

三条駅から琴平駅への道中。

高松のマスコットキャラクターが乗客に混じって乗っている。

隣の人はイルカ使い?のようであった。

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琴平から阿波池田への道中。

車掌さんと運転手さん、切符の確認は同じ人。

とても気さくで話しかけやすいアイドルのようだった。

時間調整で停車中の時は、鉄オタとの会話も丁寧に対処!笑

さすがだとおもった。

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阿波池田駅での出来事。

電車の待ち合わせをしている時に、近所のおばあちゃんと30分くらい話をした。

普段は遊ぶもんもないし、近所に家がないから、ずっとテレビを見ていると言う。

だから、こうやって駅まで出てきた時に隣の人としゃべりたくなるみたいだ。

今日は、息子が帰ってくるそうだ。

30分も前から、電車の到着を待っている姿にほっこりとする。

 

大歩危駅についた。

地域の人が、電車を送り出す。

駅長さんも、電車を送り出す。

それを見守る観光客。

おれも、丁寧に目の前の人に向き合いたいと感じた。

こういうサービスは、秘境ならではで学びがある。

【世界一周1日目】徳島県の大歩危駅での地域の方のお見送り

 

大歩危駅には、「らぶらぶベンチ」がある。

これ考えた人の思考はシンプルで面白い。

こう言う形のイスだと、気になる人との距離が一気に縮まるに違いない。

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さて、大歩危まで来たはいいが、

忘れ物をしたので、阿波池田まで戻り、そっからバスに乗ることにする。

まあ面白いものが観れたからいいか。

バスはずっと谷を進む。

緑の色が本当に美しい。

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バスで走ること1時間半。

桃源郷祖谷の山里の事務所に到着。

篪庵もここの事務所が管理している。

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さて、今日はバイトの説明を受けて、就寝。

 

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バイトの流れは、こんな感じだった。

宿泊施設のお掃除

宿泊施設の宿泊前最終チェック

宿泊客対応

クリーニング

ゴミ捨てなど

 

宿泊施設は「祖谷の山里」8棟で、それプラス「篪庵」1棟となっている。

今日は、「祖谷の山里」8棟のうち、「天一方」「談山」「浮生」という3つの宿泊施設に関わることとなった。

また、上記の事務所が、宿泊の受付でもあり、僕が泊まってる所でもあり、宿泊客対応を行う所でもある。

 

天一方(てんいっぽう)

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 名前の由来は、景色の良さが関係しているようだ。「祖谷の山里」8棟のうち最も人気と言われる宿である。宿泊価格は、人数や時期によって変動するが、2万円弱が相場である。この宿の特徴は、他の棟と比べて、モダンなところである。古民家の良さを生かしながらも、床や、家具、風呂場などできる限りモダンに近づけている。

ここで、掃除を行なった。食器洗いや窓拭きに対して丁寧に向き合う感覚を身につけた。このブログには書かないが、布団やタオルのクリーニング・たたみ方・しまい方には決まりがあり、コツがあった。徹底されていて勉強になった。

 

②談山(たんざん)

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名前の由来は、開放的な空間設計と、人がワイワイ集える場であることが関係しているようだ。これは、コンセプトがヒラヤマちべっとに似ていると思った。友達をたくさん誘って訪れたい雰囲気だった。中に入ると、仕切りのない広い空間があり、屋根裏まで集える座布団が用意されている。庭はとても広く、多くの机とイスが並べられている。

ここでも、掃除を行なった。ここでは、地域のおばさんと一緒に掃除をした。韓国ドラマが始まるから、さっさと掃除を終わらせようとはりきっていた。僕が東京から来たことを知って、喜んでくれた。運営者側の交流、宿泊者側の交流の2軸が上手く作り上げられた場であると感じた。トイレ掃除や、屋根裏の掃除など、色々なところをやった。

 

③浮生(ふしょう)

f:id:ina-tabi:20180430214738j:plain名前の由来は、祖谷の山里がある落合という集落の一番てっぺんにあるということだろう。夢の中に迷い込んだかのごとく、別世界の風景と古民家に圧倒された。これはとっておきの時に、大事な人と訪れたい雰囲気だった。中は談山と対照的で、こじんまりとした狭い空間で、バスやリビングのでかい窓からは絶景が見られるようになっている。また、浮生は最も古民家の原型に近いデザインをしている。すすで床が黒く染まっていたり、座布団が紺色をしたり、と質素なデザインだ。質素さが外の景色を映えさせ、贅沢な空間を作り上げている。この宿泊棟の面白いところは、なんと近所のおじいちゃんおばあちゃんの家の敷地の中を通らないと、たどりつけないことだ(笑)。地域の人と外から来た宿泊者の交流を大事にするためにも、この導線は面白いと思った。

ここでは、宿泊のお客さんの迎え入れのために、環境チェックを行った。地域のプロではないシニアの方をバイトスタッフとして迎え入れることができるのは、このスタッフの2重チェック制度があるからこそであると言える。この仕組みはすごい。

 

このように、祖谷の山里の古民家の多様性は半端ない。まだまだ残り5棟に訪れていないが、どんな古民家かとても楽しみだ。美しい古民家が保たれているのも、重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、補助金が出ているからというのはとても大きいだろう。また、行政からの業務委託ということもあるだろう。きっとそれによる制約はあるだろう。古民家に使う部材にも制限があるはずだ。しかし、それを乗り越えて人を魅きつける環境整備に徹底的にこだわりぬいた先に、地域の人も宿泊客も惹きつける宿が出来上がったのだろう。稼働率ゴールデンウィークは、8割くらい。今年中の独立採算を検討しているようだ。これからも、いろいろ学んでいきたい。ここには、5/5までお世話になる。ぜひ、皆さんも泊まりに来ていただきたい。

 

 

世界一周の概要はこちら。

日本を西に進み、徳島、沖縄を抜けて、台湾に行く計画です。

クラウドファンディングも実施中。

camp-fire.jp


  

 

 

 

 

 

 

 

 

【世界一周】 新しい地域コミュニティを探る旅! 次の活動に向け世界中を飛び回りたい!という企画を始めます。

<世界一周企画の要約>

カフェ、ゲストハウス、シェアハウス、公園、広場、世界各地の地域コミュニティを飛び回ります!!! 価値観が崩壊するような刺激や、これはすごい!という新しい発見を発信していきます。 そして、現地の生活を体感し、皆さんとシェアして、今後のまちづくり活動に生かしていきます。

 

 現在、クラウドファンディングで支援者を募集しております!

よろしくお願いいたします!!

https://camp-fire.jp/projects/view/74129

 

 

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世界の地域コミュニティを皆さんとシェア!

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今回の旅では、世界の地域コミュニティを巡り歩きます!

まず、ここで言う地域コミュニティとは何かという話です。

地域の人々が気軽にふらっと立ち寄れる、カフェや、シェアハウス、ゲストハウス、公民館、集会所、公園、広場などの場のことを指します。

こういう場があることによって、地域の人々の居場所ができ、人と人との繋がりが生まれ、毎日の暮らしがにぎやかで楽しく充実したものとなります。

 

こういう地域コミュニティは世界中に存在します。

今までの価値観がガラガラと崩されたり、これはすごい!という新しい価値観と出会ったり、様々な気づきがあるはずです!

そういうものを現地で味わって、ブログ、動画、SNSなどでみなさんとシェアして、これからのまちづくりについて考えていきたい!という想いで企画させていただきました!

それではまず、どうしてこのような旅をすることになったのかをお話しさせてください。

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きっかけはバイト経験、地域コミュニティづくりを始める。

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大学時代は、アルバイトを約30個経験しました!

しかし、僕は雇われることができない人なので、肌感が合わず全部やめてしまいました(笑)

それと同時に、自分の居場所を選び取る難しさについてずっと考えてきました。

昨年4月に大学卒業を機に、東京都日野市の古民家「ヒラヤマちべっと」の管理人を始めました。居場所に困った自分でも気軽に入れるような地域コミュニティを、暮らしに近い形で作りたいという想いから、シェアハウスやイベントスペースを開始しました。

 

イベントスペースでは、塾の先生が勉強を教えてくれる寺子屋、子供を始め地域の方々が集う食堂、ボードゲームの会など、地域の方々が様々なイベントを開催してくださいました!

シェアハウスの住人も、イベントの主催者になったり、参加者になったりして、毎日が充実した日々となりました。まさに、飲み会やるならヒラヤマちべっとでしょ!という感じで、地域の方が気軽に立ち寄ってくれる場所となりました。

 

どんどん盛り上がり、毎月100人以上の人々が出入りする場となったのは大きな成果でした。

イベント参加者の繋がりが新しい市民活動の団体誕生のきっかけになったり、日野市の広報に掲載してもらったり、NHKテレビの取材がきたりと徐々に成果として形になっていきました。

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貯金は1万円をきり、自分を見つめ直すことに。

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東京都日野市の古民家「ヒラヤマちべっと」は今年に入っても、いつも通り賑わっていました。しかし、地域コミュニティづくりを仕事にするというのは本当に難しいことです。

なかなか黒字化せず、ついに今年の3月に僕の貯金は1万円をきりました。

 

それと同時に、自分の思考がとても凝り固まってしまっていることに気づきました。

駐車場の貸し出し、畑の貸し出し、お土産の販売、宿泊、とにかく思いつくできる限りのことはなんでも試しましたが、そこに自分が探している答えはありませんでした。

 

僕は居場所に困った経験から、独立採算で自由でのびのびとした場づくりを理想の形だと考えてきました。だからこそ、他から資金調達するという選択肢はありえませんでした。もう一度自分を見つめ直し、もっと広い世界を見るためにも、2018年4月末をもって古民家の管理人を卒業する運びとなりました。そして、世界各地の様々な地域コミュニティを見て回る世界一周の旅に出ることを決意しました!

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ヒラヤマちべっとを残すとともに、旅立つことを決意

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僕がヒラヤマちべっとの管理人を卒業することを、facebookで投稿すると、「ヒラヤマちべっとが無くなるのはさびしい。」とたくさんの方々から、次々にコメントやメッセージをいただきました。わざわざ大事な用事をキャンセルしてまで、会いに来てくださった方もいました。

それと同時に、自分を今まで支えてくださった地域の方々の存在の大きさを改めて実感しました。自分が旅に出ても、ヒラヤマちべっとという地域コミュニティは残すべきだと考えるようになりました。

 

2018年4月15日のイベントでは、地域の方々や関わりの深い方がたくさん集まりました。

3時間以上にわたり、ヒラヤマちべっとのこれからについて作戦会議をひらきました。

そこで決まったことは、古民家という場はなくなっても、人の繋がりは残そうというものでした。僕の旅の進捗を共有するとともに、地域の方が主体となって地域の地区センターの活用や、山登りなど場所にとらわれない企画が生まれるコミュニティへと大きく転換することになりました。

 

僕はいつ旅から帰るかわかりません。少なくとも約1年間は旅を続けることになるでしょう。

しかし帰国後は、東京都日野市のヒラヤマちべっとをはじめとして、日本中の今までお世話になってきた皆さんと楽しい活動をたくさん仕掛けていきたいです!!!

今までの自分を変え、成長して、もっともっと面白い人間になって帰って来ます!!!

みなさんどうか応援よろしくお願いいたします!

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訪れる場所はこんなところです。

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基本は、直感でその都度柔軟に訪問先を決めていくつもりなので、ほぼほぼこの通りにはならないでしょう(笑)。ただ、面白そうだなと思ったところを上げていきます。 

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①台湾

台北から台南までリノベーションでアップデートされたまちづくりの現場を体感します。若者がはじめたシェアハウス、廃墟を再生したカフェ、アートによって活気づいた街、再生された官舎、世界一きれいな眼科など、様々な地域コミュニティを巡ります。

【訪問を考えている場所】

玖樓(ジォウロウ)・Ruins Coffee Roasters台北国際芸術村-宝蔵巌・大稻埕・都市再生前進基地「URS」・Cooking Together URS155・三芝頂山寺貝殻廟・厚食聚落・范特喜(ファントォーシー)Fantasy Story・審計新村(Shen Ji New Village)・中區再生基地 DRF Goodot Village図書館 Artqupie Library・宮原眼科・彩虹眷村・PARIPARI パリパリ APARTMENT 

 

中国

少数民族をはじめとする多種多様な文化をもった村の暮らしに溶け込みます。要塞のような円形シェアハウス、風水によって徹底的に作り込まれた村、女性の権力が強すぎる村、小人しかいない村、洞窟の中で人々が暮らす村など、個性豊かな所を回ります。

【訪問を考えている場所】

福建土楼福建省)・諸葛八卦村(浙江省)・モソ族(雲南省)・ハニ族(雲南省)・イ族(雲南省)・小矮人王国(雲南省)・中洞村(貴州省)等

 

③インド

人が繋がることに対して価値観の崩壊や解脱の感覚はどんなものでしょう。言葉を発しないで2週間耐える修行体験や、とにかく騒げる映画館、朝から晩まで人々が集うガンジス川など、圧倒的体験ができる所を巡ります。

【訪問を考えている場所】

ブッタガヤで修行、グルガーオンの映画、バラナシでの沐浴等

 

④ドイツ

芸術、リノベーション、クアオルト、クラブ、集合住宅、地域コミュニティは様々です。ドイツでは、あえて訪問場所のテーマを設けずに広く様々な地域コミュニティを巡ります。

【訪問を考えている場所】

元病院「ベタニエン」・スクウォッチングハウス・トレゾア・ベルグハイン・デッサウ・日本の家・ライプツィヒ子ども食堂・シュピネライ・フライブルク市・バート・クロツィンゲン・プロヒンゲン等

 

⑤スペイン

食とアートによって表現が解放された街づくりを見てきます。衰退した地域に建てられた大型美術館、漢方薬的まちづくり、世界一の美食の街におけるバルの文化などをじっくりと巡ります。

【訪問を考えている場所】

ビルバオ・サンセバスチャン・バルセロナ・ブニョール・要塞都市クエンカ等

 

⑥アメリカ

とにかく今話題のポートランドに行きます。アンチ市場原理主義、クリエイティブクラス、環境都市、コンパクトシティ、交通インフラなどの多くのキーワードで話題が上がるポートランドの今を探ってきます。

【訪問を考えている場所】

ポートランド(パール地区The Belmont Goats・パシフィック・ノースウエスト・カレッジ・オブ・アートPNCA等)

 

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企画者プロフィール

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稲村行真
1994年生まれ、千葉県出身。大学3年次に合同会社wip-tyをつくり、途上国の商品を日本のイベントやネットショップで販売した経験がある。大学4年次に、日本の伝統的な古民家を訪れ取材した。卒論のテーマは「古民家の価値について」。古民家の良さは開放的な空間にあると考え、うまく地域のコミュニティ作りに生かす方法を模索し始める。2017年4月から東京都日野市の築150年の古民家「ヒラヤマちべっと」を活用して、コミュニティハウスを運営。地域がつながるシェアハウスやイベントスペースを運営している。この活動により、交流ある暮らしの場をつくっている。(ブログ:http://ina-tabi.hatenablog.com/

 

 

【過去の主な旅経験】

2016年8月4日~9月14日 日本全国古民家巡り旅

発端は、古民家が好きだけど、魅力の正体が掴みきれないことでした。そこで、新潟県上越市富山県南砺市徳島県那賀町、石川県津幡町愛媛県松山市を巡り、個々の古民家の造りと活用事例、街づくりの特性を調べることにしました。その後、この研究成果を中央大学法学部の卒業論文にまとめました。論文のテーマは「古民家の価値について」です。古民家の価値を、街並みの特性と絡めながら数値化していこうという視点で論文を完成させました。旅の様子は一部NHKテレビ、南海テレビ等で放送していただきました。

 

2017年6月4日~6月18日 古民家冒険Project

東京から石川までの約450kmを2週間で歩き、道中約30件もの活用されている古民家を取材しました。自身が管理人を務める東京都日野市の築150年の古民家「ヒラヤマちべっと」で出発式を行い、石川県加賀市の古民家FUZONで完歩式、タビト學舎で報告会を行いました。この旅を通じて、改めて古民家の魅力は開放的な空間設計にあると感じました。これをうまく生かしてコミュニティや人の繋がりを地域に作り出したいと考え、今に至ります。旅の様子は一部NHKテレビ、新聞等の取材をしていただいた。

 

「一品一灯の会」を振り返る!空き家をどう地域に開き、場づくりを行うかについて考えてみた。

僕が管理人をやっている東京都日野市の築150年の古民家「ヒラヤマちべっと」では、毎月「一品一灯の会」というイベントを開いてきた。しかし、僕が4月末で管理人を卒業する関係で、このイベントはいったん終了。この節目の時に、一品一灯の会が果たした大きな役割についてここで述べておきたい。

今回は、

①「一品一灯の会」の内容

②地域コミュニティにおいて果たして来た役割

③これから検討すべき課題と可能性

について時系列で書いてみることにした。

 

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まず、この「一品一灯の会」はそもそもどんなイベントだったかというところから、書いていきたい。

 

<誕生期>

最初の目的は、「空き家を地域に開く」ということだった。

空き家を地域に開いて、地域の課題やこれやりたいという声に応えて行く方向性で動いていた。地域の方々から地域の現状を聞いたり、今後の活動内容を考えたりしていこうというものだった。

 

2016年12月16日に第1回は開催され、主催者は「すみつなぎ」という空き家活用団体だった。電気ガス水道がろくに使えない中で、1つの品と1つの灯を持ち寄って、みんなで食事会をしましょうという流れで始まった。それが一品一灯の会の由来となっている。

 

初期段階の特徴としては、まず気軽に参加できる内容で、地域の方々が集まるというところに重点を置いた。3月・4月のように、街を歩いて、地域の資源や魅力を再確認するというのも意識的に行った。管理人の稲村は、2017年1月からすみつなぎのお手伝いとして参加し、正式に管理人となった4月には一品一灯の主催者となっていた。

 

2016年12月 豚汁を食べる会

2017年1月 焼き餅を食べる会

2017年2月 バレンタインのチョコ作り

2017年3月 街歩き&タイカレー

2017年4月 お花見&街歩き

 

(写真は第1回の一品一灯の会の様子)

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<発展期>

一品一灯の会は、2017年5月からが転換期だった。4月まで主催者がグイグイ企画を作って来たが、ネタも少なくなって来たし、刺激が少なくなって来た。それならば、ゲストを呼ぼうということで、楽器を弾ける人を徹底的に集めた。それが一品一灯ならぬ、一品一芸だ。4組8名の人がゲストをお招きした。リュートの奥澤さん、フルートの金子さん、ギターのひのヒートルズ、パントマイム・ビートボックス・パーカッションのパンパカマイムボックスの4組である。「外からの動きと内からの動き」が生まれたことで、より良い方向に進んだ。これは、5月以降のキーワードとなった。主催者は管理人でありつつも、脇役のような立ち位置でゲストをサポートする役に徹した。

 

7月の留学生発表会では、帰国前の留学生が日本を見て来た中で、印象に残った場所について発表してもらった。これは外からの動き。8月の夏祭りは、地域の方の企画に乗っかった形だ。これは内からの動き。

 

また、6月はかなり特殊な企画だった。管理人稲村の、東京から石川までの450kmを2週間で歩き、道中約30軒もの古民家を取材して歩く徒歩の旅の門出式だった。門を地域の方と一緒に作り上げ、その門から旅が出発するまさに「門出式」だった。NHKテレビの取材が来たので、どうやって映える出発式にしようかと考え1つのエンターテイメントをみんなで作り上げる一体感が面白かった。この企画はやはり「歩く」というシンプルでわかりやすい企画だったのが良かった。応援してもらえたのは本当に力になった。

ina-tabi.hatenablog.com

 

2017年5月 一品一芸の会

2017年6月 古民家冒険家門出式

2017年7月 留学生発表会

2017年8月 夏祭り

 

(5月の一品一芸の会の様子)

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(6月の古民家冒険家門出式の様子)

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<安定期>

2017年9月のサンマ&登山報告会からは、集客も安定していて、いつもどおりゲストの方々の魅力的な企画どんどん飛び出した。9月は嶋津くんのキリマンジャロ報告会、10月は永井さんの星空観察会、11月は涌井さんの大道芸と芹沢さんのマジック、12月は加納さんのパン作りという企画内容だった。facebookの興味ありの人数が100人は超えて、参加者は毎月30人を越えた。ヒラヤマちべっとの認知度も上がったのがこの時期だった。

 

また、この時期の課題は、一品一灯とはそもそもなんなのかという議論があった。当初は場を地域に開くという目的でやっていた。しかし、十分開かれて来たので、特に必要ないのではという意見もあった。ただ、この時期から、定期イベントは寺子屋子ども食堂、子どもの遊び場といった子ども関連のイベントが多かったので、子どもを核とした場づくりがキーワードになっていた。そんな中で、子ども関連で定期イベントに繋がる企画が生まれればという想いから、一品一灯を続けることにした経緯がある。多摩地域は子育て世帯が多い一方で、自由でのびのび遊べる場がないという課題感もあり、地域的にもこういう場は求められていると感じていた。

 

2017年9月 サンマ&登山報告会

2017年10月 星空観察会

2017年11月 一芸発表会

2017年12月 一周年記念ピザ作り

 

(9月のサンマ&登山報告会の様子)

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<成熟期> 

 2018年に入ってからは、集客は少しずつ落ち着いて来た。1月は書き初め、2月の加納さんのパン作り、3月の 西村さんの街歩きという感じである。昨年末までの盛り上がりとは違った落ち着きのなかで濃い交流を楽しむ感覚だ。

 

あとは、かなりゲストありき、テーマありきでそれに集まってくる人が多くなった。ひとまずヒラヤマちべっとに行ったことがないので、行ってみたい!という人はひと山越えた。雑多な中に刺激的な交流や出会いを求める物珍しさもひと山越えた。もうこれは昨年が盛り上がった分、必然的でしょうがない部分もある。あとは、ひとつひとつのイベントの魅力的なテーマが参加者の満足度に直結していた感覚だ。

 

雑多な人がいる中で、共通言語が見いだせるのかというのは大きなポイントだった。イベントを開催すると話しやすい人たち同士がかたまるのが普通だ。空間内での共通言語がないので、どこかぎこちない人も出てくる。間口が広く、寛容的な場において、交流を無理に作り出そうとするのは、最初は良くても継続性が出ずらい。結局コミュニティの発展性をどう作るのかが大事で、来て楽しかった!にもうひと押しが必要なはずだ。一品一灯を今後復活させるとしたら、キーワードはモチベーション発展性だと思う。その場で出会った人が次にこれやろうとか、その会自体が少し進化するとか、まだ答えはわかっていないが、何かが絶対に必要だ。コミュニティという括りで考えれば、家庭、仕事の次の第3の場という位置付けで、参加者がどれほど主体的に参画したくなるか。もしくは、仕事や家庭のコミュニティの一部となりうるかが超重要であると感じた。

 

2017年1月 書き初め

2017年2月 パン作り

2017年3月 街歩き

2017年4月 けん玉100周年

→今年4月は、一品一灯という名前でなく、けん玉イベントとして告知を行った。

(4月のけん玉100周年の様子)

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これからのヒラヤマちべっとについてはこちら

ina-tabi.hatenablog.com

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〒191-0055
東京都日野市西平山4丁目18-12
築150年の古民家「ヒラヤマちべっと」
(連絡先:info.kiteminka@gmail.com)

m.facebook.com

 

 

ヒラヤマちべっとの庭がきれいになった!

先日3/17(土)~18(日)で行われた「ヒラヤマちべっとガーデンフェス」。

お庭作りの楽しさに触れた2日間でした!

あれから、みるみるうちにお庭の草花が芽吹き、とても気持ちのいいお庭になってきました。今回は、お庭作りの過程と、どう植物が成長していったかについて、書いてみることにします。

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今回、お庭作りのゲストは、TOKYO STREET GARDENのみなさん。

ランドスケープデザインをされている三島さんや金子さんをはじめ、大学・大学院生の方々もその活動の一環で来てくれました!

知り合いや地域の方々も混じって、2日合わせて30人ほどの参加者で、とても楽しいイベントになりました!

 

"TOKYO STREET GARDEN" は、東京ならではの園芸文化がつくるパブリックスペース(ストリートガーデン)を、東京の路地や空き地(低未利用地)、そしてコミュニティースペースを舞台として創出し、それらを地域の人々と共に企画・運営を行いながら、東京の緑の保全と創出に寄与する活動を行っています

www.facebook.com

 

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お庭作りの最初の着目ポイント!

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3/17。最初はこんな感じで木がもっさりしていました。

玄関までのアプローチがはっきりしておらず、視界を遮ってしまっていました。

これはもったいない!

もっと、地域の方々に場を開いていきたい!

ということで、この木をなんとかしようということになりました。

 

まずは、近所の鈴木さんが登場!

チェーンソーで、枝を切っていきます。

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豪快ですね!!!

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こんなでかい枝が取れました!!!

お、重い(笑)

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枝を切った後は、でかい石を取り除きます。

スコップで、ほって運んでほって運んでほって運んで!

皆さん、ご苦労様です。

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お昼は2日間とも、古民家の中で食卓を囲みます。

せせらぎ農園の佐藤さん、お手伝いいただきありがとうございました!

豆ごはんの発想とか、サツマイモご飯の塩加減とか、米の研ぎ方とか色々教えてもらって料理の奥深さを知りました。

ぼくも料理の腕が少しあがりました。

ikasitai.at.webry.info

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ヒラヤマちべっとでのいただきますはこうです!笑

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さて、料理はこんな感じです。

リンゴはひとつだけ、はるっち(小学生)用のウサギが混じっています。笑

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タネはこんな感じです!

色とりどりで春が来た!って感じですね。

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石をひたすら洗い、ひたすら拭く、石積み職人現る(笑)

ゴロゴロした石は一箇所に集めて、子どもの遊び場のような感じになりました。

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根っこは、植物が植えやすいように、チェーンソーでガガガガガと削っておきます。

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土の中に植木をどんどん埋めていきます。

タネもパラパラ蒔いていきます。

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ついに、、、 完成!!!みなさんで集合写真をとりました。

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では、上から見たらどんな感じなのでしょう!?

ドローンを飛ばしてみたいと思います。

さて、初めてのドローンにみなさんワクワクドキドキです。

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お庭の面積が意外と広い!!!!!!!!

古民家にとって、重要な入り口となる部分のお庭がきれいになったのは、改めてすごく大事なことだったということを実感しました。

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さて、お庭作りが終わってめでたし!というわけではありません。

ランドスケープは作り終わってからが面白い」ということがわかりました。

どんどん草木が成長して、庭がどんどん美しく生き生きとしてくるのです。

徐々に変化し、柔軟に環境に適応しつつも、場に馴染んで行くのが、植物という生き物なのですね。

変化をみてみましょう。

 

2018年3月18日

さて、まだまだ大部分は土で覆われています。

これから、どんな植物が芽吹いてくれるのでしょうか!

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2018年3月22日

植物の背丈が少しずつ大きくなって来たように感じます。

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2018年3月29日

まだまだそれほど大きな変化はありませんが、真ん中の道のところにうっすらとクローバーが出て来たような感じです。

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2018年4月8日

ここまでくると、クローバーがたくさん芽吹き、庭全体が柔らかい雰囲気になって来ました。イチジクの木からは葉っぱが出て来て、全体的に植物が満遍なく地面を覆うようになりました。

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2018年4月18日

ヒラチベガーデンフェスからついに一ヶ月の記念日です!!!クローバーの道と、ところどころに咲いたお花が本当にキレイですね。クローバーの道を歩くのはもったいないくらいです。

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さて、ここまでで、庭作りと成長過程について振り返りをしました。

ランドスケープについて感じたことは、

①地域の方を巻き込んで、作業を進められるのが楽しい。

人が関わりやすいということは一体感につながり、地域コミュニティにとって重要な要素だと感じます。作業を通して、何かを一緒に作り上げることで達成感を得られ、成長をみんなで見守る楽しみもあるというのは、やりがいがあります。

②作品が完成しない。

お庭は一度作って終わりではなく、水やりをして、芽吹かせ、花を咲かせるという段階を踏みます。丁寧に植物と向き合って、対話することで、環境はより良くなります。どんどんお庭が成長していき、一度作って終わりの既製品と違って環境によっても、手入れの仕方によっても、何を組み合わせて植えるかによっても個性が出てきます。それがとてもクリエイティブだし面白いと思いました。

③場づくりのコンセプトを補う。

場づくりをしていると、ソフトとハードのギャップに直面することがあります。つまり、コミュニティとして、寛容で気軽にふらっと立ち寄りやすい場を作っていきたいのに、周りが木やブロック塀に囲まれていては、ソフトとハードが不一致です。ランドスケープはどういう場にしていきたいかというコンセプトをはっきりとさせるためにも重要であると感じました。

 

これからもお庭はどんどん変化して行くことでしょう。

これからが楽しみです!

 

 

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ps.

雑草ボサボサ時代の庭はこちら(笑)

ina-tabi.hatenablog.com

 

建築士の方が見た庭作りの視点はこちら。

ina-tabi.hatenablog.com

今後のヒラヤマちべっとについて!(2018年4月末から)

東京都日野市「ヒラヤマちべっと」の管理人を4月末で卒業する件は、先日書いた通りだfacebookで投稿をシェアしたところ、「ヒラヤマちべっとが無くなるのはさびしい。」とたくさんの方々から、次々にコメントやメッセージをいただいた。

わざわざ大事な用事をキャンセルしてまで、会いに来てくださった方もいた。

それと同時に、自分を今まで支えてくださった地域の方々の存在の大きさを改めて実感した。そして、自分が旅に出ても、ヒラヤマちべっとという地域コミュニティは残すべきだと考えるようになった。

 

2018年4月15日の子ども食堂&大人食堂のイベントでは、地域の方々や関わりの深い方がたくさん集まった。3時間以上にわたり、ヒラヤマちべっとのこれからについて作戦会議をひらいた。

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そこで決まったことは、

「古民家という場はなくなっても、人の繋がりは残そう」

というものだった。

やはり、1年経ってみて感じるのは、古民家があるないにかかわらず、人の繋がりが確実に存在するということだ。

今後は、このヒラヤマちべっとでできた人の繋がりが継続するとともに、さらに発展することを願います。何をするかについて出たアイデアはこちら!!!

 

①管理人・イナムラの旅のSNS近況報告
みなさん知っている方も多いと思いますが、管理人・イナムラは「世界一周の旅」に向けて旅立ちます。いつ帰国するかわかりませんが、世界の地域コミュニティやパブリックスペースをとにかく手当たり次第見てきます。何と出会い、何を感じたのかを、定期的にみなさんとシェアさせてください。ブログを更新して、それをfacebookやLINEでもシェアする形です。第2のヒラチベに繋がる何かが見つかればと考えています。


②地区センターでゆるく集まる。

頻度はわかりませんがヒラヤマちべっとの看板イベントだった「一品一灯の会」のような集まりを、いつもお世話になっている大和田の皆さんなどを中心に、旭ヶ丘の地区センター等で開いてくださるようです。電波の状況が良いところで、ぼくもビデオ電話等で参加させてください(笑)

 

③場所にとらわれない企画が生まれる
既存の子ども食堂寺子屋、ヒノノコ、子どもの遊び場など、定期イベントを開いてくださっている団体は個別に近くの場所を見つけて、活動を継続してくれるみたいです。参加者は結構かぶるかもしれませんが、これらの団体の活動はひとまずヒラヤマちべっとという括りとは別の活動になります。ただ、4/29に寺子屋の続編として企画してくれた山登りのように、ヒラチベの中で生まれたこれやりたい!という企画は、どんどん個別にイベント化されていったらと感じています。

 

いよいよヒラヤマちべっとも大きく方向転換するときが近づいていると実感します。

2018年4月15日の子ども食堂&大人食堂に参加できなかった方も、また今後のアイデアがあれば、ぜひお気軽にご連絡いただけたらと思います。

今後とも「ヒラヤマちべっと」をよろしくお願いいたします!

 

www.facebook.com

 

 

コミュニティについて考えてみた!

コミュニティは、何らかの共通項を持った人々の集まりのことだろう。その共通項は地域なのか、何かのテーマなのか、目的に対して個々人が切磋琢磨していくものなのか。アニメおたくであるというニッチなコミュニティもあれば、日本人という広い括りのコミュニティもありうる。今回は、本当にコミュニティというものが存在するべきなのか?について考えてみたい。

 

そもそも、コミュニティという括りは歴史的に見ても多くの縛りを生んできた。村人総出で屋根の吹き替えを手伝わされたり、村人たちが必要な道路を整備したり、という感じだ。そこには、個人の自由よりも、コミュニティとしての所属が求められてきた。

 

大事なのは、信頼しあえる1対1の人間関係であって、コミュニティとしての人間関係は別物かもしれない。コミュニティというのは、形上うまく機能しているように見えるが、中には価値観が合う人もいれば、合わない人もいる。そこに我慢が生じる。仕事では上司と部下という縦関係や、立場というものが自分の素が出せない原因ともなる。地域の自治会も無理に存続しようとしてやりたいことを我慢してまでも参画する人がいる。つまり、ウソをつかなくてはいけない時がある。閉鎖的なコミュニティであればあるほど、そこに所属すれば我慢しなくてはいけなくなる。

 

そういう人が好むのが銭湯やバーであるときもある。特にコミュニケーションは取らないけど、人が集まっているところに行くと自分を解放したり、自由を得られるような感覚になる。解放的で、寛容で、でもドライな関係性が日常を豊かにするということだ。一種のユートピアが断続的に日常に組み込まれているというのが、大多数の社会人の現状だろう。

 

先日お会いした世田谷で場づくりをしている方の話がまさにリンクする。地域コミュニティに対して、しがらみは求めない。だから、排他的で濃ゆいつながりというのもなければ、寛容的で誰でも受け入れて何でもお世話してくれるみたいな神のようなコミュニティもない。あるのは、寛容的で誰でも入れるんだけど、しっぽり飲んで、たまに隣に座った人と軽く会話するというようなドライなコミュニティであると語っていた。それで、意気投合すればそこでの人間関係が続いて行くという感じ。他者に対して、濃ゆく干渉せずに、個人の裁量に委ねるというゆるいコミュニティが、世田谷という都会の目と鼻の先にある立地とマッチしたのかもしれない。僕が活動している日野市は、もう少しコミュニティとしてのドライさは少なく、どっぷり地域に浸かる人も多いようには思う。

 

それで、コミュニティとしてのドライな関係性を追求した先には、1対1の人間個人としての関係性がある。それで、本来であれば動き回れる「強い個人」というものがあれば、コミュニティなんてなくても自分で人間関係作って、自己実現できちゃってハッピーなんだと思う。でも、SNSというツールが広がり、人間関係作りやすくなった今でも、孤食、引きこもり、孤独死といった問題に直面するのは、個人的には日本人が個人で動くのに適していないからだと思う。いままで歴史的にも、藩や村単位で物事が取り決めされて来た土壌があって、コミュニティというものなくして、どう動いて良いかわからないというのが現状だと思う。

 

地域コミュニティというのは、身近で人間関係をつくる手助けをするというくらいのものなのではないか。こちらから何かを無理に提供することもなく、囲い込むこともなく、温泉の泡が湧き出てくるように自由になにかイベントやサークルやつながりができればよいはずだ。場所にとらわれたり、お金にとらわれたり、していては本当の信頼関係は築けない。出たり入ったり、流動性や自由が確保されるほうがいい。人付き合いで、無条件に贈与しあえる関係性をつくるのに、コミュニティが役立てばいいなと最近は感じている。暮らしの中に、友人づきあいのコミュニティを作ろうとすると独立採算が成り立たないのは、ここに所以があるのかもしれない。

 

 

 

 

参考メモ。

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参考文献。

gendai.ismedia.jp

ヒラヤマちべっと管理人卒業のお知らせ。

この度、急遽2018年4月末で、ヒラヤマちべっとの管理人を卒業することとなりました。

 

このことについて、しっかりと少しずつ皆さんにお伝えしていきたいと思います。

突然のことで、驚かれた方もいるとは思いますが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

 

今までの僕は目の前のことに必死でした。

まずは、アルバイトを30個やめた大学生時代。

就職して組織の中で働くことに疑問を覚え、独立をすることに決めました。

(辞めすぎ。笑)

 

大学を卒業した2017年の4月。

ご縁あって、東京都日野市築150年の古民家「ヒラヤマちべっと」の立ち上げに関わり、管理人になりました。

古民家の開放的な空間を生かして、コミュニティの選択と居場所に悩んだ経験がある僕でも気軽に来れる場所を作りたいと考えました。

そこで、寛容で多様で刺激的な極めてオープンな特徴を持った、地域の人々が集うコミュニティを作りました。シェアハウス、イベントスペースなどの活動を通して、地域の核となるような場所を目指してきました。交流ある暮らしの場の実現によって、この場に365日交流が生まれ、地域にこういうのあったらいいな!という声が実現できる場所にしたいと考えました。

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地域の方、友人に見守られ、本当に本当に楽しい日々を過ごさせていただきました。

日野市という街が大好きになりました。

自分にとって、居場所と感じられる場所を持てたことは本当に嬉しかったです。

 

 

 

ある時は、新卒の社員が平均的にもらうくらいの収益が出ていたので、経済的にもこれはいけるんじゃないか!と思っていました。

第2、第3のヒラヤマちべっとを作ることまで考えていました。

 

でも、今年の3月になって考えは変わりました。

やはり、経営を安定させるというのはとても難しいことです。

貯金残高は1万円をきり、そろそろやばいなと思い始めました。

 

 

今回は、2回目の起業でしたが、世の中甘くはありません。(貯金が1万円をきってからどう這い上がろうかとむしろワクワク感が勝っていましたが。。笑)

※1回目は大学3年時の途上国の商品を日本で販売する事業。

合同会社wip-tyを設立して、途上国の商品をイベントやネットショップで販売したことがありました。

 

 

ここで、主な収益源について整理してみます。

 

①イベントスペースの場所代(参加費の半分または2000円/H)

お試しのイベントなどの場合、当日徴収した参加費の半額をもらう成功報酬型で行いました。これには、場所をレンタルするだけでなく、イベント企画サポート、広報集客サポート、当日の運営補助などのサポート込みで行なっていました。一品一灯の会、寺子屋子ども食堂、子どもの遊び場、映画上映会など主に地域の方がやりたい!こういうのあったら面白そう!という声に応えていくイメージです。定期的に開催されるものと、単発的に開催されるものがあります。

その他の収益性がある、もしくは、集客力があるイベントは2000円/Hで受け入れました。キッチンやゴミ捨てにオプション料金が加算される方式です。こちらは外部の集客サイトに頼りました。主に写真・映画・ビデオ撮影などの利用が多かったです。

②シェアハウスの家賃(35000円×3室)

基本的には、地域の方が企画するイベントに興味がある、もしくは、自分がイベントを企画したいという方に住んでいただきました。部屋が空いていた時は、イベントからの流れで宿泊客の受け入れや、荷物置き場、写真撮影などに使っていただきました。

 

その他、畑の貸し出し、お土産販売、駐車場の貸し出し、週末のみ使えるサロンとしての場所貸し、など色々な事業を試してみました。基本的には、場所や地域資源から逆算して様々な試しうるものをやったという感じです。

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以上のことからわかるように、何でもかんでもやるごちゃ混ぜさは、一見カオスでクリエイティブな空間を生み出しました。例えば、シェアハウスで地域の方が集うイベントが行われ、しかも外国人観光客が泊まりに来ているという感じです。予想外の交流ができるという刺激を生みました。この手の場づくりは、発展性や成長性ではなく、なんか来てよかったねというゆるゆる楽しい環境を地域的に生み出す文脈では役に立ちました。そして、人の出入りが多いので、特定の人が集うわけではなく、いわゆる飽きないコミュニティにはできたと思います。一方で、間口が広いので価値観が合わない人同士の関係をどう調整するのか、日常の中の必要不可欠な場という位置付けをどう作るのかという点が大きな課題としてありました。

 

資金が枯渇した要因としては、安定した収入源の問題です。シェアハウスは、3室埋まれば当然定期的な収入になりますが、1室も埋まらないことも当然あります。また、イベントも多い月があれば少ない月もあります。完全に広く浅い集客で、どこまで押し通せるかといういっぱいいっぱいの状況でした。大規模な初期投資が最初にできれば、環境整備に力を入れられて押し通すという発想にもしかしたらならなかったかもしれませんが。

 

 

僕は資金が枯渇した時点で2つの選択肢がありました。

資金調達をするか、事業を止めるかの2択です。

ビジネスモデルの性質上、ソーシャル色が強く年輪のように小さく仕掛けるようなモデルです。投資家や金融機関が好んで投資するような急成長するビジネスモデルではありません。資金調達は必然的に公の補助金助成金か、寄付か、クラウドファンディングとかそのあたりです。

 

このような資金調達方法は、今回に関してはあまり適しているとは思えませんでした。寄付とか、助成金とか、途切れたら終わりのもので、ランニングの資金を補うということをしたくはなかったのです。

しかも、事業内容に制約が生じてしまうため、望むところではありませんでした。やはり個人的には自由と創造という2つの価値観がとても強いのと、地域にとってもその方がより良い場づくりができると感じるようになりました。

 

それに加えて、様々な課題感から、もう一度やりたいことを整理し直したいという気持ちも強くなりました。

ありきたりなものの組み合わせでは、自由な発想は生まれません。

自分の頭が「仕組み化」を追い求めて、柔軟な発想が出てこないことに危機感を覚えました。感性を抑圧して、情報を探す日々が続きました。

本当にやりたいことを見つめ直すためにも、白紙に戻したいと考えました。

 

そこで、管理人を4月末で卒業することにしました。

現在5月以降の活用については、すみつなぎや大家さん含め、調整中でどうなるか未定です。

 

 

そして、僕は今後どうするのかということについて。

世界の圧倒的に面白いコミュニティを見て回り、暮らし、体感する旅に出ようと考えました。

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転機は、昨年の11月19日に石川県金沢市のシェア金沢という社会福祉法人が運営する地域コミュニティを訪れた時のことです。

Share金沢[シェア金沢]

ある社長さんと飲みに行ったのですが、頭でごちゃごちゃ考え過ぎていて、仕組み化に走り過ぎているとアドバイスいただきました。

「本当に面白いものが作りたいんだったら、今の若いうちに世界中を旅してこい!」

と言われたのです。

自分探しの旅は何も得られそうだなと以前から思っており、内心納得しませんでした。

 

 

しかし、先日3月10日に同じ方ともう一度お会いしたのですが、

「まーだ、旅に出てなかったんか!早く行ってこい!」

と言われました。

昨年の11月に言われたことと全く同じことを言われたので、

さすがに、色々質問して深く考えました。

人生長いスパンで考えてみたときに、今のうちに圧倒的な感動体験とか、自分のやりたいことについて見つめ直さないと後々苦労するということがなんとなく見えてきました。

とにかく意味わかんないくらい面白くて楽しいものが創りたいのです!

でも、今のまま進めば、どうしたら赤字にならなくてうまく仕組み化できるかとか、どれとどれをうまく組み合わせればうまくいくかとか、そういう情報的なものに埋れ過ぎていて、予定調和以外の何物でもありません。

 

このような経緯から、僕は今年の5月から旅に出ることにしました

まずは、日本各地に数週間滞在してから、中国に渡ります。

雲南省のとある民族のコミュニティにとても関心があり、まずはそこを目指します。

圧倒的に感動するものと出会い、本当に大事なものと向き合う時間をつくります。旅の間は、SNSを更新せず、外部との接触を最小限にするつもりです。

 

いつに帰って来るかわかりません。

本当に大事なものにぶち当たり、今こそ帰国の時だというときに帰国するつもりです。

旅から帰ってきたら、僕が管理人をやったヒラヤマちべっとという思い入れの深い地で、報告会を開かせてください。

(要相談ですが)

どんなものを見て聞いて感じたかをみなさんとシェアして、持続可能なコミュニティについてみなさんと考えていきたいです!

 

これからのヒラヤマちべっとに期待してくださっていた皆さん申し訳ありません。

古民家の管理人になるきっかけを与えてくれたすみつなぎの皆さん。

日野市都市計画課の皆さん。

日野市地域協働課の皆さん。

一品一頭でコラボしてくれた方々や多摩ブランド国際推進委員会の皆さん。

寺子屋の皆さん。

子ども食堂を開いてくれたc-plantの皆さん。

子どもの遊び場の皆さん。

シェアハウスの住人の皆さん。

地域の方々。

未熟な管理人の僕を支えてくださり、本当にありがとうございました。

これからも、平山という地域や日野市にはなんらかの形で関われたら嬉しいです。

少し僕に考える時間をいただけたら幸いです。

 

 

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〒191-0055
東京都日野市西平山4丁目18-12
築150年の古民家「ヒラヤマちべっと」
(連絡先:info.kiteminka@gmail.com)

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